大阪大学 1979年 理系 第1問 解説

方針・初手
与えられた条件 $PA \leqq PB$ および $PA \leqq PC$ がどのような図形的領域を表すかを把握する。 これらはそれぞれ、点 $P$ が辺 $AB$, $AC$ の垂直二等分線に関して点 $A$ と同じ側にあることを意味する。 三角形が鋭角三角形であることに注意して外心を作図し、領域 $G$ の面積を外接円の半径 $R$ と各頂角を用いて表し、面積の条件式から角 $B, C$ を決定する。
解法1
$\triangle ABC$ の外心を $O$ とし、辺 $AB, AC$ の中点をそれぞれ $M, N$ とする。
条件 $PA \leqq PB$ は、点 $P$ が線分 $AB$ の垂直二等分線(直線 $OM$)に関して点 $A$ と同じ側(境界を含む)にあることを表す。 同様に、条件 $PA \leqq PC$ は、点 $P$ が線分 $AC$ の垂直二等分線(直線 $ON$)に関して点 $A$ と同じ側(境界を含む)にあることを表す。
$\triangle ABC$ は鋭角三角形であるから、外心 $O$ は $\triangle ABC$ の内部に存在する。 したがって、点 $P$ の全体がつくる領域 $G$ は、四角形 $AMON$ の周および内部となる。 四角形 $AMON$ は $OM \perp AB$ かつ $ON \perp AC$ より、直角三角形 $\triangle AOM$ と $\triangle AON$ をつなぎ合わせた図形である。
外心 $O$ の性質から $\triangle AOM \equiv \triangle BOM$ であり、$\triangle AON \equiv \triangle CON$ であるため、領域 $G$ の面積 $S_G$ は以下のように表せる。
$$ S_G = \triangle AOM + \triangle AON = \frac{1}{2}\triangle AOB + \frac{1}{2}\triangle AOC $$
また、$\triangle ABC$ の面積を $S$ とすると、外心 $O$ が内部にあることから次が成り立つ。
$$ S = \triangle AOB + \triangle BOC + \triangle AOC $$
問題の条件より $S = 3S_G$ であるから、
$$ \triangle AOB + \triangle BOC + \triangle AOC = \frac{3}{2}\triangle AOB + \frac{3}{2}\triangle AOC $$
両辺を整理すると、次の関係式が得られる。
$$ 2\triangle BOC = \triangle AOB + \triangle AOC $$
$\triangle ABC$ の外接円の半径を $R$ とすると、鋭角三角形の外心と各辺がなす中心角はそれぞれ $2A, 2B, 2C$ となる。 それぞれの三角形の面積を $R$ と内角を用いて表すと、
$$ 2 \cdot \frac{1}{2} R^2 \sin 2A = \frac{1}{2} R^2 \sin 2C + \frac{1}{2} R^2 \sin 2B $$
両辺を $\frac{1}{2}R^2$ で割り、右辺の和の順序を入れ替えると、
$$ 2 \sin 2A = \sin 2B + \sin 2C $$
和積の公式を用いて右辺を変形する。
$$ 2 \sin 2A = 2 \sin(B+C) \cos(B-C) $$
$\triangle ABC$ の内角の和は $180^\circ$ であり、$A = 60^\circ$ であるから $B+C = 120^\circ$ となる。 これを代入し、さらに $\sin 2A = \sin 120^\circ$ であることに注意すると、
$$ 2 \sin 120^\circ = 2 \sin 120^\circ \cos(B-C) $$
$\sin 120^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2} \neq 0$ であるから、両辺を割って次を得る。
$$ \cos(B-C) = 1 $$
ここで、$\triangle ABC$ は鋭角三角形であるから $0^\circ < B < 90^\circ$ かつ $0^\circ < C < 90^\circ$ であり、角の差の範囲は $-90^\circ < B-C < 90^\circ$ となる。 この範囲において $\cos(B-C) = 1$ を満たすのは $B-C = 0$ のときのみである。
したがって $B = C$ が成り立ち、$A = 60^\circ$ と合わせて $A = B = C = 60^\circ$ を得る。 よって、$\triangle ABC$ は正三角形である。
解説
2点間の距離の大小関係 $PA \leqq PB$ が垂直二等分線を境界とする半平面を表すことは、図形と方程式の分野における基本知識である。 本問ではこれを利用して領域の面積を求めることになるが、外心 $O$ を用いて三角形を3つに分割する発想が鍵となる。 三角形が「鋭角三角形」であるという条件は、外心が三角形の内部に存在し、中心角がそれぞれ $2A, 2B, 2C$ と単純に表せることを保証するために必要不可欠な設定である。 最後に得られる三角関数の方程式は、和積の公式を利用して積の形を作ることで簡明に解くことができる。
答え
正三角形
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