東京大学 1972年 理系 第5問 解説

方針・初手
$f(x)$ は任意の一次関数であるため、$a, b$ を定数として $f(x) = ax+b$ とおくことができる。与えられた $u(x)$ の式を $x$ について2回微分し、条件 (1) に代入することで $h(x)$ が満たすべき恒等式を導く。さらに、条件 (2) を用いて $h(x)$ を決定する。
解法1
$f(x)$ は一次関数であるから、$a, b$ を定数として $f(x) = ax+b$ とおく。(ここで、$a, b$ は任意の定数、あるいは $a \neq 0$ の任意の定数として扱う)
与えられた式
$$ u(x) = \int_0^x h(t)f(t)dt + h(x)\int_x^1 f(t)dt $$
を $x$ について微分する。微積分学の基本定理および積の微分公式より、
$$ u'(x) = h(x)f(x) + h'(x)\int_x^1 f(t)dt + h(x) \cdot (-f(x)) $$
整理すると、
$$ u'(x) = h'(x)\int_x^1 f(t)dt $$
これをさらに $x$ について微分すると、
$$ u''(x) = h''(x)\int_x^1 f(t)dt + h'(x) \cdot (-f(x)) $$
$$ u''(x) = h''(x)\int_x^1 f(t)dt - h'(x)f(x) $$
条件 (1) より $u''(x) = f(x)$ であるから、
$$ h''(x)\int_x^1 f(t)dt - h'(x)f(x) = f(x) \quad \cdots (*) $$
ここで、$f(t) = at+b$ の定積分を計算する。
$$ \int_x^1 (at+b)dt = \left[ \frac{a}{2}t^2 + bt \right]_x^1 = \frac{a}{2}(1-x^2) + b(1-x) $$
これを $(*)$ に代入し、$f(x) = ax+b$ も代入すると、
$$ h''(x) \left\{ \frac{a}{2}(1-x^2) + b(1-x) \right\} - h'(x)(ax+b) = ax+b $$
式を $a, b$ について整理する。
$$ a \left\{ \frac{1-x^2}{2} h''(x) - x h'(x) - x \right\} + b \left\{ (1-x) h''(x) - h'(x) - 1 \right\} = 0 $$
「$f(x)$ がどのような一次関数であっても」成り立つためには、この等式が $a, b$ の恒等式とならなければならない。したがって、任意の $x$ について以下の2つの式が成り立つ。
$$ \begin{cases} \frac{1-x^2}{2} h''(x) - x h'(x) - x = 0 & \cdots \text{①} \\ (1-x) h''(x) - h'(x) - 1 = 0 & \cdots \text{②} \end{cases} $$
②より、
$$ (1-x) h''(x) = h'(x) + 1 \quad \cdots \text{③} $$
①の式の両辺を2倍して変形すると、
$$ (1+x)(1-x) h''(x) - 2x h'(x) - 2x = 0 $$
$$ (1+x)(1-x) h''(x) - 2x \{ h'(x) + 1 \} = 0 $$
ここに③を代入する。
$$ (1+x) \{ h'(x) + 1 \} - 2x \{ h'(x) + 1 \} = 0 $$
$$ (1-x) \{ h'(x) + 1 \} = 0 $$
この等式がすべての実数 $x$ で成り立つ。よって、$x \neq 1$ のとき、
$$ h'(x) + 1 = 0 $$
$$ h'(x) = -1 $$
$h(x)$ は $-\infty < x < \infty$ で2回微分可能であるから、導関数 $h'(x)$ は連続関数である。したがって、$x = 1$ のときも $h'(1) = -1$ となり、すべての実数 $x$ において $h'(x) = -1$ が成り立つ。 これを $x$ について積分して、
$$ h(x) = -x + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$
次に、条件 (2) の $u(0) = 0$ を用いる。与式に $x = 0$ を代入すると、
$$ u(0) = \int_0^0 h(t)f(t)dt + h(0)\int_0^1 f(t)dt $$
$$ 0 = h(0)\int_0^1 f(t)dt $$
これが任意の一次関数 $f(t)$ について成り立つ。たとえば $f(t) = 1$ (あるいは $f(t) = t$ など、積分値が $0$ にならない関数)とすれば $\int_0^1 f(t)dt \neq 0$ となるため、
$$ h(0) = 0 $$
であることが必要である。$h(x) = -x + C$ に $x = 0$ を代入すると、
$$ h(0) = C = 0 $$
よって、求める関数は $h(x) = -x$ である。
(逆に $h(x) = -x$ のとき、$u''(x) = f(x)$ と $u(0) = 0$ を満たすことはこれまでの計算から明らかであり、十分性も満たす。)
解説
定積分で表された関数の微分を正しく行えるかが最初の関門である。$\int_x^1 f(t)dt = -\int_1^x f(t)dt$ であることに注意し、積の微分公式を用いて $u'(x), u''(x)$ を計算する。
「$f(x)$ がどのような一次関数であっても」という記述は、$f(x) = ax+b$ とおいたときの係数 $a, b$ についての恒等式として処理せよというメッセージである。これにより $h(x)$ の満たすべき連立微分方程式が得られる。方程式の形から $(1-x)$ の項をうまく括り出すことで、比較的容易に $h'(x)$ を求めることができる。
また、最後に積分定数 $C$ を定めるために $u(0) = 0$ の条件を用いる点も、定積分関数の定石と言える。
答え
$$ h(x) = -x $$
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