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大阪大学 2008年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/三角関数数学A/図形の性質テーマ/最大・最小テーマ/図形総合
大阪大学 2008年 文系 第1問 解説

方針・初手

点 $O$ を基準とする位置ベクトルを用いることで、線分 $AC$, $BD$ の中点 $M$, $N$ の位置ベクトルをそれぞれ表現できる。線分 $AB$, $CD$ の長さがそれぞれ $s$, $t$ であるという条件は、ベクトルを用いた式において差分の形となって現れ、始点の位置に依存しない綺麗な形に整理される。(2)は(1)で求めた式に対して、与えられた条件式 $s^2+t^2=1$ を用いて最大値を求める問題であり、相加・相乗平均の大小関係の利用や、三角関数の置換が有効である。

解法1

半直線 $OX$, $OY$ の方向を向く単位ベクトルをそれぞれ $\vec{e}_1$, $\vec{e}_2$ とする。 $\angle XOY = 60^\circ$ であるから、これらの内積は以下のようになる。

$$ \vec{e}_1 \cdot \vec{e}_2 = 1 \times 1 \times \cos 60^\circ = \frac{1}{2} $$

点 $O$ を始点とし、各点の位置ベクトルを次のように表す。 2点 $A$, $B$ は半直線 $OX$ 上に $O$, $A$, $B$ の順にあるため、正の実数 $a$, $b$ ($0 \leqq a < b$) を用いて以下のように表せる。

$$ \vec{OA} = a \vec{e}_1, \quad \vec{OB} = b \vec{e}_1 $$

線分 $AB$ の長さが $s$ であるから、$b - a = s$ が成り立つ。よって、$b = a + s$ と表せるため、$\vec{OB}$ は次のように書ける。

$$ \vec{OB} = (a+s) \vec{e}_1 $$

同様に、2点 $C$, $D$ は半直線 $OY$ 上に $O$, $C$, $D$ の順にあるため、正の実数 $c$, $d$ ($0 \leqq c < d$) を用いて以下のように表せる。

$$ \vec{OC} = c \vec{e}_2, \quad \vec{OD} = d \vec{e}_2 $$

線分 $CD$ の長さが $t$ であるから、$d - c = t$ が成り立つ。よって、$d = c + t$ と表せるため、$\vec{OD}$ は次のように書ける。

$$ \vec{OD} = (c+t) \vec{e}_2 $$

点 $M$ は線分 $AC$ の中点であるから、その位置ベクトルは以下となる。

$$ \vec{OM} = \frac{\vec{OA} + \vec{OC}}{2} = \frac{a \vec{e}_1 + c \vec{e}_2}{2} $$

点 $N$ は線分 $BD$ の中点であるから、その位置ベクトルは以下となる。

$$ \vec{ON} = \frac{\vec{OB} + \vec{OD}}{2} = \frac{(a+s)\vec{e}_1 + (c+t)\vec{e}_2}{2} $$

(1)

ベクトル $\vec{MN}$ は以下のように計算できる。

$$ \begin{aligned} \vec{MN} &= \vec{ON} - \vec{OM} \\ &= \frac{(a+s)\vec{e}_1 + (c+t)\vec{e}_2}{2} - \frac{a \vec{e}_1 + c \vec{e}_2}{2} \\ &= \frac{s}{2} \vec{e}_1 + \frac{t}{2} \vec{e}_2 \end{aligned} $$

線分 $MN$ の長さの2乗は、$|\vec{MN}|^2$ として計算できる。

$$ \begin{aligned} MN^2 &= |\vec{MN}|^2 \\ &= \left| \frac{s}{2} \vec{e}_1 + \frac{t}{2} \vec{e}_2 \right|^2 \\ &= \frac{1}{4} \left( s^2 |\vec{e}_1|^2 + 2st (\vec{e}_1 \cdot \vec{e}_2) + t^2 |\vec{e}_2|^2 \right) \\ &= \frac{1}{4} \left( s^2 \times 1^2 + 2st \times \frac{1}{2} + t^2 \times 1^2 \right) \\ &= \frac{1}{4} (s^2 + st + t^2) \end{aligned} $$

$s, t$ は線分の長さであるから正であり、$MN > 0$ であるため、平方根をとって以下の結果を得る。

$$ MN = \frac{1}{2} \sqrt{s^2 + st + t^2} $$

(2)

(1)より、$MN$ が最大となるのは $s^2 + st + t^2$ が最大となるときである。 与えられた条件 $s^2 + t^2 = 1$ を用いると、次のように変形できる。

$$ s^2 + st + t^2 = 1 + st $$

$s, t$ は線分の長さであるため $s > 0, t > 0$ である。 相加・相乗平均の大小関係より、以下の不等式が成り立つ。

$$ \frac{s^2 + t^2}{2} \geqq \sqrt{s^2 t^2} $$

$s > 0, t > 0$ であるから $\sqrt{s^2 t^2} = st$ であり、$s^2 + t^2 = 1$ を代入すると以下のようになる。

$$ \frac{1}{2} \geqq st $$

すなわち、$st$ の最大値は $\frac{1}{2}$ である。等号が成立するのは $s^2 = t^2$ のときであり、$s > 0, t > 0$ かつ $s^2 + t^2 = 1$ から $s = t = \frac{1}{\sqrt{2}}$ のときに実際に成立する。

このとき、$s^2 + st + t^2$ の最大値は以下となる。

$$ 1 + \frac{1}{2} = \frac{3}{2} $$

したがって、$MN$ の最大値は以下のようになる。

$$ MN = \frac{1}{2} \sqrt{\frac{3}{2}} = \frac{\sqrt{6}}{4} $$

解法2

(2) の別解を示す。

$s^2 + t^2 = 1$ と $s > 0, t > 0$ を満たす $s, t$ は、媒介変数 $\theta$ を用いて以下のように置換できる。

$$ s = \cos \theta, \quad t = \sin \theta \quad \left( 0 < \theta < \frac{\pi}{2} \right) $$

(1)で求めた根号の中身 $s^2 + st + t^2$ に代入して変形する。

$$ \begin{aligned} s^2 + st + t^2 &= \cos^2 \theta + \cos \theta \sin \theta + \sin^2 \theta \\ &= 1 + \sin \theta \cos \theta \\ &= 1 + \frac{1}{2} \sin 2\theta \end{aligned} $$

$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ であるから、$0 < 2\theta < \pi$ となる。 この範囲において、$\sin 2\theta$ は $2\theta = \frac{\pi}{2}$ すなわち $\theta = \frac{\pi}{4}$ のときに最大値 $1$ をとる。

よって、$s^2 + st + t^2$ の最大値は $1 + \frac{1}{2} \times 1 = \frac{3}{2}$ である。 このとき、線分 $MN$ の最大値は以下となる。

$$ MN = \frac{1}{2} \sqrt{\frac{3}{2}} = \frac{\sqrt{6}}{4} $$

解説

ベクトルを用いて図形の長さを計算する典型的な問題である。始点 $O$ を基準とした位置ベクトルを設定することで、機械的な計算によって簡潔な結論を導くことができる。結果的に点 $A$ や $C$ の位置に依存せず、線分の長さ $s$ と $t$ だけで $MN$ の長さが決まるという点が特徴的である。 (2)の最大値を求める部分は、条件式 $s^2 + t^2 = 1$ の形から相加・相乗平均の大小関係(解法1)、もしくは三角関数による媒介変数表示(解法2)を思いつくことができれば容易に解くことができる。

答え

(1)

$$ MN = \frac{1}{2} \sqrt{s^2 + st + t^2} $$

(2)

$$ \frac{\sqrt{6}}{4} $$

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