トップ 大阪大学 2014年 文系 第1問

大阪大学 2014年 文系 第1問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/図形総合テーマ/整式の証明
大阪大学 2014年 文系 第1問 解説

方針・初手

与えられた複素数 $(a+bi)(x+yi)$ を展開し、その実部と虚部を $a, b, x, y$ を用いて表す。 $x, y$ の関係式として図形の方程式(直線の方程式)を導き、図形と方程式の基本事項に従って平行・垂直条件や交点の計算を行う。複素数の除法を用いて一気に交点を求める別解も有効である。

解法1

複素数 $(a+bi)(x+yi)$ を展開する。

$$ (a+bi)(x+yi) = ax + ayi + bxi + byi^2 = (ax - by) + (bx + ay)i $$

$a, b, x, y$ は実数であるから、この複素数の実部は $ax - by$、虚部は $bx + ay$ である。

(1)

$L_1$ は実部が $2$ に等しい点の集合であるから、その方程式は

$$ ax - by = 2 \quad \cdots \text{①} $$

となる。ここで条件より $a^2 + b^2 > 0$ であるため、$a$ と $b$ が同時に $0$ になることはない。 したがって、①は $x, y$ の1次方程式であり、座標平面上の直線を表す。

同様に、$L_2$ は虚部が $-3$ に等しい点の集合であるから、その方程式は

$$ bx + ay = -3 \quad \cdots \text{②} $$

となる。同様に $a$ と $b$ は同時に $0$ にならないため、②も座標平面上の直線を表す。 よって、$L_1$ と $L_2$ はともに直線である。(証明終)

(2)

直線 $L_1 : ax - by - 2 = 0$ と 直線 $L_2 : bx + ay + 3 = 0$ において、直線の垂直条件を調べる。 2直線 $A_1x + B_1y + C_1 = 0$ と $A_2x + B_2y + C_2 = 0$ が垂直であるための条件は、$x, y$ の係数について $A_1A_2 + B_1B_2 = 0$ が成り立つことである。

$L_1$ と $L_2$ の係数の積の和を計算すると、

$$ a \cdot b + (-b) \cdot a = ab - ab = 0 $$

となる。したがって垂直条件を満たすので、$L_1$ と $L_2$ は互いに垂直である。(証明終)

(3)

$L_1$ と $L_2$ の交点は、連立方程式①、②の解 $(x, y)$ として求められる。

$$ \begin{cases} ax - by = 2 & \cdots \text{①} \\ bx + ay = -3 & \cdots \text{②} \end{cases} $$

① $\times a$ $+$ ② $\times b$ より $y$ を消去すると、

$$ a(ax - by) + b(bx + ay) = 2a - 3b $$

$$ (a^2 + b^2)x = 2a - 3b $$

$a^2 + b^2 > 0$ であるから、両辺を $a^2 + b^2$ で割って、

$$ x = \frac{2a - 3b}{a^2 + b^2} $$

また、① $\times (-b)$ $+$ ② $\times a$ より $x$ を消去すると、

$$ -b(ax - by) + a(bx + ay) = -2b - 3a $$

$$ (a^2 + b^2)y = -3a - 2b $$

同様に両辺を $a^2 + b^2$ で割って、

$$ y = \frac{-3a - 2b}{a^2 + b^2} $$

したがって、求める交点の座標は

$$ \left( \frac{2a - 3b}{a^2 + b^2}, \frac{-3a - 2b}{a^2 + b^2} \right) $$

である。

解法2

複素数平面の考え方を用いて解く。 $\alpha = a+bi, z = x+yi$ とおく。与えられた条件 $a^2+b^2 > 0$ より $\alpha \neq 0$ である。 与えられた複素数は $\alpha z$ であり、条件より $L_1$ と $L_2$ の交点では、$\alpha z$ の実部が $2$、虚部が $-3$ となる。 したがって、交点に対応する複素数 $z$ は、関係式

$$ \alpha z = 2 - 3i $$

を満たす点として、ただ一つに定まる。

(1) および (2)

写像 $w = \alpha z$ は、$\alpha \neq 0$ であるから、複素数平面における原点を中心とした回転と相似拡大(等角写像)を表す。 $w$ 平面において、実部が $2$ である点の集合(虚軸に平行な直線)を $M_1$、虚部が $-3$ である点の集合(実軸に平行な直線)を $M_2$ とする。 $M_1$ と $M_2$ は明らかに直線であり、互いに直交する。 $L_1, L_2$ はそれぞれ $M_1, M_2$ の $w = \alpha z$ による逆像($z = \frac{1}{\alpha} w$)である。 直線は1次変換によって直線に移るため、$L_1, L_2$ はともに直線である。 また、相似変換において図形のなす角は保存されるため、$L_1$ と $L_2$ は互いに垂直である。

(3)

交点を表す複素数 $z$ は方程式 $\alpha z = 2 - 3i$ の解であるから、

$$ z = \frac{2 - 3i}{\alpha} = \frac{2 - 3i}{a + bi} $$

分母の実数化を行うと、

$$ z = \frac{(2 - 3i)(a - bi)}{(a + bi)(a - bi)} $$

$$ z = \frac{2a - 2bi - 3ai + 3bi^2}{a^2 + b^2} $$

$$ z = \frac{(2a - 3b) - (3a + 2b)i}{a^2 + b^2} $$

$$ z = \frac{2a - 3b}{a^2 + b^2} + \frac{-3a - 2b}{a^2 + b^2} i $$

$z = x + yi$ であるから、実部と虚部をそれぞれ $x, y$ 座標に対応させることで、交点の座標は

$$ \left( \frac{2a - 3b}{a^2 + b^2}, \frac{-3a - 2b}{a^2 + b^2} \right) $$

と求められる。

解説

図形と方程式(数学II)の標準的な問題である。 (1) では直線の方程式 $Ax+By+C=0$ において「$x, y$ の係数がともに $0$ にならないこと」の言及($a^2+b^2>0$ の活用)が厳密な記述として求められる。 (2) で垂直であることを示す際、直線の傾き $\frac{a}{b}$ などを求めようとすると、$a=0$ や $b=0$ の場合分けが生じて煩雑になる。直線の一般形による垂直条件 $A_1A_2+B_1B_2=0$ を用いるのが定石である。 (3) は素直に連立方程式を解けばよいが、解法2のように複素数平面(数学III)の知識を用いると、連立方程式を解く操作が「複素数の割り算」に集約されるため、計算見通しが非常に良くなる。

答え

(1)

実部と虚部を比較して $ax-by=2$, $bx+ay=-3$ を導き、$a^2+b^2>0$ からこれらが直線であることを示す。(詳細は解答参照)

(2)

$2$直線の $x, y$ の係数を用いて垂直条件 $a\cdot b + (-b)\cdot a = 0$ が成り立つことを示す。(詳細は解答参照)

(3)

$$ \left( \frac{2a - 3b}{a^2 + b^2}, \frac{-3a - 2b}{a^2 + b^2} \right) $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。