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名古屋大学 1971年 理系 第4問 解説

数学1/図形計量数学2/三角関数数学3/微分法テーマ/面積・体積テーマ/不等式の証明
名古屋大学 1971年 理系 第4問 解説

方針・初手

正 $n$ 角形の面積 $S(n)$ を求めるためには、図形全体を $n$ 個の合同な二等辺三角形に分割して考えるとよい。1つの二等辺三角形の底辺の長さと中心角から高さを求め、面積を立式する。 面積の大小関係 $S(m) > S(n)$ を証明するためには、$n$ を実数 $x$ とみなして関数化し、微分法を用いて単調性を調べるのが定石である。角度に関する部分を別の変数に置き換えると計算が見やすくなる。

解法1

正 $n$ 角形の周の長さが $a$ であるから、1辺の長さは $\frac{a}{n}$ である。 この正 $n$ 角形に外接する円の中心と、各頂点を結んでできる $n$ 個の合同な二等辺三角形を考える。 この1つの二等辺三角形の頂角(中心角)は $\frac{2\pi}{n}$ である。 底辺の長さが $\frac{a}{n}$ であるから、中心から底辺に下ろした垂線の長さ(高さ $h$)は、

$$ h = \frac{\frac{a}{2n}}{\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} = \frac{a}{2n\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} $$

となる。したがって、1つの二等辺三角形の面積は、

$$ \frac{1}{2} \cdot \frac{a}{n} \cdot \frac{a}{2n\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} = \frac{a^2}{4n^2\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} $$

正 $n$ 角形はこの三角形が $n$ 個集まったものであるから、面積 $S(n)$ は、

$$ S(n) = n \cdot \frac{a^2}{4n^2\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} = \frac{a^2}{4n\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} $$

次に、$m > n$ ならば $S(m) > S(n)$ であることを示す。 $n$ は $3$ 以上の整数であるが、これを実数 $x$ ($x \ge 3$) とみなし、関数 $f(x) = x\tan\left(\frac{\pi}{x}\right)$ を定義してその増減を調べる。 $f(x)$ を $x$ について微分すると、

$$ f'(x) = 1 \cdot \tan\left(\frac{\pi}{x}\right) + x \cdot \frac{1}{\cos^2\left(\frac{\pi}{x}\right)} \cdot \left(-\frac{\pi}{x^2}\right) = \tan\left(\frac{\pi}{x}\right) - \frac{\pi}{x\cos^2\left(\frac{\pi}{x}\right)} $$

ここで、$\theta = \frac{\pi}{x}$ とおくと、$x \ge 3$ より $0 < \theta \le \frac{\pi}{3}$ である。$f'(x)$ を $\theta$ を用いて表すと、

$$ f'(x) = \tan\theta - \frac{\theta}{\cos^2\theta} = \frac{\sin\theta\cos\theta - \theta}{\cos^2\theta} = \frac{\frac{1}{2}\sin 2\theta - \theta}{\cos^2\theta} = \frac{\sin 2\theta - 2\theta}{2\cos^2\theta} $$

一般に、$t > 0$ において $\sin t < t$ が成り立つため($g(t) = t - \sin t$ とすると $g'(t) = 1 - \cos t \ge 0$ となり単調増加することから分かる)、$0 < 2\theta \le \frac{2\pi}{3}$ においても $\sin 2\theta < 2\theta$ が成り立つ。 したがって、分子の $\sin 2\theta - 2\theta$ は負となり、$f'(x) < 0$ であることがわかる。

$f'(x) < 0$ より、$f(x)$ は $x \ge 3$ において単調に減少する関数である。 よって、$m > n$ のとき $f(m) < f(n)$ となる。 $f(n) > 0$ であるから、逆数をとると不等号の向きが変わり、

$$ \frac{1}{f(m)} > \frac{1}{f(n)} $$

両辺に正の定数 $\frac{a^2}{4}$ を掛けることで、

$$ \frac{a^2}{4f(m)} > \frac{a^2}{4f(n)} $$

すなわち、$S(m) > S(n)$ が成り立つことが示された。

解説

周の長さが一定の正多角形において、角の数が増えるほど面積が大きくなる(極限は円になる)という「等周問題」の一端を題材にした問題である。 直感的には明らかだと思える事実でも、図形的なアプローチだけで厳密な証明を行うのは難しいため、$n$ を連続的な変数に拡張して微分法に持ち込むのが王道の手法である。 微分計算の際、分母の $n\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)$ をひとかたまりの関数として扱うか、角度を $\theta$ と置いて $S(\theta)$ の単調性を直接調べるかで計算の見通しが変わる。いずれにせよ $\sin t < t$ の有名不等式に行き着くことになる。

答え

$$ S(n) = \frac{a^2}{4n\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)} $$

(証明は解答過程の通り)

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