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東北大学 1994年 文系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
東北大学 1994年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) は座標軸上の3点を通る平面の方程式(切片形)と、点と平面の距離の公式を利用する。 (2) は(1)で求めた距離 $h$ を四面体の高さとみなし、体積を利用して底面積を逆算する方針が簡明である。 (3) は各面の「面積 $\times$ 外向き単位法線ベクトル」の成分をそれぞれ計算し、和をとる。

解法1

(1)

3点 $A(a, 0, 0), B(0, b, 0), C(0, 0, c)$ を通る平面の方程式は、切片形より

$$\frac{x}{a} + \frac{y}{b} + \frac{z}{c} = 1$$

である。分母を払い一般形に直すと

$$bc x + ca y + ab z - abc = 0$$

となる。原点 $O(0, 0, 0)$ とこの平面の距離 $h$ は、点と平面の距離の公式より

$$h = \frac{|bc \cdot 0 + ca \cdot 0 + ab \cdot 0 - abc|}{\sqrt{(bc)^2 + (ca)^2 + (ab)^2}} = \frac{abc}{\sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2}}$$

(2)

四面体 $OABC$ の体積を $V$ とする。 $\triangle OAB$ を底面とすると、その面積は $\frac{1}{2}ab$、高さは $c$ であるから

$$V = \frac{1}{3} \cdot \left(\frac{1}{2}ab\right) \cdot c = \frac{1}{6}abc$$

一方、$\triangle ABC$ を底面とすると、高さは(1)で求めた原点からの距離 $h$ に等しいので

$$V = \frac{1}{3} \cdot \triangle ABC \cdot h$$

である。これらを等置して $\triangle ABC$ について解くと

$$\triangle ABC = \frac{3V}{h} = \frac{3 \cdot \frac{1}{6}abc}{\frac{abc}{\sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2}}} = \frac{1}{2}\sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2}$$

(3)

$\triangle OAB, \triangle OBC, \triangle OCA$ はそれぞれ $xy$ 平面、$yz$ 平面、$zx$ 平面上の直角三角形であり、その面積は

$$S_1 = \frac{1}{2}ab, \quad S_2 = \frac{1}{2}bc, \quad S_3 = \frac{1}{2}ca$$

である。また、これらの面から四面体 $OABC$ の外部へ向かう単位法線ベクトルは、それぞれ $z$ 軸、$x$ 軸、$y$ 軸の負の向きであるから

$$\overrightarrow{u_1} = (0, 0, -1), \quad \overrightarrow{u_2} = (-1, 0, 0), \quad \overrightarrow{u_3} = (0, -1, 0)$$

となる。したがって、各ベクトルのスカラー倍は

$$\begin{aligned} S_1\overrightarrow{u_1} &= \left(0, 0, -\frac{1}{2}ab\right) \\ S_2\overrightarrow{u_2} &= \left(-\frac{1}{2}bc, 0, 0\right) \\ S_3\overrightarrow{u_3} &= \left(0, -\frac{1}{2}ca, 0\right) \end{aligned}$$

次に、$\triangle ABC$ について考える。面積は $S_0 = \triangle ABC$ であり、(2)の結果から

$$2S_0 = \sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2}$$

である。平面 $ABC$ の方程式 $bc x + ca y + ab z - abc = 0$ より、法線ベクトルの1つとして $\vec{n} = (bc, ca, ab)$ がとれる。 このベクトルは $a>0, b>0, c>0$ より各成分が正であり、原点側から平面 $ABC$ 側へ向かう方向、すなわち四面体の外部へ向かう方向と一致する。 単位法線ベクトル $\overrightarrow{u_0}$ は $\vec{n}$ をその大きさで割ったものであり、

$$|\vec{n}| = \sqrt{(bc)^2 + (ca)^2 + (ab)^2} = \sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2} = 2S_0$$

であるから、

$$\overrightarrow{u_0} = \frac{1}{2S_0}(bc, ca, ab)$$

となる。両辺に $S_0$ をかけると

$$S_0\overrightarrow{u_0} = \frac{1}{2}(bc, ca, ab) = \left(\frac{1}{2}bc, \frac{1}{2}ca, \frac{1}{2}ab\right)$$

以上より、求めるベクトルの和は

$$S_0\overrightarrow{u_0} + S_1\overrightarrow{u_1} + S_2\overrightarrow{u_2} + S_3\overrightarrow{u_3}$$

$$= \left(\frac{1}{2}bc, \frac{1}{2}ca, \frac{1}{2}ab\right) + \left(0, 0, -\frac{1}{2}ab\right) + \left(-\frac{1}{2}bc, 0, 0\right) + \left(0, -\frac{1}{2}ca, 0\right)$$

$$= \left(\frac{1}{2}bc - \frac{1}{2}bc, \frac{1}{2}ca - \frac{1}{2}ca, \frac{1}{2}ab - \frac{1}{2}ab\right)$$

$$= (0, 0, 0) = \overrightarrow{0}$$

解法2

(2)の別解

2つのベクトル $\overrightarrow{AB}, \overrightarrow{AC}$ を用いて三角形の面積を直接計算する。 $\overrightarrow{AB} = (-a, b, 0)$、$\overrightarrow{AC} = (-a, 0, c)$ である。

それぞれの大きさの2乗と内積は以下のようになる。

$$|\overrightarrow{AB}|^2 = (-a)^2 + b^2 + 0^2 = a^2 + b^2$$

$$|\overrightarrow{AC}|^2 = (-a)^2 + 0^2 + c^2 = a^2 + c^2$$

$$\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{AC} = (-a)(-a) + b \cdot 0 + 0 \cdot c = a^2$$

三角形の面積公式より

$$\begin{aligned} \triangle ABC &= \frac{1}{2}\sqrt{|\overrightarrow{AB}|^2|\overrightarrow{AC}|^2 - (\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{AC})^2} \\ &= \frac{1}{2}\sqrt{(a^2+b^2)(a^2+c^2) - (a^2)^2} \\ &= \frac{1}{2}\sqrt{a^4 + a^2c^2 + a^2b^2 + b^2c^2 - a^4} \\ &= \frac{1}{2}\sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2} \end{aligned}$$

解説

(1)、(2)は空間図形の基本的な問題である。平面の方程式の切片形 $\frac{x}{a} + \frac{y}{b} + \frac{z}{c} = 1$ を知っていると、(1)はスムーズに処理できる。(2)については、体積を媒介する解法とベクトルの公式を用いる解法があり、どちらも重要である。

(3)は、任意の閉じた多面体において、「各面の面積とその外向き単位法線ベクトルの積の和(面積ベクトル)はゼロベクトルになる」という定理を、具体的な四面体で確認する問題となっている。法線ベクトルの向き(内部から外部へ向かう方向)に注意して成分計算を行えば確実に答えにたどり着くことができる。

答え

(1) 平面の方程式:$bc x + ca y + ab z - abc = 0$、距離:$h = \frac{abc}{\sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2}}$

(2) $\frac{1}{2}\sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2}$

(3) $\overrightarrow{0}$

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