トップ 東北大学 1974年 文系 第3問

東北大学 1974年 文系 第3問 解説

数学2/三角関数数学2/図形と式数学3/積分法テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
東北大学 1974年 文系 第3問 解説

方針・初手

(1) では、与えられた関数 $f(\theta) = (x\cos\theta+y\sin\theta)^2$ の最大値 $M(x,y)$ を求める。展開して $2\theta$ の三角関数で表し、三角関数の合成を利用して考えるのが定石である。あるいは、関数全体をベクトル $\vec{a}=(x,y)$ と $\vec{e}=(\cos\theta, \sin\theta)$ の内積の2乗と捉え、図形的に最大値を求めることもできる。 (2) では、(1) の結果をもとに $M(x,y) \leqq 1$ を図示する。その後、直線 $x+y=0$ に直交する新しい座標系を導入し、回転体の体積を定積分によって求める。

解法1

(1) $f(\theta) = (x \cos\theta + y \sin\theta)^2$ を展開して変形する。

$$ \begin{aligned} f(\theta) &= x^2 \cos^2\theta + 2xy \sin\theta \cos\theta + y^2 \sin^2\theta \\ &= x^2 \cdot \frac{1+\cos 2\theta}{2} + xy \sin 2\theta + y^2 \cdot \frac{1-\cos 2\theta}{2} \\ &= \frac{x^2+y^2}{2} + xy \sin 2\theta + \frac{x^2-y^2}{2} \cos 2\theta \end{aligned} $$

ここで $x=y=0$ のときは常に $f(\theta)=0$ であり、$M(0,0)=0$ となる。これは以降の結果にも含まれるため、以下 $x^2+y^2 > 0$ として考える。 三角関数の合成を用いると、

$$ f(\theta) = \frac{x^2+y^2}{2} + \frac{x^2+y^2}{2} \sin(2\theta+\alpha) $$

となる。ただし、角 $\alpha$ は

$$ \cos\alpha = \frac{2xy}{x^2+y^2}, \quad \sin\alpha = \frac{x^2-y^2}{x^2+y^2} $$

を満たす角である。$\theta$ の範囲は $0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$ であるから、$2\theta$ の範囲は $0 \leqq 2\theta \leqq \pi$ となる。 したがって、角 $2\theta+\alpha$ は幅 $\pi$ の区間 $[\alpha, \alpha+\pi]$ を動く。

(i) $xy \geqq 0$ のとき

$x^2+y^2 > 0$ より $\cos\alpha \geqq 0$ であるため、角 $\alpha$ は $-\frac{\pi}{2} \leqq \alpha \leqq \frac{\pi}{2}$ の範囲にとれる。 このとき、動く区間 $[\alpha, \alpha+\pi]$ の長さは $\pi$ であり、必ず $\frac{\pi}{2}$ を含む。 よって、$\sin(2\theta+\alpha)$ の最大値は $1$ となる。

$$ M(x,y) = \frac{x^2+y^2}{2} + \frac{x^2+y^2}{2} \cdot 1 = x^2+y^2 $$

(ii) $xy < 0$ のとき

$\cos\alpha < 0$ であるため、角 $\alpha$ は $\frac{\pi}{2} < \alpha < \frac{3\pi}{2}$ の範囲にとれる。 このとき、動く区間 $[\alpha, \alpha+\pi]$ は $\frac{\pi}{2}$ や $\frac{5\pi}{2}$ などの $\sin$ の値が $1$ となる角度を含まない。 したがって、$\sin(2\theta+\alpha)$ は区間の両端 $2\theta=0$ または $2\theta=\pi$ のいずれかで最大となる。 両端での値は $\sin\alpha$ と $\sin(\pi+\alpha) = -\sin\alpha$ であるから、その最大値は $|\sin\alpha|$ となる。

$$ |\sin\alpha| = \left| \frac{x^2-y^2}{x^2+y^2} \right| = \frac{|x^2-y^2|}{x^2+y^2} $$

これより、

$$ \begin{aligned} M(x,y) &= \frac{x^2+y^2}{2} + \frac{x^2+y^2}{2} \cdot \frac{|x^2-y^2|}{x^2+y^2} \\ &= \frac{x^2+y^2+|x^2-y^2|}{2} \end{aligned} $$

絶対値をはずすと、$x^2 \geqq y^2$ のときは $\frac{x^2+y^2+(x^2-y^2)}{2} = x^2$ となり、$x^2 < y^2$ のときは $\frac{x^2+y^2-(x^2-y^2)}{2} = y^2$ となる。 すなわち、

$$ M(x,y) = \max(x^2, y^2) $$

である。

解法2

(1) ベクトルの内積を利用する別解。

$\vec{a} = (x,y)$、$\vec{e} = (\cos\theta, \sin\theta)$ とおくと、$f(\theta)$ は内積の2乗で表される。

$$ f(\theta) = (\vec{a} \cdot \vec{e})^2 $$

$\vec{e}$ は単位ベクトルであり、$0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$ より、座標平面の第1象限における単位円周上の点を動く。 $\vec{a}$ と $\vec{e}$ のなす角を $\phi$ とすると、内積の定義より

$$ f(\theta) = (|\vec{a}| |\vec{e}| \cos\phi)^2 = (x^2+y^2) \cos^2\phi $$

したがって、$f(\theta)$ が最大となるのは、$\cos^2\phi$ が最大、すなわち $|\phi|$ が最小となるときである。点 $(x,y)$ の位置で場合分けを行う。

(i) $xy \geqq 0$ のとき

点 $(x,y)$ は第1象限または第3象限(軸上を含む)にある。 第1象限にあるとき、$\vec{e}$ の動く範囲に $\vec{a}$ と同じ向きのベクトルが存在し $\phi=0$ とできるため、$\cos^2\phi$ の最大値は $1$。 第3象限にあるとき、$\vec{e}$ の動く範囲に $\vec{a}$ と逆向きのベクトルが存在し $\phi=\pi$ とできるため、$\cos^2\phi$ の最大値は $1$。 よって、$M(x,y) = x^2+y^2$。

(ii) $xy < 0$ のとき

点 $(x,y)$ は第2象限または第4象限にある。$\vec{e}$ は第1象限にしか存在できないため、$\vec{a}$ と $\vec{e}$ が平行(または逆平行)になることはない。 点 $(x,y)$ が第4象限 ($x>0, y<0$) にあるとき、$\vec{e}$ の動く範囲の中で $\vec{a}$ に最も近づく($\phi$ の絶対値が最小となる)のは、$\vec{e} = (1, 0)$ つまり $\theta=0$ のときである。 このとき、

$$ f(0) = (x \cdot 1 + y \cdot 0)^2 = x^2 $$

点 $(x,y)$ が第2象限 ($x<0, y>0$) にあるとき、$\vec{a}$ に最も近づくのは $\vec{e} = (0, 1)$ つまり $\theta=\frac{\pi}{2}$ のときである。 このとき、

$$ f\left(\frac{\pi}{2}\right) = (x \cdot 0 + y \cdot 1)^2 = y^2 $$

以上をまとめると、$xy < 0$ のときの最大値は $x^2$ と $y^2$ のうち大きい方となるため、

$$ M(x,y) = \max(x^2, y^2) $$

となる。

解法((2) 領域の図示と体積)

(1) の結果より、$M(x,y) \leqq 1$ が表す領域 $G$ の条件は次のようになる。

$$ x^2+y^2 \leqq 1 $$

これは原点を中心とする半径 $1$ の円の内部である。

$$ \max(x^2, y^2) \leqq 1 \iff x^2 \leqq 1 \text{ かつ } y^2 \leqq 1 $$

これは $-1 \leqq x \leqq 1$ かつ $-1 \leqq y \leqq 1$ が表す正方形の内部である。

したがって、領域 $G$ は、第1・第3象限にある半径 $1$ の四分円と、第2・第4象限にある一辺の長さが $1$ の正方形(頂点が原点と軸上および $(\pm 1, \mp 1)$ にある)を合わせた図形となる。境界はすべて含む。

次に、この領域 $G$ を直線 $x+y=0$ のまわりに回転して得られる立体の体積 $V$ を求める。 直線 $x+y=0$ を回転軸と捉えやすくするため、点 $(x,y)$ から直線 $x+y=0$ への距離を $v$ とし、直線 $x-y=0$ への符号付き距離を $u$ とする座標変換を行う。

$$ u = \frac{x-y}{\sqrt{2}}, \quad v = \frac{|x+y|}{\sqrt{2}} $$

$(x,y)$ 座標系と $(u,v)$ 座標系は回転移動の関係にあるため、$u$ 軸のまわりの回転体の体積を計算すればよい。 領域 $G$ は原点および直線 $y=x$ に関して対称であるから、$u \geqq 0$(すなわち $x \geqq y$)の部分を $u$ 軸のまわりに回転させた体積を求め、それを2倍することで $V$ を得る。

$u \geqq 0$ の領域は、第1象限の四分円の下半分と、第4象限の正方形からなる。それぞれの区間における回転半径($u$ に対する $v$ の最大値)を求める。

(ア) $0 \leqq u \leqq \frac{1}{\sqrt{2}}$ の区間

この部分は円 $x^2+y^2 \leqq 1$ の内部に含まれる。 $u^2+v^2 = x^2+y^2 \leqq 1$ より、回転半径の最大値は

$$ v = \sqrt{1-u^2} $$

である。

(イ) $\frac{1}{\sqrt{2}} \leqq u \leqq \sqrt{2}$ の区間

この部分は第4象限の正方形領域であり、直線 $x+y=0$ から最も遠い境界線は $x=1$ または $y=-1$ である。 境界 $x=1$ $(-1 \leqq y \leqq 0)$ 上の点について考えると、

$$ u = \frac{1-y}{\sqrt{2}}, \quad v = \frac{1+y}{\sqrt{2}} $$

$y$ を消去すると $v = \sqrt{2}-u$ となる。 境界 $y=-1$ $(0 \leqq x \leqq 1)$ 上の点についても対称性から距離は同じ式で表され、回転半径の最大値は

$$ v = \sqrt{2}-u $$

となる。

以上より、求める体積 $V$ は

$$ \begin{aligned} \frac{V}{2} &= \int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \pi \left(\sqrt{1-u^2}\right)^2 du + \int_{\frac{1}{\sqrt{2}}}^{\sqrt{2}} \pi (\sqrt{2}-u)^2 du \\ &= \pi \int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} (1-u^2) du + \pi \int_{\frac{1}{\sqrt{2}}}^{\sqrt{2}} (\sqrt{2}-u)^2 du \end{aligned} $$

それぞれの定積分を計算する。

$$ \begin{aligned} \int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} (1-u^2) du &= \left[ u - \frac{u^3}{3} \right]_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \\ &= \frac{1}{\sqrt{2}} - \frac{1}{3 \cdot 2\sqrt{2}} \\ &= \frac{5}{6\sqrt{2}} = \frac{5\sqrt{2}}{12} \end{aligned} $$

$$ \begin{aligned} \int_{\frac{1}{\sqrt{2}}}^{\sqrt{2}} (\sqrt{2}-u)^2 du &= \left[ -\frac{(\sqrt{2}-u)^3}{3} \right]_{\frac{1}{\sqrt{2}}}^{\sqrt{2}} \\ &= 0 - \left( -\frac{1}{3} \left(\sqrt{2} - \frac{1}{\sqrt{2}}\right)^3 \right) \\ &= \frac{1}{3} \left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^3 = \frac{\sqrt{2}}{12} \end{aligned} $$

これらを足し合わせると、

$$ \frac{V}{2} = \pi \left( \frac{5\sqrt{2}}{12} + \frac{\sqrt{2}}{12} \right) = \pi \frac{6\sqrt{2}}{12} = \frac{\sqrt{2}}{2} \pi $$

よって、体積は

$$ V = \sqrt{2} \pi $$

解説

(1) は三角関数の最大値問題として「合成」を用いる標準的な手法で解くことができるが、$\theta$ の定義域に制限があるため、合成後の角度が「$\sin$ が最大となる角度」を含むかどうかの慎重な場合分けが求められる。解法2のように、式をベクトルの内積とみなす図形的なアプローチを用いると、場合分けの意味が直感的に理解しやすく、見通しよく解き進めることができる。

(2) は斜めの回転軸を持つ体積の典型問題である。点と直線の距離を用いて回転半径を求めたり、回転軸を新たな座標軸として設定する変換が定石である。領域 $G$ の境界線の方程式を新しいパラメータ $(u,v)$ で正しく表し、積分区間を正確に分けることができるかが解答のポイントとなる。

答え

(1) $xy \geqq 0$ のとき $M(x,y) = x^2+y^2$ $xy < 0$ のとき $M(x,y) = \max(x^2, y^2)$ (または $x^2$ と $y^2$ の小さくない方)

(2) 領域 $G$ の図示(略):原点を中心とする半径 $1$ の円のうち第1・第3象限にある部分と、4点 $(0,0), (-1,0), (-1,1), (0,1)$ を頂点とする正方形、4点 $(0,0), (1,0), (1,-1), (0,-1)$ を頂点とする正方形を合わせた図形(境界線を含む)。 体積:$\sqrt{2}\pi$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。