大阪大学 2001年 理系 第1問 解説

方針・初手
問題文で定義された順序関係 $>>$ に従って、$z = x+yi$ ($x, y$ は実数) とおき、実部と虚部を比較して不等式を立式する。 (1)では、得られた複数の不等式を同時に満たす $(x, y)$ の条件を求め、$z$ の取りうる範囲を特定する。 (2)では、$|z-3i|$ が複素数平面上の点 $z$ と点 $3i$ との距離を表すことを利用し、(1)で求めた範囲における距離の最小値を調べる。
解法1
(1)
$z = x+yi$ ($x, y$ は実数) とおく。 $z^2 = (x+yi)^2 = (x^2 - y^2) + 2xyi$ であり、$3 = 3 + 0i$ であるから、$z^2 >> 3$ より以下の不等式が成り立つ。
$$ x^2 - y^2 \geqq 3 \quad \cdots \text{①} $$
$$ 2xy \geqq 0 \iff xy \geqq 0 \quad \cdots \text{②} $$
①より、$x$ と $y$ が同時に $0$ になることはないので $z \neq 0$ である。 したがって $-\frac{5}{z}$ が定義でき、分母を有理化すると次のように計算できる。
$$ -\frac{5}{z} = -\frac{5}{x+yi} = -\frac{5(x-yi)}{(x+yi)(x-yi)} = \frac{-5x+5yi}{x^2+y^2} = -\frac{5x}{x^2+y^2} + \frac{5y}{x^2+y^2}i $$
また $\bar{z} = x-yi$ であるから、$\bar{z} >> -\frac{5}{z}$ より以下の不等式が成り立つ。
$$ x \geqq -\frac{5x}{x^2+y^2} \quad \cdots \text{③} $$
$$ -y \geqq \frac{5y}{x^2+y^2} \quad \cdots \text{④} $$
③を変形すると、
$$ x \left( 1 + \frac{5}{x^2+y^2} \right) \geqq 0 $$
ここで $x^2+y^2 > 0$ より $1 + \frac{5}{x^2+y^2} > 0$ であるから、
$$ x \geqq 0 \quad \cdots \text{⑤} $$
同様に④を変形すると、
$$ -y \left( 1 + \frac{5}{x^2+y^2} \right) \geqq 0 \iff y \left( 1 + \frac{5}{x^2+y^2} \right) \leqq 0 $$
括弧内は正であるから、
$$ y \leqq 0 \quad \cdots \text{⑥} $$
⑤と⑥より $xy \leqq 0$ となる。これと②($xy \geqq 0$)を同時に満たす条件は $xy = 0$ である。 したがって $x = 0$ または $y = 0$ となる。
もし $x = 0$ とすると、①は $-y^2 \geqq 3$ となり、これを満たす実数 $y$ は存在しない。 よって $y = 0$ である。 このとき①は $x^2 \geqq 3$ となる。⑤($x \geqq 0$)とあわせて、
$$ x \geqq \sqrt{3} $$
以上より、求める複素数 $z$ の範囲は $z = x$ ($x \geqq \sqrt{3}$) となる。
(2)
(1)より $z$ は実数 $x$ であり、$x \geqq \sqrt{3}$ を満たす。 このとき $|z-3i|$ は、
$$ |z-3i| = |x-3i| = \sqrt{x^2 + (-3)^2} = \sqrt{x^2 + 9} $$
$x \geqq \sqrt{3}$ より $x^2 \geqq 3$ であるから、
$$ \sqrt{x^2 + 9} \geqq \sqrt{3 + 9} = \sqrt{12} = 2\sqrt{3} $$
等号は $x^2 = 3$ かつ $x \geqq \sqrt{3}$、すなわち $x = \sqrt{3}$ のとき成立する。 したがって、絶対値 $|z-3i|$ の最小値は $2\sqrt{3}$ であり、そのときの $z$ は $\sqrt{3}$ である。
解説
新しく定義された記号 $>>$ の意味を正しく理解し、実部と虚部に分けて不等式を立てる素直な問題である。 $-\frac{5}{z}$ を実部と虚部に分ける計算も基本通りに行えばよい。 得られた連立不等式から $xy \geqq 0$、$x \geqq 0$、$y \leqq 0$ を導き、そこから $y=0$ を絞り込む論理展開が本問の唯一のポイントと言える。 (2) は数式で処理しても容易だが、「点 $3i$ と、実軸上の $x \geqq \sqrt{3}$ の部分にある点との距離の最小値」という図形的な意味を考えてもすぐに答えが求まる。
答え
(1)
範囲:$z$ は $z \geqq \sqrt{3}$ を満たす実数 図示:複素数平面において、実軸上の $\sqrt{3}$ 以上の部分(境界点を含む、正の方向へ向かう半直線)。
(2)
最小値:$2\sqrt{3}$ 最小値を与える $z$:$z = \sqrt{3}$
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