大阪大学 2014年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は三角関数の和積の公式を利用して右辺を変形し、左辺に一致することを示す。約分する際に分母の因数が $0$ にならないことの確認を忘れないようにする。
(2) は (1) の形から類推して成り立ちそうに見えるが、一般には成り立たない。このような場合は、計算が容易になるような角度($0$ や $\pi$ など)を代入して反例を探す。
解法1
(1)
右辺の分子と分母に対して、それぞれ三角関数の和積の公式を適用する。
$$ \sin x + \sin y = 2 \sin \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2} $$
$$ \cos x + \cos y = 2 \cos \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2} $$
これらを右辺の式に代入すると、以下のようになる。
$$ \frac{\sin x + \sin y}{\cos x + \cos y} = \frac{2 \sin \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2}}{2 \cos \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2}} $$
ここで、問題の前提条件より $\cos x + \cos y \neq 0$ であるため、
$$ 2 \cos \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2} \neq 0 $$
が成り立つ。よって、$\cos \frac{x+y}{2} \neq 0$ かつ $\cos \frac{x-y}{2} \neq 0$ である。
$\cos \frac{x-y}{2} \neq 0$ より、分母と分子を $2 \cos \frac{x-y}{2}$ で割ることができる。さらに、$\cos \frac{x+y}{2} \neq 0$ であるから $\tan \frac{x+y}{2}$ は定義され、
$$ \frac{2 \sin \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2}}{2 \cos \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2}} = \frac{\sin \frac{x+y}{2}}{\cos \frac{x+y}{2}} = \tan \frac{x+y}{2} $$
となり、左辺と一致する。したがって、等式が成り立つことが示された。
(2)
与えられた等式は成り立たない。以下に反例を挙げる。
$x = 0, y = 0, z = \pi$ のとき、分母は
$$ \cos x + \cos y + \cos z = \cos 0 + \cos 0 + \cos \pi = 1 + 1 - 1 = 1 $$
となり、$1 \neq 0$ であるから、前提条件 $\cos x + \cos y + \cos z \neq 0$ を満たしている。
このとき、等式の左辺は
$$ \tan \frac{x+y+z}{3} = \tan \frac{0 + 0 + \pi}{3} = \tan \frac{\pi}{3} = \sqrt{3} $$
となる。一方、右辺は
$$ \frac{\sin x + \sin y + \sin z}{\cos x + \cos y + \cos z} = \frac{\sin 0 + \sin 0 + \sin \pi}{1} = \frac{0 + 0 + 0}{1} = 0 $$
となる。
左辺は $\sqrt{3}$、右辺は $0$ であり一致しないため、すべての実数 $x, y, z$ について成り立つわけではない。
解説
(1) は和積の公式の基本的な応用問題である。単に公式を当てはめるだけでなく、「$0$ で割ってはいけない」という原則に基づき、約分する因数 $\cos \frac{x-y}{2}$ が $0$ でないことを条件から明示することが論理展開において重要である。
(2) は直感に反して一般化が成り立たないことを問う問題である。恒等式として常に成り立つかを疑い、成り立たないと予想した場合は、素早く反例を見つけることがポイントとなる。反例を探す際は、$x, y, z$ にすべて異なる値を代入するのではなく、計算が容易になるように $0$ を多く用いるなど工夫すると見つけやすい。
答え
(1)
題意の通り証明された。
(2)
成り立たない。(反例:$x=0, y=0, z=\pi$ のとき、左辺は $\sqrt{3}$、右辺は $0$ となり一致しない。)
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