大阪大学 2003年 理系 第2問 解説

方針・初手
(1) は、両辺の差をとって新たな関数 $f(t)$ を設定し、微分を用いて関数の増減を調べるという不等式証明の定石に従う。 (2) は、与えられた $2$ 点における接線の方程式を求め、それらを連立して交点の $x$ 座標を式で表す。その $x$ 座標が正であることの証明には、(1) で示した不等式を利用する誘導形式となっているため、得られた $x$ 座標の式と (1) の不等式の形を見比べて適切な代入を見つけることがポイントとなる。
解法1
(1)
両辺の差をとり、関数 $f(t)$ を
$$ f(t) = -\frac{1-t}{1+t} - \frac{\log t}{2} = \frac{t-1}{t+1} - \frac{\log t}{2} $$
とおく。
$t > 0$ において $f(t)$ を微分すると、
$$ f'(t) = \frac{1 \cdot (t+1) - (t-1) \cdot 1}{(t+1)^2} - \frac{1}{2t} = \frac{2}{(t+1)^2} - \frac{1}{2t} $$
通分して整理すると、
$$ f'(t) = \frac{4t - (t+1)^2}{2t(t+1)^2} = \frac{-t^2 + 2t - 1}{2t(t+1)^2} = -\frac{(t-1)^2}{2t(t+1)^2} $$
となる。
$0 < t < 1$ においては、$t \neq 1$ より $(t-1)^2 > 0$ であり、$2t > 0$ かつ $(t+1)^2 > 0$ であるから、
$$ f'(t) < 0 $$
が成り立つ。
したがって、関数 $f(t)$ は $0 < t < 1$ において単調に減少する。
また、関数 $f(t)$ は $t=1$ において連続であり、その値は
$$ f(1) = \frac{1-1}{1+1} - \frac{\log 1}{2} = 0 $$
である。
よって、$0 < t < 1$ の範囲において $f(t) > f(1) = 0$ が成り立つので、
$$ \frac{t-1}{t+1} - \frac{\log t}{2} > 0 $$
$$ \frac{\log t}{2} < \frac{t-1}{t+1} = -\frac{1-t}{1+t} $$
となり、$0 < t < 1$ のとき、不等式 $\frac{\log t}{2} < -\frac{1-t}{1+t}$ が成り立つことが示された。
(2)
曲線 $C: y = e^{kx}$ について、導関数は $y' = k e^{kx}$ である。
点 $P(a, e^{ka})$ における接線の方程式は、
$$ y - e^{ka} = k e^{ka} (x - a) $$
すなわち、
$$ y = k e^{ka} x + (1 - ka) e^{ka} \quad \cdots ① $$
となる。
点 $Q(-a, e^{-ka})$ における接線の方程式は、同様にして、
$$ y - e^{-ka} = k e^{-ka} (x - (-a)) $$
すなわち、
$$ y = k e^{-ka} x + (1 + ka) e^{-ka} \quad \cdots ② $$
となる。
①と②の交点の $x$ 座標を求める。①と②から $y$ を消去すると、
$$ k e^{ka} x + (1 - ka) e^{ka} = k e^{-ka} x + (1 + ka) e^{-ka} $$
$$ k(e^{ka} - e^{-ka})x = (1 + ka) e^{-ka} - (1 - ka) e^{ka} $$
ここで、$k > 0, a > 0$ より $ka > 0$ である。底 $e > 1$ であるから $e^{ka} > e^0 = 1 > e^{-ka}$ となり、$e^{ka} - e^{-ka} > 0$ である。 したがって、$k(e^{ka} - e^{-ka}) \neq 0$ であり、交点の $x$ 座標は
$$ x = \frac{(1 + ka) e^{-ka} - (1 - ka) e^{ka}}{k(e^{ka} - e^{-ka})} \quad \cdots ③ $$
と表される。
③の分母について、$k > 0$ かつ $e^{ka} - e^{-ka} > 0$ であるから、分母 $k(e^{ka} - e^{-ka}) > 0$ である。 次に、③の分子について考える。
(1) で示した不等式において、$t = e^{-2ka}$ とおく。 $ka > 0$ より $-2ka < 0$ であるから、$0 < e^{-2ka} < 1$ となり、(1) の条件 $0 < t < 1$ を満たしている。 したがって、(1) の不等式に代入すると、
$$ \frac{\log(e^{-2ka})}{2} < \frac{e^{-2ka} - 1}{e^{-2ka} + 1} $$
$$ \frac{-2ka}{2} < \frac{e^{-ka}(e^{-ka} - e^{ka})}{e^{-ka}(e^{-ka} + e^{ka})} $$
$$ -ka < \frac{e^{-ka} - e^{ka}}{e^{-ka} + e^{ka}} $$
両辺に $e^{-ka} + e^{ka} > 0$ をかけて整理すると、
$$ -ka(e^{-ka} + e^{ka}) < e^{-ka} - e^{ka} $$
$$ e^{ka} - e^{-ka} - ka e^{-ka} - ka e^{ka} < 0 $$
$$ (1 - ka)e^{ka} - (1 + ka)e^{-ka} < 0 $$
$$ (1 + ka)e^{-ka} - (1 - ka)e^{ka} > 0 $$
これより、交点の $x$ 座標を表す③の分子が正であることがわかる。
以上より、交点の $x$ 座標を表す分数式は、分母も分子も正であるから、$x > 0$ となる。 したがって、交点の $x$ 座標は常に正であることが示された。
解説
(1) は不等式証明の典型問題であり、差をとって微分し、関数の増減を調べる手順を正確に実行することが求められる。 (2) は、計算によって交点の $x$ 座標を導き出した後、いかにしてその符号を判定するかが鍵となる。複雑な式が現れるが、(1) が誘導になっていることに気づき、式の形を観察して $t = e^{-2ka}$ という置き換えを見つけることができれば、簡潔に証明を完遂できる。
答え
(1)
差をとった関数 $f(t) = -\frac{1-t}{1+t} - \frac{\log t}{2}$ が $0 < t < 1$ において単調減少することを用いて示された。
(2)
交点の $x$ 座標を求め、(1) の不等式に $t = e^{-2ka}$ を代入して利用することで、常に正であることが示された。
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