東北大学 1980年 理系 第4問 解説

方針・初手
$X=|A-B|$ の分布を直接求める。
$A$ は一様に出るので、$B$ の値を固定すると、$X$ の分布は「$1,2,\dots,6$ のうち、固定した $B$ との差がいくつになるか」を数えるだけで決まる。 そこでまず $B=b$ のときの条件付き分布を求め、それを $B$ の確率で重み付けして合成する。
解法1
$A$ は各目が確率 $1/6$ で出る。 また、$B$ については
$$ P(B=1)=P(B=3)=P(B=5)=\frac19,\qquad P(B=2)=P(B=4)=P(B=6)=\frac29 $$
である。
まず、$B$ の値ごとに $X=|A-B|$ の取り方を調べる。
$B=1,6$ のとき
$A=1,2,3,4,5,6$ に対して差の絶対値はそれぞれ $0,1,2,3,4,5$ となり、各値がちょうど1回ずつ現れる。 したがって
$$ P(X=k\mid B=1)=P(X=k\mid B=6)=\frac16\qquad (k=0,1,2,3,4,5) $$
である。
$B=2,5$ のとき
たとえば $B=2$ なら
- $X=0$ は $A=2$ の1通り
- $X=1$ は $A=1,3$ の2通り
- $X=2$ は $A=4$ の1通り
- $X=3$ は $A=5$ の1通り
- $X=4$ は $A=6$ の1通り
である。$B=5$ でも同じ形になるので、
$$ P(X=0\mid B=2,5)=\frac16,\quad P(X=1\mid B=2,5)=\frac26,\quad P(X=2\mid B=2,5)=\frac16, $$
$$ P(X=3\mid B=2,5)=\frac16,\quad P(X=4\mid B=2,5)=\frac16,\quad P(X=5\mid B=2,5)=0 $$
である。
$B=3,4$ のとき
たとえば $B=3$ なら
- $X=0$ は $A=3$ の1通り
- $X=1$ は $A=2,4$ の2通り
- $X=2$ は $A=1,5$ の2通り
- $X=3$ は $A=6$ の1通り
である。$B=4$ でも同じ形になるので、
$$ P(X=0\mid B=3,4)=\frac16,\quad P(X=1\mid B=3,4)=\frac26,\quad P(X=2\mid B=3,4)=\frac26, $$
$$ P(X=3\mid B=3,4)=\frac16,\quad P(X=4\mid B=3,4)=0,\quad P(X=5\mid B=3,4)=0 $$
である。
ここで
$$ P(B=1)+P(B=6)=\frac19+\frac29=\frac13, $$
$$ P(B=2)+P(B=5)=\frac29+\frac19=\frac13, $$
$$ P(B=3)+P(B=4)=\frac19+\frac29=\frac13 $$
となるので、上の3種類の条件付き分布をそれぞれ重み $\frac13$ で平均すればよい。
したがって、
$$ P(X=0)=\frac13\left(\frac16+\frac16+\frac16\right)=\frac16 $$
$$ P(X=1)=\frac13\left(\frac16+\frac26+\frac26\right)=\frac{5}{18} $$
$$ P(X=2)=\frac13\left(\frac16+\frac16+\frac26\right)=\frac29 $$
$$ P(X=3)=\frac13\left(\frac16+\frac16+\frac16\right)=\frac16 $$
$$ P(X=4)=\frac13\left(\frac16+\frac16+0\right)=\frac19 $$
$$ P(X=5)=\frac13\left(\frac16+0+0\right)=\frac1{18} $$
よって、確率分布は次の表のとおりである。
| $x$ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| $P(X=x)$ | $\frac16$ | $\frac{5}{18}$ | $\frac29$ | $\frac16$ | $\frac19$ | $\frac1{18}$ |
次に平均値を求める。
$$ E(X)=\sum_{x=0}^{5}xP(X=x) $$
より、
$$ E(X)=0\cdot\frac16+1\cdot\frac{5}{18}+2\cdot\frac29+3\cdot\frac16+4\cdot\frac19+5\cdot\frac1{18} $$
$$ =\frac{5+8+9+8+5}{18}=\frac{35}{18} $$
したがって、$X$ の平均値は $\frac{35}{18}$ である。
解説
この問題の要点は、$B$ の出方が偏っていても、$B=1,6$、$B=2,5$、$B=3,4$ という対称な組で見ると、それぞれの合計確率がすべて $\frac13$ になることである。 そのため、各組に対する $X$ の条件付き分布を作れば、計算がかなり整理される。
また、$A$ は公平なさいころなので、$B$ を固定したときの $X$ の分布は「差がその値になる $A$ の個数」を数えるだけで求まる。確率分布を先に出してから期待値を計算するのが自然である。
答え
確率変数 $X$ の確率分布は
| $x$ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| $P(X=x)$ | $\frac16$ | $\frac{5}{18}$ | $\frac29$ | $\frac16$ | $\frac19$ | $\frac1{18}$ |
である。
平均値は
$$ E(X)=\frac{35}{18} $$
である。
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