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大阪大学 2003年 理系 第3問 解説

数学2/式と証明数学2/三角関数数学1/方程式不等式テーマ/整式の証明
大阪大学 2003年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は「整式の次数」と「方程式の実数解の個数」の関係に着目する。零多項式でない $n$ 次方程式は高々 $n$ 個の実数解しか持たないという性質を利用して、背理法で証明する。

(2) は (1) の誘導をうまく利用する。与えられた等式がすべての実数 $x$ で成り立つことを用いて、特定の値を代入し、$f_1(x)$, $f_2(x)$, $f_3(x)$ がそれぞれ単独で $0$ になるような無限数列を見つけ出し、(1) に帰着させる。

解法1

(1) $f(x)$ が整式として $0$ でない(零多項式ではない)と仮定し、その次数を $n$($n \ge 0$ の整数)とする。

代数学の基本定理(あるいは因数定理)より、$n$ 次方程式 $f(x) = 0$ の実数解は高々 $n$ 個である。

一方、数列 $\{a_k\}$ は $a_k < a_{k+1}$ を満たすため、各項はすべて互いに異なる実数である。 条件 $f(a_k) = 0 \ (k = 1, 2, \cdots \cdots)$ より、$f(x) = 0$ は互いに異なる無数に多くの実数解 $a_k$ を持つことになる。

これは方程式 $f(x) = 0$ の実数解が高々 $n$ 個であることに矛盾する。 したがって、$f(x)$ は整式として $0$ であることが示された。

(2) 前提として、すべての実数 $x$ に対して以下の等式が成り立つ。

$$ f_1(x) + f_2(x)\sin x + f_3(x)\sin 2x = 0 \quad \cdots \ (\ast) $$

(i)

$f_1(x)$ について $(\ast)$ に $x = k\pi$ ($k = 1, 2, \cdots \cdots$) を代入する。 $\sin(k\pi) = 0$ および $\sin(2k\pi) = 0$ であるから、以下の式を得る。

$$ f_1(k\pi) = 0 $$

ここで、数列 $\{a_k\}$ を $a_k = k\pi$ と定めると、$a_k < a_{k+1}$ かつ $\lim_{k \to \infty} a_k = \infty$ を満たす。 すべての $k = 1, 2, \cdots \cdots$ に対して $f_1(a_k) = 0$ となるため、(1) の結果より $f_1(x)$ は整式として $0$ である。

(ii)

$f_2(x)$ について $f_1(x) = 0$ であることが分かったので、$(\ast)$ は以下のように簡略化される。

$$ f_2(x)\sin x + f_3(x)\sin 2x = 0 \quad \cdots \ (\ast \ast) $$

この式に $x = 2k\pi + \frac{\pi}{2}$ ($k = 1, 2, \cdots \cdots$) を代入する。 $\sin\left(2k\pi + \frac{\pi}{2}\right) = 1$ であり、$\sin\left(2\left(2k\pi + \frac{\pi}{2}\right)\right) = \sin(4k\pi + \pi) = 0$ であるから、$(\ast \ast)$ は以下のようになる。

$$ f_2\left(2k\pi + \frac{\pi}{2}\right) \cdot 1 + f_3\left(2k\pi + \frac{\pi}{2}\right) \cdot 0 = 0 $$

$$ f_2\left(2k\pi + \frac{\pi}{2}\right) = 0 $$

数列 $\{b_k\}$ を $b_k = 2k\pi + \frac{\pi}{2}$ と定めると、$b_k < b_{k+1}$ かつ $\lim_{k \to \infty} b_k = \infty$ を満たす。 (1) の結果より、$f_2(x)$ は整式として $0$ である。

(iii)

$f_3(x)$ について $f_2(x) = 0$ であることが分かったので、$(\ast \ast)$ はさらに以下のように簡略化される。

$$ f_3(x)\sin 2x = 0 \quad \cdots \ (\ast \ast \ast) $$

この式に $x = k\pi + \frac{\pi}{4}$ ($k = 1, 2, \cdots \cdots$) を代入する。 $\sin\left(2\left(k\pi + \frac{\pi}{4}\right)\right) = \sin\left(2k\pi + \frac{\pi}{2}\right) = 1$ であるから、$(\ast \ast \ast)$ は以下のようになる。

$$ f_3\left(k\pi + \frac{\pi}{4}\right) \cdot 1 = 0 $$

$$ f_3\left(k\pi + \frac{\pi}{4}\right) = 0 $$

数列 $\{c_k\}$ を $c_k = k\pi + \frac{\pi}{4}$ と定めると、$c_k < c_{k+1}$ かつ $\lim_{k \to \infty} c_k = \infty$ を満たす。 (1) の結果より、$f_3(x)$ は整式として $0$ である。

以上 (i), (ii), (iii) より、$f_1(x), f_2(x), f_3(x)$ はいずれも整式として $0$ であることが示された。

解説

多項式の恒等定理($n$ 次多項式が $n+1$ 個以上の異なる値で $0$ となるなら、それは恒等的に $0$ である)を背景とした証明問題である。

(1) は背理法を用い、多項式の次数と方程式の解の個数に上限があることを根拠にするのが最も簡潔な記述となる。

(2) は典型的な代入法による関数の決定である。「すべての実数 $x$ に対して成り立つ」という条件から、都合の良い $x$ を選んで代入することができる。$\sin x$ や $\sin 2x$ がそれぞれ $0$ や $1$ になるような $x$ を規則的に選び出し、(1) で証明した「無限に解を持つならば $0$」という事実の形に帰着させるのがポイントである。選ぶ数列は条件を満たせば他でも構わないが、符号の変化などを気にしなくて済むよう、$\sin$ の値が常に $1$ となる系列を選ぶと記述が安全になる。

答え

(1)

整式の次数と実数解の個数の上限を用いて、背理法により示された(解法1参照)。

(2)

$x = k\pi$, $x = 2k\pi + \frac{\pi}{2}$, $x = k\pi + \frac{\pi}{4}$ を順次代入し、(1) の結果を繰り返し適用することで示された(解法1参照)。

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