大阪大学 1983年 理系 第1問 解説

方針・初手
与えられた不等式の各辺は正であるため、全体を 2 乗しても同値性が保たれる。これを利用して $m^2 - 4n$ のとりうる値の範囲を絞り込み、さらに $m$ の偶奇性によって値を特定する。 (2) については、(1) で得られた $m, n$ の関係式を用いて、直接不等式の各辺の大小関係を評価する。
解法1
(1)
与えられた不等式 $\sqrt{n} \leqq \frac{m}{2} < \sqrt{n+1}$ の各辺は正であるから、全体を 2 乗して
$$ n \leqq \frac{m^2}{4} < n+1 $$
各辺を 4 倍すると
$$ 4n \leqq m^2 < 4n+4 $$
各辺から $4n$ を引くと
$$ 0 \leqq m^2 - 4n < 4 $$
$m, n$ は正の整数であるから、$m^2 - 4n$ も整数である。 したがって、$m^2 - 4n$ がとりうる値は $0, 1, 2, 3$ のいずれかである。
ここで、$m$ を 2 で割った余りで場合分けをして、$m^2$ を 4 で割った余りを調べる。
(i)
$m$ が偶数のとき
$m = 2L$($L$ は正の整数)とおける。
$$ m^2 = 4L^2 $$
となり、$m^2$ は 4 の倍数である。すなわち、$m^2$ を 4 で割った余りは $0$ である。
(ii)
$m$ が奇数のとき
$m = 2L - 1$($L$ は正の整数)とおける。
$$ m^2 = (2L - 1)^2 = 4L^2 - 4L + 1 = 4(L^2 - L) + 1 $$
となり、$m^2$ を 4 で割った余りは $1$ である。
(i), (ii) より、整数 $m$ に対し、$m^2$ を 4 で割った余りは $0$ または $1$ である。 一方、$m^2 - 4n = k$ とおくと、$m^2 = 4n + k$ であり、$4n$ は 4 の倍数であるから、$k$ は $m^2$ を 4 で割った余りそのものである。 よって、$k \in \{0, 1, 2, 3\}$ のうち条件を満たすのは $0$ と $1$ のみである。
したがって、$m^2 - 4n$ は $0$ または $1$ である。(証明終)
(2)
(1) の結果より、$m^2 - 4n = 0$ と $m^2 - 4n = 1$ の 2 つの場合に分けて示す。
(ア)
$m^2 - 4n = 0$ のとき
$m^2 = 4n$ であり、$m, n$ は正の整数なので $m = 2\sqrt{n}$ となる。 このとき、示すべき不等式は以下のようになる。
$$ 2\sqrt{n} < \sqrt{n} + \sqrt{n+1} < 2\sqrt{n} + 1 $$
まず、左側の不等式について考える。
$$ (\sqrt{n} + \sqrt{n+1}) - 2\sqrt{n} = \sqrt{n+1} - \sqrt{n} > 0 $$
であるため、$2\sqrt{n} < \sqrt{n} + \sqrt{n+1}$ は成り立つ。
次に、右側の不等式について考える。
$$ (2\sqrt{n} + 1) - (\sqrt{n} + \sqrt{n+1}) = \sqrt{n} + 1 - \sqrt{n+1} $$
ここで、$\sqrt{n} + 1$ と $\sqrt{n+1}$ の大小を比較する。両辺ともに正であるから 2 乗して比較すると、
$$ (\sqrt{n} + 1)^2 - (\sqrt{n+1})^2 = (n + 2\sqrt{n} + 1) - (n + 1) = 2\sqrt{n} > 0 $$
よって、$\sqrt{n+1} < \sqrt{n} + 1$ が成り立つ。 したがって、$\sqrt{n} + \sqrt{n+1} < 2\sqrt{n} + 1$ も成り立つ。 以上より、(ア) のとき不等式は成立する。
(イ)
$m^2 - 4n = 1$ のとき
$m^2 = 4n + 1$ であり、$m, n$ は正の整数なので $m = \sqrt{4n+1}$ となる。 このとき、示すべき不等式は以下のようになる。
$$ \sqrt{4n+1} < \sqrt{n} + \sqrt{n+1} < \sqrt{4n+1} + 1 $$
まず、左側の不等式について考える。両辺ともに正であるから、平方の差をとる。
$$ \begin{aligned} (\sqrt{n} + \sqrt{n+1})^2 - (\sqrt{4n+1})^2 &= (n + 2\sqrt{n(n+1)} + n + 1) - (4n + 1) \\ &= 2\sqrt{n^2+n} - 2n \\ &= 2(\sqrt{n^2+n} - \sqrt{n^2}) > 0 \end{aligned} $$
よって、$\sqrt{4n+1} < \sqrt{n} + \sqrt{n+1}$ は成り立つ。
次に、右側の不等式について考える。
$$ \sqrt{n} + \sqrt{n+1} < \sqrt{4n+1} + 1 $$
この両辺は正であるから、それぞれを 2 乗して比較する。
$$ \begin{aligned} (\sqrt{4n+1} + 1)^2 - (\sqrt{n} + \sqrt{n+1})^2 &= (4n + 1 + 2\sqrt{4n+1} + 1) - (2n + 1 + 2\sqrt{n^2+n}) \\ &= 2n + 1 + 2\sqrt{4n+1} - 2\sqrt{n^2+n} \end{aligned} $$
ここで、$n$ は正の整数であるため、
$$ (2n+1)^2 = 4n^2 + 4n + 1 > 4n^2 + 4n = (2\sqrt{n^2+n})^2 $$
すなわち、$2n+1 > 2\sqrt{n^2+n}$ が成り立つ。 したがって、
$$ 2n + 1 + 2\sqrt{4n+1} - 2\sqrt{n^2+n} > 2\sqrt{4n+1} > 0 $$
となる。 よって、$\sqrt{n} + \sqrt{n+1} < \sqrt{4n+1} + 1$ が成り立つ。 以上より、(イ) のときも不等式は成立する。
(ア), (イ) のいずれの場合も $m < \sqrt{n} + \sqrt{n+1} < m+1$ が成り立つことが示された。(証明終)
解説
(1) は平方数が 4 を法として $0$ または $1$ と合同であることを利用する典型的な整数問題の処理である。不等式から差が $0, 1, 2, 3$ のいずれかであることを導き、偶奇性による絞り込みを行う発想が問われている。 (2) は (1) の結果を利用して、具体的に $m$ を $n$ で表し、無理数の大小比較に帰着させる問題である。根号を含む不等式の証明では、両辺が正であることを確認した上で 2 乗の差をとる手法が有効となる。右辺の評価において、$(2n+1)^2 > 4n^2+4n$ という基本的な関係式を用いて $2\sqrt{n^2+n}$ を上から抑える工夫がポイントである。
答え
(1)
題意の不等式を平方して整理し、$m$ の偶奇による $m^2$ を 4 で割った余りの性質を用いることで示された。
(2)
(1)
の結果より $m^2 = 4n$ または $m^2 = 4n+1$ の場合について、各辺を平方して大小比較を行うことで示された。
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