大阪大学 1970年 理系 第7問 解説

方針・初手
定積分で表された関数を含む積分方程式の問題である。被積分関数の中に積分変数 $t$ と独立変数 $x$ が混ざっているため、まずは展開して $x$ を積分の外へ出す。その後、両辺を $x$ について微分し、積分記号を外して $f(x)$ に関する関係式を導く。
解法1
与えられた等式は以下の通りである。
$$ x + \int_0^x f(t)dt = \int_0^x (x-t)f(t)dt $$
右辺の定積分について、積分変数は $t$ であるから、$x$ は定数として扱い積分の外に出すことができる。
$$ x + \int_0^x f(t)dt = x \int_0^x f(t)dt - \int_0^x tf(t)dt $$
$f(x)$ は連続関数であるため、積分の基本定理より両辺を $x$ で微分することができる。両辺を $x$ について微分すると、積の微分法を用いて以下のようになる。
$$ 1 + f(x) = 1 \cdot \int_0^x f(t)dt + x \cdot f(x) - xf(x) $$
整理すると、次の式を得る。
$$ 1 + f(x) = \int_0^x f(t)dt $$
再び両辺を $x$ について微分する。
$$ f'(x) = f(x) $$
この微分方程式を解く。式の両辺を移行し、$e^{-x}$ を掛けると次のようになる。
$$ f'(x)e^{-x} - f(x)e^{-x} = 0 $$
左辺は積の微分法の形になっているため、次のようにまとめられる。
$$ \{ f(x)e^{-x} \}' = 0 $$
両辺を $x$ で積分すると、$C$ を積分定数として次のように表せる。
$$ f(x)e^{-x} = C $$
よって、$f(x)$ の形は以下のように定まる。
$$ f(x) = C e^x $$
次に積分定数 $C$ を決定する。 導出した等式 $1 + f(x) = \int_0^x f(t)dt$ の両辺に $x = 0$ を代入すると、右辺の定積分が $0$ となるため、以下の関係が得られる。
$$ 1 + f(0) = 0 $$
$$ f(0) = -1 $$
$f(x) = C e^x$ に $x = 0$ を代入すると $f(0) = C e^0 = C$ となるため、以下が成り立つ。
$$ C = -1 $$
したがって、求める関数は $f(x) = -e^x$ である。 なお、このとき与式の右辺を計算すると、
$$ \int_0^x (x-t)(-e^t)dt = -x \int_0^x e^t dt + \int_0^x te^t dt $$
$$ = -x [e^t]_0^x + [te^t]_0^x - \int_0^x e^t dt $$
$$ = -x(e^x - 1) + xe^x - (e^x - 1) $$
$$ = x - e^x + 1 $$
一方、左辺は $x + \int_0^x (-e^t)dt = x - e^x + 1$ となり、一致するため題意を満たす。
解説
$$ \int_0^x (x-t)f(t)dt $$ の形は、数学III(あるいは微積分)の積分方程式における最も典型的なテーマの一つである。「$x$ を積分の外に出してから微分する」という基本手順を踏むことで、必ず微分方程式(あるいは関数方程式)に帰着できる。
また、$f'(x) = f(x)$ という微分方程式が現れた際、高校数学の記述式答案としては、直ちに $f(x) = Ce^x$ と書くよりも、両辺に $e^{-x}$ を掛けて積の微分の逆演算 $(f(x)e^{-x})' = 0$ を用いる変形を示すと、論理の飛躍がなく非常に丁寧な解答となる。未知の定数を決定するにあたっては、積分方程式の上端と下端が一致するような値(本問では $x=0$)を代入して関係式を引き出すことが定石である。
答え
$$ f(x) = -e^x $$
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