東北大学 1968年 理系 第6問 解説

方針・初手
甲と乙が各回で球を取り出す試行は、互いに独立である。また、取り出した球はもとにもどすため、各回において袋 $A, B$ から赤球・白球を取り出す確率は常に一定である。
甲が第 $i$ 回目で赤球を取り出す事象を $X_i$、白球を取り出す事象を $\overline{X}_i$ とする。 乙が第 $i$ 回目で赤球を取り出す事象を $Y_i$、白球を取り出す事象を $\overline{Y}_i$ とする。
甲と乙が引く袋の順番より、それぞれの事象が起こる確率は以下のようになる。
甲の確率
- $P(X_1) = p$
- $P(X_2) = q$
- $P(X_3) = p$
乙の確率
- $P(Y_1) = q$
- $P(Y_2) = p$
- $P(Y_3) = q$
ゲームは「一方が連続して2回赤球を取り出せば終了」となり、その時点で両者が連続して2回赤球を取り出していれば引き分け、一方だけならばその連続して赤球を取り出した者の勝ちとなる。 したがって、第 $k$ 回目で一方が勝つためには、その回で勝者が初めて連続して2回赤球を取り出し、かつ敗者がその回までに連続して2回赤球を取り出していないことが条件となる。
解法1
(1)
第2回目で一方が勝つのは、「第2回目で甲が勝つ」または「第2回目で乙が勝つ」のいずれかであり、これらは互いに排反である。
第2回目で甲が勝つ条件は、甲が第1回、第2回と連続して赤球を取り出し、かつ乙がそうではないことである。 甲の事象は $X_1 \cap X_2$ であり、乙の事象は $\overline{Y_1 \cap Y_2}$ である。甲と乙の試行は独立であるため、この確率は $$ P(X_1 \cap X_2) \times P(\overline{Y_1 \cap Y_2}) = P(X_1)P(X_2) \times \{1 - P(Y_1)P(Y_2)\} = pq(1 - pq) $$
同様に、第2回目で乙が勝つ条件は、乙が第1回、第2回と連続して赤球を取り出し、かつ甲がそうではないことであるから、その確率は $$ P(\overline{X_1 \cap X_2}) \times P(Y_1 \cap Y_2) = \{1 - P(X_1)P(X_2)\} \times P(Y_1)P(Y_2) = (1 - pq)pq $$
これらは排反事象であるから、求める確率は $$ pq(1 - pq) + (1 - pq)pq = 2pq(1 - pq) $$
(2)
第3回目で甲が勝つ条件は、以下の2つが同時に起こることである。 (i) 甲が第3回目で初めて連続して2回赤球を取り出す。 (ii) 乙が第3回目までに連続して2回赤球を取り出さない。
(i)について 甲が第3回目で初めて連続赤となる事象は $\overline{X}_1 \cap X_2 \cap X_3$ である(第1回から赤、赤、赤となると第2回目でゲームが終了してしまうため)。 その確率は $$ P(\overline{X}_1 \cap X_2 \cap X_3) = P(\overline{X}_1)P(X_2)P(X_3) = (1 - p)qp = pq(1 - p) $$
(ii)について 乙が第3回目までに連続して2回赤球を取り出す事象を考える。これは $(Y_1 \cap Y_2) \cup (Y_2 \cap Y_3)$ である。 この確率は $$ \begin{aligned} P((Y_1 \cap Y_2) \cup (Y_2 \cap Y_3)) &= P(Y_1 \cap Y_2) + P(Y_2 \cap Y_3) - P(Y_1 \cap Y_2 \cap Y_3) \\ &= P(Y_1)P(Y_2) + P(Y_2)P(Y_3) - P(Y_1)P(Y_2)P(Y_3) \\ &= qp + pq - qpq \\ &= 2pq - pq^2 \end{aligned} $$ したがって、乙が第3回目までに連続して2回赤球を取り出さない確率は、余事象をとって $$ 1 - (2pq - pq^2) = 1 - 2pq + pq^2 $$
(i)と(ii)は独立であるから、求める確率は $$ pq(1 - p)(1 - 2pq + pq^2) $$
(3)
第3回目までに乙が勝つのは、「第2回目で乙が勝つ」または「第3回目で乙が勝つ」のいずれかであり、これらは排反である。
第2回目で乙が勝つ確率は、(1)の計算の途中で求めた通り $$ pq(1 - pq) $$ である。
第3回目で乙が勝つ確率は、(2)と同様に考える。 条件は以下の2つが同時に起こることである。 (iii) 乙が第3回目で初めて連続して2回赤球を取り出す。 (iv) 甲が第3回目までに連続して2回赤球を取り出さない。
(iii)について 乙が第3回目で初めて連続赤となる事象は $\overline{Y}_1 \cap Y_2 \cap Y_3$ であり、その確率は $$ P(\overline{Y}_1 \cap Y_2 \cap Y_3) = (1 - q)pq $$
(iv)について 甲が第3回目までに連続して2回赤球を取り出す事象は $(X_1 \cap X_2) \cup (X_2 \cap X_3)$ であり、その確率は $$ \begin{aligned} P((X_1 \cap X_2) \cup (X_2 \cap X_3)) &= P(X_1)P(X_2) + P(X_2)P(X_3) - P(X_1)P(X_2)P(X_3) \\ &= pq + qp - pqp \\ &= 2pq - p^2q \end{aligned} $$ したがって、甲が第3回目までに連続して2回赤球を取り出さない確率は $$ 1 - (2pq - p^2q) = 1 - 2pq + p^2q $$
よって、第3回目で乙が勝つ確率は $$ pq(1 - q)(1 - 2pq + p^2q) $$
以上より、第3回目までに乙が勝つ確率は、これらの和をとって $$ \begin{aligned} & pq(1 - pq) + pq(1 - q)(1 - 2pq + p^2q) \\ &= pq \left\{ 1 - pq + (1 - q)(1 - 2pq + p^2q) \right\} \\ &= pq ( 1 - pq + 1 - 2pq + p^2q - q + 2pq^2 - p^2q^2 ) \\ &= pq ( 2 - q - 3pq + p^2q + 2pq^2 - p^2q^2 ) \end{aligned} $$
解説
試行が独立であることに着目し、甲の状況と乙の状況を切り離して確率を計算し、最後に掛け合わせるアプローチが最も見通しが良い。
勝敗の条件「一方が連続して2回赤球を取り出せば、その回で終わり」「他方も2回続けて赤球を取り出していれば引き分け、そうでないときは前者の勝ち」というルールは、数学的には「勝者はその回で連続赤を達成し、かつ敗者はその回までに連続赤を達成していない」と言い換えられる。
また、(2)において「乙が第3回目までに連続赤とならない確率」を求める際、余事象を活用して $P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B)$ の公式を用いることで、計算ミスを防ぐことができる。事象を書き並べる方法もあるが、複雑な条件になるほど和事象の確率公式が威力を発揮する。
答え
(1) $$ 2pq(1 - pq) $$
(2) $$ pq(1 - p)(1 - 2pq + pq^2) $$
(3) $$ pq(2 - q - 3pq + p^2q + 2pq^2 - p^2q^2) $$ ※ $pq(1 - pq) + pq(1 - q)(1 - 2pq + p^2q)$ や $pq \{ 2 - q - pq(3 - p - 2q + pq) \}$ などと同値であれば正解。
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