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東北大学 1980年 理系 第3問 解説

数学B/数列数学2/指数対数数学3/積分法テーマ/不等式の証明
東北大学 1980年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は $f(x)=\dfrac{1}{x}$ の単調性と凸性を用いる。下側評価は「減少関数であること」から、上側評価は「グラフが両端を結ぶ線分の下にあること」から示せる。

(2) は (1) の右側の不等式を $k=1,2,\dots,n-1$ について足し合わせればよい。積分の和が対数にまとまることがポイントである。

解法1

(1) の証明

$f(x)=\dfrac{1}{x}$ は $x>0$ で単調減少であるから、$n\leqq x<n+1$ では

$$ \frac{1}{x}>\frac{1}{n+1} $$

が成り立つ。よって区間の長さが $1$ であることに注意して積分すると、

$$ \int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx>\int_n^{n+1}\frac{1}{n+1},dx=\frac{1}{n+1} $$

となり、左側の不等式

$$ \frac{1}{n+1}<\int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx $$

を得る。

次に上側を示す。$f(x)=\dfrac{1}{x}$ について

$$ f''(x)=\frac{2}{x^3}>0 \qquad (x>0) $$

であるから、$f$ は $x>0$ で下に凸である。したがって、区間 $[n,n+1]$ 上ではグラフは両端点 $(n,f(n))$ と $(n+1,f(n+1))$ を結ぶ線分の下にある。

そこで、$x=n+t \ (0\leqq t\leqq 1)$ とおくと、

$$ \frac{1}{x} =f(n+t) \leqq (1-t)f(n)+tf(n+1) =(1-t)\frac{1}{n}+t\frac{1}{n+1} $$

である。これを $t=0$ から $1$、すなわち $x=n$ から $n+1$ まで積分すると、

$$ \int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx \leqq \int_0^1\left((1-t)\frac{1}{n}+t\frac{1}{n+1}\right)dt $$

$$ # \frac{1}{n}\int_0^1(1-t),dt+\frac{1}{n+1}\int_0^1 t,dt \frac{1}{2}\left(\frac{1}{n}+\frac{1}{n+1}\right) $$

を得る。しかも $f(x)=\dfrac{1}{x}$ は直線ではないので等号は成り立たず、

$$ \int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx < \frac{1}{2}\left(\frac{1}{n}+\frac{1}{n+1}\right) $$

となる。

以上より

$$ \frac{1}{n+1} < \int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx < \frac{1}{2}\left(\frac{1}{n}+\frac{1}{n+1}\right) $$

が示された。

(2) の証明

(1) の右側の不等式を $k=1,2,\dots,n-1$ について用いると、

$$ \int_k^{k+1}\frac{1}{x},dx < \frac{1}{2}\left(\frac{1}{k}+\frac{1}{k+1}\right) $$

である。これを $k=1$ から $n-1$ まで足し合わせると、

$$ \int_1^n\frac{1}{x},dx < \frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n-1}\left(\frac{1}{k}+\frac{1}{k+1}\right) $$

左辺は自然対数で

$$ \int_1^n\frac{1}{x},dx=\log n $$

である。一方、右辺は

$$ \frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n-1}\left(\frac{1}{k}+\frac{1}{k+1}\right) ================================================================= \frac{1}{2}\left(1+2\sum_{k=2}^{n-1}\frac{1}{k}+\frac{1}{n}\right) $$

$$ \left(1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{n}\right)-\frac{1}{2}-\frac{1}{2n} $$

となる。したがって

$$ \log n < \left(1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{n}\right)-\frac{1}{2}-\frac{1}{2n} $$

すなわち

$$ 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{n}-\log n > \frac{1}{2}+\frac{1}{2n} > \frac{1}{2} $$

である。よって

$$ 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{n}-\log n>\frac{1}{2} $$

が示された。

解説

この問題の本質は、$\dfrac{1}{x}$ を積分で評価し、それを調和級数と比較することにある。

(1) の左側は「減少関数なので区間上で最小値より常に大きい」というだけで出る。右側はやや工夫が要るが、$\dfrac{1}{x}$ が下に凸であるため、区間上の値は端点を結ぶ一次式以下になる。これを積分すると、台形公式型の評価

$$ \int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx < \frac{1}{2}\left(\frac{1}{n}+\frac{1}{n+1}\right) $$

が得られる。

(2) ではこれを足し合わせると、左辺の積分が

$$ \sum_{k=1}^{n-1}\int_k^{k+1}\frac{1}{x},dx=\int_1^n\frac{1}{x},dx=\log n $$

ときれいにまとまる。この「各区間ごとの評価を総和して対数を作る」流れが典型である。

答え

$$ \frac{1}{n+1} < \int_n^{n+1}\frac{1}{x},dx < \frac{1}{2}\left(\frac{1}{n}+\frac{1}{n+1}\right) $$

および

$$ 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{n}-\log n>\frac{1}{2} $$

である。

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