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東北大学 1986年 理系 第3問 解説

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東北大学 1986年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は $A^3=A$ をそのまま成分比較するのが最も確実である。 この行列は形が単純なので、$A^2,\ A^3$ は容易に計算できる。

(2)(1) で求まる行列の階数に注目する。行列式が $0$ になるので、円の像は楕円ではなく直線上の線分に退化する。

解法1

まず

$$ A=\begin{pmatrix} a & b\ 1 & a \end{pmatrix} \qquad (a>0,\ b>0) $$

とする。

(1) $A^3=A$ となる $a,\ b$ を求める

$A^2$ を計算すると

$$ A^2= \begin{pmatrix} a^2+b & 2ab\ 2a & a^2+b \end{pmatrix} $$

である。

さらに

$$ A^3=A^2A ======== \begin{pmatrix} a^3+3ab & b(3a^2+b)\ 3a^2+b & a^3+3ab \end{pmatrix} $$

となる。

これが $A$ に等しいから、成分比較により

$$ \begin{cases} a^3+3ab=a,\ b(3a^2+b)=b,\ 3a^2+b=1 \end{cases} $$

を得る。

ここで $b>0$ より、$b(3a^2+b)=b$ から

$$ 3a^2+b=1 $$

である。

また $a>0$ より $a\neq 0$ なので、$a^3+3ab=a$ を $a$ でくくると

$$ a(a^2+3b-1)=0 $$

より

$$ a^2+3b=1 $$

を得る。

したがって

$$ \begin{cases} 3a^2+b=1,\ a^2+3b=1 \end{cases} $$

を解けばよい。両式を引くと

$$ 2a^2-2b=0 $$

すなわち

$$ b=a^2 $$

である。これを $3a^2+b=1$ に代入すると

$$ 3a^2+a^2=1 $$

より

$$ 4a^2=1 $$

となるから、$a>0$ より

$$ a=\frac12 $$

である。よって

$$ b=a^2=\frac14 $$

となる。

(2) 円 $x^2+y^2=1$ の像を求める

(1) より

$$ a=\frac12,\qquad b=\frac14 $$

であるから、1次変換は

$$ x'=\frac12x+\frac14y,\qquad y'=x+\frac12y $$

である。

ここで

$$ y'=2x' $$

が成り立つ。実際、

$$ 2x'=2\left(\frac12x+\frac14y\right)=x+\frac12y=y' $$

である。

したがって、像は直線

$$ y'=2x' $$

上にある。

次に、そのうちどの範囲が動くかを調べる。 $x'$ は

$$ x'=\frac14(2x+y) $$

と書ける。

点 $(x,y)$ は円 $x^2+y^2=1$ 上にあるから、Cauchy-Schwarz の不等式より

$$ |2x+y| \leqq \sqrt{2^2+1^2}\sqrt{x^2+y^2} ============================ \sqrt5 $$

である。よって

$$ -\frac{\sqrt5}{4}\leqq x'\leqq \frac{\sqrt5}{4} $$

となる。

さらに $y'=2x'$ であるから

$$ -\frac{\sqrt5}{2}\leqq y'\leqq \frac{\sqrt5}{2} $$

である。

したがって、求める像は直線 $y'=2x'$ 上の線分

$$ \left\{(x',y')\ \middle|\ y'=2x',\ -\frac{\sqrt5}{4}\leqq x'\leqq \frac{\sqrt5}{4}\right\} $$

である。

端点は

$$ \left(-\frac{\sqrt5}{4},-\frac{\sqrt5}{2}\right), \qquad \left(\frac{\sqrt5}{4},\frac{\sqrt5}{2}\right) $$

である。

解説

$A^3=A$ は $A(A^2-I)=0$ であり、固有値に着目しても処理できるが、この問題では成分計算が最短である。

また (2) では、求めた値を代入すると第2行が第1行の $2$ 倍になり、行列の階数が $1$ であることが分かる。したがって、円の像は通常の楕円ではなく、1本の直線上の線分に退化する。 この「行列式が $0$ なら図形の像がつぶれる」という見方が重要である。

答え

$$ a=\frac12,\qquad b=\frac14 $$

このとき、円 $x^2+y^2=1$ の像は

$$ y'=2x' $$

上の線分

$$ \left{(x',y')\ \middle|\ y'=2x',\ -\frac{\sqrt5}{4}\leqq x'\leqq \frac{\sqrt5}{4}\right} $$

すなわち端点

$$ \left(-\frac{\sqrt5}{4},-\frac{\sqrt5}{2}\right), \qquad \left(\frac{\sqrt5}{4},\frac{\sqrt5}{2}\right) $$

をもつ線分である。

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