大阪大学 1981年 理系 第4問 解説

方針・初手
円の方程式から $y$ を $x$ について解き、条件に合う $f(x)$ の具体的な式を求める。導関数を計算して被積分関数を整理したのち、部分分数分解を利用して定積分を計算する。(2) では、(1) で得られた式を与えられた極限公式 $\lim_{h \to 0} \frac{\log(1+h)}{h} = 1$ が適用できる形に変形するため、適切な変数変換を行う。
解法1
(1)
点 $P(0, a)$ が中心で、$A(-1, 0), B(1, 0)$ を通るから、円 $C$ の半径を $r$ とすると、三平方の定理より
$$ 1^2 + a^2 = r^2 $$
が成り立つ。$a > 0$ であるから $r > 1$ であり、$a = \sqrt{r^2-1}$ となる。
円 $C$ の方程式は
$$ x^2 + (y-a)^2 = r^2 $$
$$ (y-a)^2 = r^2 - x^2 $$
$$ y = a \pm \sqrt{r^2-x^2} $$
$f(x)$ は円 $C$ の $x$ 軸より下にある部分、すなわち $y \leqq 0$ を満たす部分の $y$ 座標である。$a > 0$ より $y = a + \sqrt{r^2-x^2} \geqq a > 0$ となるため適さず、
$$ f(x) = a - \sqrt{r^2-x^2} $$
となる。これを微分すると
$$ f'(x) = - \frac{1}{2\sqrt{r^2-x^2}} \cdot (-2x) = \frac{x}{\sqrt{r^2-x^2}} $$
ゆえに、
$$ 1 + \{f'(x)\}^2 = 1 + \frac{x^2}{r^2-x^2} = \frac{r^2}{r^2-x^2} $$
したがって、求める定積分 $I$ は
$$ I = \int_{-1}^1 \frac{r^2}{r^2-x^2} dx $$
被積分関数は偶関数であるから、
$$ I = 2r^2 \int_0^1 \frac{1}{r^2-x^2} dx $$
$$ = 2r^2 \int_0^1 \frac{1}{2r} \left( \frac{1}{r-x} + \frac{1}{r+x} \right) dx $$
$$ = r \left[ - \log|r-x| + \log|r+x| \right]_0^1 $$
$$ = r \left[ \log \left| \frac{r+x}{r-x} \right| \right]_0^1 $$
$$ = r \log \frac{r+1}{r-1} $$
(ここで $r>1$ より $r+1>0, r-1>0$ なので絶対値記号は外すことができる)
(2)
(1) の結果より、
$$ I = r \log \frac{r+1}{r-1} $$
真数部分を以下のように変形する。
$$ \frac{r+1}{r-1} = \frac{r-1+2}{r-1} = 1 + \frac{2}{r-1} $$
よって、
$$ I = r \log \left( 1 + \frac{2}{r-1} \right) $$
ここで、$h = \frac{2}{r-1}$ とおくと、$r \to \infty$ のとき $h \to +0$ である。
また、$r-1 = \frac{2}{h}$ より $r = \frac{2}{h} + 1 = \frac{h+2}{h}$ となる。
これらを $I$ に代入すると、
$$ I = \frac{h+2}{h} \log(1+h) = (h+2) \frac{\log(1+h)}{h} $$
与えられた極限の式を用いて極限を計算すると、
$$ \lim_{r \to \infty} I = \lim_{h \to +0} (h+2) \frac{\log(1+h)}{h} = (0+2) \cdot 1 = 2 $$
解説
(1)では、円の方程式から関数の式を正しく導けるか、また偶関数の性質や部分分数分解を用いて積分計算を最後まで正確に行えるかが問われている。平方根を外す際、条件 $y \leqq 0$ から符号を適切に決定することに注意する。
(2)では、定積分の結果を与えられた公式の形に帰着させるための変数変換がポイントとなる。真数部分が分子・分母の次数が等しい分数式であることに着目し、$1 + (\text{微小量})$ の形を作り出すことで、極限の公式が自然に使えるようになる。
答え
(1)
$$ I = r \log \frac{r+1}{r-1} $$
(2)
$$ 2 $$
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