九州大学 1973年 文系 第3問 解説

方針・初手
- (1) は方程式の実数解の個数の問題である。定数 $a$ を分離してグラフの共有点を調べる方法と、3次関数 $f(x) = x^3 - ax - 2$ の極値に注目する方法がある。定数分離をすると (2) への見通しが良くなる。
- (2) は $4a < 3\alpha^2$ という不等式を示す。(1) の定数分離で得られた $a = \alpha^2 - \frac{2}{\alpha}$ を代入することで、$\alpha$ のみの不等式に帰着させる。
解法1
(1)
方程式 $x^3 - ax - 2 = 0$ において、$x = 0$ とすると $-2 = 0$ となり成り立たないため、$x \neq 0$ である。
両辺を $x$ で割ると、
$$x^2 - \frac{2}{x} = a$$
$g(x) = x^2 - \frac{2}{x}$ とおく。与えられた方程式がただ1つの実根をもつことは、関数 $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点がただ1つであることと同値である。
$g(x)$ を微分すると、
$$g'(x) = 2x + \frac{2}{x^2} = \frac{2x^3 + 2}{x^2} = \frac{2(x+1)(x^2 - x + 1)}{x^2}$$
ここで、$x^2 - x + 1 = \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} > 0$ であるから、$g'(x) = 0$ となるのは $x = -1$ のときのみである。
$g(-1) = (-1)^2 - \frac{2}{-1} = 3$ であるから、$g(x)$ の増減表は以下のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | |
| $g(x)$ | $\searrow$ | $3$ | $\nearrow$ | $\nearrow$ |
さらに極限を調べると、
$$\lim_{x \to -\infty} g(x) = \infty$$
$$\lim_{x \to 0-0} g(x) = \infty$$
$$\lim_{x \to 0+0} g(x) = -\infty$$
$$\lim_{x \to \infty} g(x) = \infty$$
以上より、$y = g(x)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点がただ1つになるための条件は、直線 $y = a$ が極小値 $3$ よりも下にあることである。
よって、求める $a$ の範囲は
$$a < 3$$
(2)
$\alpha$ は方程式 $x^3 - ax - 2 = 0$ のただ1つの実根であるから、(1) より $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = a$ の唯一の共有点の $x$ 座標が $\alpha$ である。
$a < 3$ のとき、$y = g(x)$ と $y = a$ の共有点は $x > 0$ の範囲にのみ存在するため、
$$\alpha > 0$$
である。
また、$g(2) = 2^2 - \frac{2}{2} = 3$ であり、$x > 0$ において $g(x)$ は単調に増加するため、$g(\alpha) = a < 3 = g(2)$ より、
$$\alpha < 2$$
が成り立つ。
したがって、$0 < \alpha < 2$ である。
$\alpha > 0$ より、各辺を3乗すると
$$\alpha^3 < 8$$
$$\alpha^3 - 8 < 0$$
両辺を $\alpha (> 0)$ で割ると、
$$\alpha^2 - \frac{8}{\alpha} < 0$$
$$4\alpha^2 - \frac{8}{\alpha} < 3\alpha^2$$
$$4\left(\alpha^2 - \frac{2}{\alpha}\right) < 3\alpha^2$$
ここで、$\alpha$ は $a = \alpha^2 - \frac{2}{\alpha}$ を満たすので、
$$4a < 3\alpha^2$$
が成り立つことが示された。
解法2
(1)
$f(x) = x^3 - ax - 2$ とおく。方程式がただ1つの実根をもつ条件を求める。
$$f'(x) = 3x^2 - a$$
(i) $a \le 0$ のとき
常に $f'(x) \ge 0$ となり、$f(x)$ は単調に増加する。
$\lim_{x \to -\infty} f(x) = -\infty$, $\lim_{x \to \infty} f(x) = \infty$ であるから、$y = f(x)$ のグラフは $x$ 軸とただ1つの共有点をもつ。よって条件を満たす。
(ii) $a > 0$ のとき
$f'(x) = 0$ は $x = \pm \sqrt{\frac{a}{3}}$ の2つの実数解をもつ。
$f(x)$ は $x = -\sqrt{\frac{a}{3}}$ で極大、$x = \sqrt{\frac{a}{3}}$ で極小となる。
$f(x) = 0$ がただ1つの実根をもつための条件は、(極大値)と(極小値)が同符号になること、すなわち
$$f\left(-\sqrt{\frac{a}{3}}\right) f\left(\sqrt{\frac{a}{3}}\right) > 0$$
である。
$$f\left(\sqrt{\frac{a}{3}}\right) = \frac{a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} - a\sqrt{\frac{a}{3}} - 2 = -\frac{2a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} - 2$$
$$f\left(-\sqrt{\frac{a}{3}}\right) = -\frac{a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} + a\sqrt{\frac{a}{3}} - 2 = \frac{2a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} - 2$$
よって、
$$\left( -2 + \frac{2a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} \right) \left( -2 - \frac{2a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} \right) > 0$$
$$4 - \frac{4a^3}{27} > 0$$
$$a^3 < 27$$
$a$ は実数であるから、$a < 3$ を得る。これは $a > 0$ の条件のもとで $0 < a < 3$ となる。
(i), (ii) より、求める $a$ の範囲は
$$a < 3$$
(2)
$\alpha$ は $f(x) = 0$ の実根であるから、$f(\alpha) = 0$ すなわち $a = \alpha^2 - \frac{2}{\alpha}$ を満たす。($\alpha=0$ は $f(0)=-2 \neq 0$ より不適)
示すべき不等式 $4a < 3\alpha^2$ に代入すると、
$$4\left(\alpha^2 - \frac{2}{\alpha}\right) < 3\alpha^2$$
$$\alpha^2 - \frac{8}{\alpha} < 0$$
$$\frac{\alpha^3 - 8}{\alpha} < 0$$
これが成り立つことを示せばよい。
ここで、方程式 $f(x) = 0$ において、
$$f(0) = -2 < 0$$
$$f(2) = 2^3 - 2a - 2 = 6 - 2a = 2(3-a)$$
(1) より $a < 3$ であるから、$f(2) > 0$ である。
(i) $a \le 0$ のとき
$f(x)$ は単調増加であるから、$f(0) < 0 < f(2)$ より、唯一の実根 $\alpha$ は $0 < \alpha < 2$ の範囲に存在する。
(ii) $0 < a < 3$ のとき
$f(x)$ は $x = \sqrt{\frac{a}{3}}$ で負の極小値をとる。この極小値をとる $x$ 座標は $\sqrt{\frac{a}{3}} < \sqrt{\frac{3}{3}} = 1$ である。
極大値は正であるため負の実根は存在せず、正の実根 $\alpha$ は極小値をとる $x$ よりも大きい。
したがって、$f(0) < 0$ と $f(2) > 0$ より、実根 $\alpha$ は $0 < \alpha < 2$ の範囲に存在する。
いずれの場合も $0 < \alpha < 2$ が成り立つ。
これより $\alpha > 0$ かつ $\alpha^3 < 8$ であるから、
$$\frac{\alpha^3 - 8}{\alpha} < 0$$
は成立する。
よって、
$$4a < 3\alpha^2$$
が示された。
解説
- (1) のように方程式の解の個数を問う問題では、「定数分離」と「関数の極値を調べる」という2つの定石がある。本問では (2) で $a$ を消去する操作を行うことを考えると、あらかじめ $a = \dots$ の形を作っておく定数分離のほうが自然に方針を立てられる。
- 定数分離を行う際、$x$ で割ることになるが、その前に $x = 0$ が方程式の解にならないことを確認する記述を忘れないようにする。
- (2) では示すべき不等式 $4a < 3\alpha^2$ に $a$ と $\alpha$ が混在しているが、方程式の条件から $a$ を $\alpha$ で表すことができる。これにより、不等式を $\alpha$ のみの条件($0 < \alpha < 2$)に帰着させるのがポイントである。
答え
(1)
$$a < 3$$
(2)
証明略(解法参照)
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