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北海道大学 1998年 理系 第5問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
北海道大学 1998年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた複素数 $\frac{z}{2} + \frac{1}{z}$ が実数になる条件を処理することが第一歩です。複素数 $w$ が実数であるための条件は、$w = \bar{w}$ が成り立つこと、または極形式で表したときに虚部が $0$ になることです。

実数になる条件から $z$ が満たすべき図形(直線や円)を特定し、その後に「$0$ 以上 $2$ 以下」という不等式条件を適用して、図形上の範囲を絞り込みます。

解法1

$$w = \frac{z}{2} + \frac{1}{z}$$

とおく。$w$ は実数であるから、$w = \bar{w}$ が成り立つ。

$$\frac{z}{2} + \frac{1}{z} = \frac{\bar{z}}{2} + \frac{1}{\bar{z}}$$

両辺に $2z\bar{z}$ を掛けて分母を払うと、

$$z^2\bar{z} + 2\bar{z} = z\bar{z}^2 + 2z$$

$$z\bar{z}(z - \bar{z}) - 2(z - \bar{z}) = 0$$

$$(z - \bar{z})(|z|^2 - 2) = 0$$

したがって、$z = \bar{z}$ または $|z|^2 = 2$ である。 それぞれの場合について、$0 \leqq w \leqq 2$ となる条件を求める。

(i) $z = \bar{z}$ のとき

$z$ は実数である。$z \neq 0$ より $z$ は $0$ でない実数である。 このとき $w = \frac{z}{2} + \frac{1}{z}$ であり、条件 $0 \leqq w \leqq 2$ より、

$$0 \leqq \frac{z}{2} + \frac{1}{z} \leqq 2$$

$z > 0$ のとき、両辺に $2z$ を掛けると、

$$0 \leqq z^2 + 2 \leqq 4z$$

左側の不等式 $z^2 + 2 \geqq 0$ はすべての実数 $z$ で成り立つ。 右側の不等式 $z^2 - 4z + 2 \leqq 0$ を解くと、

$$2 - \sqrt{2} \leqq z \leqq 2 + \sqrt{2}$$

これは $z > 0$ を満たしている。

$z < 0$ のとき、両辺に $2z$ を掛けると不等号の向きが変わるため、

$$0 \geqq z^2 + 2 \geqq 4z$$

左側の不等式より $z^2 + 2 \leqq 0$ となるが、これを満たす実数 $z$ は存在しない。

よって、(i) の場合、$z$ は実軸上の $2 - \sqrt{2} \leqq z \leqq 2 + \sqrt{2}$ の範囲を動く。

(ii) $|z|^2 = 2$ のとき

$|z| = \sqrt{2}$ であり、$z\bar{z} = 2$ より $\frac{1}{z} = \frac{\bar{z}}{2}$ が成り立つ。 これを $w$ に代入すると、

$$w = \frac{z}{2} + \frac{\bar{z}}{2} = \frac{z + \bar{z}}{2}$$

これは複素数 $z$ の実部を表す。$z = x + yi$ ($x, y$ は実数)とおくと、$w = x$ となる。 条件 $0 \leqq w \leqq 2$ より、

$$0 \leqq x \leqq 2$$

また、$|z|^2 = 2$ より $z$ は円 $x^2 + y^2 = 2$ 上の点である。 この円上の点の実部 $x$ のとりうる範囲は $-\sqrt{2} \leqq x \leqq \sqrt{2}$ であるから、条件 $0 \leqq x \leqq 2$ との共通範囲をとって、

$$0 \leqq x \leqq \sqrt{2}$$

よって、(ii) の場合、$z$ は円 $x^2 + y^2 = 2$ のうち、実部が $0$ 以上である部分を動く。

解法2

$z$ を極形式で $z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$ ($r > 0, 0 \leqq \theta < 2\pi$)とおく。 これを $w = \frac{z}{2} + \frac{1}{z}$ に代入すると、ド・モアブルの定理より、

$$w = \frac{r}{2}(\cos\theta + i\sin\theta) + \frac{1}{r}(\cos(-\theta) + i\sin(-\theta))$$

$$w = \left( \frac{r}{2} + \frac{1}{r} \right)\cos\theta + i\left( \frac{r}{2} - \frac{1}{r} \right)\sin\theta$$

$w$ が実数であるためには、虚部が $0$ でなければならないから、

$$\left( \frac{r}{2} - \frac{1}{r} \right)\sin\theta = 0$$

したがって、$\frac{r}{2} - \frac{1}{r} = 0$ または $\sin\theta = 0$ である。

(i) $\sin\theta = 0$ のとき

$0 \leqq \theta < 2\pi$ より、$\theta = 0, \pi$ である。

$\theta = 0$ のとき、$z = r > 0$(正の実数)となる。 $w = \frac{r}{2} + \frac{1}{r}$ となり、条件 $0 \leqq w \leqq 2$ より、

$$0 \leqq \frac{r}{2} + \frac{1}{r} \leqq 2$$

両辺に $2r > 0$ を掛けて整理すると $r^2 - 4r + 2 \leqq 0$ となり、これを解いて、

$$2 - \sqrt{2} \leqq r \leqq 2 + \sqrt{2}$$

$\theta = \pi$ のとき、$z = -r < 0$(負の実数)となる。 $w = -\left(\frac{r}{2} + \frac{1}{r}\right)$ となるが、$r > 0$ より $w < 0$ となるため、$0 \leqq w \leqq 2$ を満たさない。

(ii) $\frac{r}{2} - \frac{1}{r} = 0$ のとき

$r^2 = 2$ であり、$r > 0$ より $r = \sqrt{2}$ である。 このとき、複素数 $z$ は原点を中心とする半径 $\sqrt{2}$ の円周上にある。 また、虚部が $0$ になるため $w = \left( \frac{\sqrt{2}}{2} + \frac{1}{\sqrt{2}} \right)\cos\theta = \sqrt{2}\cos\theta$ となる。 条件 $0 \leqq w \leqq 2$ より、

$$0 \leqq \sqrt{2}\cos\theta \leqq 2$$

$$0 \leqq \cos\theta \leqq \sqrt{2}$$

$\cos\theta \leqq \sqrt{2}$ は常に成り立つため、$0 \leqq \cos\theta$ が条件となる。 これは $z$ の実部 $x = \sqrt{2}\cos\theta$ が $x \geqq 0$ であることを意味する。

解説

複素数 $w$ が実数であるという条件を数式に翻訳する際、「$w = \bar{w}$ を用いる方法」と「極形式を用いて虚部を $0$ とする方法」の2つの典型的なアプローチがあります。本問のような $z$ と $\frac{1}{z}$ の和の形(ジュコーフスキー変換と関連する形)では、どちらの方針でもスムーズに計算を進めることができます。

$w$ が実数になる条件から $z$ の軌跡が「実軸の一部」と「円の一部」に分かれることがポイントです。軌跡全体を求めたあとで、最後に $0 \leqq w \leqq 2$ という不等式条件を適用して、それぞれの図形のどの部分が該当するのかを丁寧に絞り込むとミスを防げます。

答え

$z = x + yi$ ($x, y$ は実数)とおくとき、点の集合を表す式は以下の通りである。

$$y = 0 \text{ かつ } 2-\sqrt{2} \leqq x \leqq 2+\sqrt{2}$$

または

$$x^2 + y^2 = 2 \text{ かつ } x \geqq 0$$

図示すると、以下の図形の和集合となる。

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