京都大学 1995年 文系 第4問 解説

方針・初手
だ円 $E$ が点 $(1,1)$ を通る条件から $\frac{1}{a^2} + \frac{1}{b^2} = 1$ を得ます。 次に、逆変換あるいは直接代入により、1次変換 $f$ によって移された図形 $C$ の方程式を求めます。(1)では、この $C$ の方程式に $x=t$ を代入した $y$ についての2次方程式が、相加平均と相乗平均の大小関係などから得られる条件の下で相異なる2つの実数解をもつことを示します。 (2)は解の公式を用いて交点の座標を直接求めようとすると計算が膨らむため、解と係数の関係を利用して、$A_1, A_2$ と $y$ 座標が等しい $C$ 上の点 $B_1, B_2$ の座標を表現し、2点間の距離の公式から線分の長さの比を計算します。
解法1
だ円 $E: \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1$ が点 $(1, 1)$ を通るから
$$ \frac{1}{a^2} + \frac{1}{b^2} = 1 \quad \cdots \text{①} $$
が成り立つ。これより、$\frac{a^2+b^2}{a^2b^2} = 1$ すなわち $a^2+b^2 = a^2b^2$ である。
点 $(u, v)$ を $E$ 上の点とすると、$\frac{u^2}{a^2} + \frac{v^2}{b^2} = 1$ である。 1次変換 $f$ により $(u, v)$ が $C$ 上の点 $(x, y)$ に移るとすると
$$ \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} u \\ v \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} u - v \\ v \end{pmatrix} $$
よって、$x = u - v, y = v$ となり、$u = x + y, v = y$ である。 これを $\frac{u^2}{a^2} + \frac{v^2}{b^2} = 1$ に代入すると、集合 $C$ の方程式は
$$ \frac{(x+y)^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1 \quad \cdots \text{②} $$
となる。
(1)
直線 $x=t$ と $C$ の交点の $y$ 座標は、②に $x=t$ を代入した方程式
$$ \frac{(t+y)^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1 $$
$$ b^2(t^2 + 2ty + y^2) + a^2y^2 = a^2b^2 $$
$$ (a^2+b^2)y^2 + 2b^2ty + b^2t^2 - a^2b^2 = 0 \quad \cdots \text{③} $$
の実数解である。③は $y$ についての2次方程式であり、その判別式を $D$ とすると
$$ \frac{D}{4} = (b^2t)^2 - (a^2+b^2)(b^2t^2 - a^2b^2) $$
ここで、$a^2+b^2 = a^2b^2$ を用いると
$$ \begin{aligned} \frac{D}{4} &= b^4t^2 - a^2b^2(b^2t^2 - a^2b^2) \\ &= b^4t^2 - a^2b^4t^2 + a^4b^4 \\ &= a^2b^2(a^2b^2) - a^2b^4t^2 + b^4t^2 - a^2b^2(a^2b^2) \\ \end{aligned} $$
少し工夫して展開すると、
$$ \begin{aligned} \frac{D}{4} &= b^4t^2 - (a^2b^2t^2 - a^4b^2 + b^4t^2 - a^2b^4) \\ &= -a^2b^2t^2 + a^2b^2(a^2+b^2) \\ &= a^2b^2(a^2+b^2 - t^2) \\ &= a^2b^2(a^2b^2 - t^2) \end{aligned} $$
となる。 一方、①において $a^2>0, b^2>0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$ 1 = \frac{1}{a^2} + \frac{1}{b^2} \ge 2\sqrt{\frac{1}{a^2b^2}} = \frac{2}{ab} $$
両辺は正であるから、逆数をとって2乗すると $a^2b^2 \ge 4$ を得る。(等号成立は $a=b=\sqrt{2}$ のとき) 仮定より $|t|<2$ すなわち $t^2 < 4$ であるから、$a^2b^2 \ge 4 > t^2$ が成り立つ。 したがって、$a^2b^2 - t^2 > 0$ であり、$a^2b^2 > 0$ より $\frac{D}{4} > 0$ である。 よって、2次方程式③は異なる2つの実数解をもつので、直線 $x=t$ は異なる2点 $A_1, A_2$ で $C$ と交わる。(証明終)
(2)
方程式③の2つの実数解を $y_1, y_2$ ($y_1 \neq y_2$) とすると、$A_1(t, y_1), A_2(t, y_2)$ と表せる。 $C$ 上の点 $(x, y)$ の $x$ 座標は、②を展開して $x$ について整理した2次方程式
$$ \frac{1}{a^2}x^2 + \frac{2y}{a^2}x + \left( \frac{1}{a^2} + \frac{1}{b^2} \right) y^2 - 1 = 0 \quad \cdots \text{④} $$
の実数解である。 点 $A_1(t, y_1)$ は $C$ 上の点であるから、$x=t$ は $y=y_1$ としたときの④の解の1つである。 このとき、④のもう1つの解を $s_1$ とすると、解と係数の関係より
$$ t + s_1 = -\frac{2y_1/a^2}{1/a^2} = -2y_1 \implies s_1 = -2y_1 - t $$
よって、$A_1$ と同じ $y$ 座標をもつ $C$ 上の点は $(s_1, y_1)$ であり、これを $B_1$ とする。 同様に、$A_2$ と同じ $y$ 座標 $y_2$ をもつ $C$ 上の点 $(s_2, y_2)$ を $B_2$ とすると、$s_2 = -2y_2 - t$ である。
ここで、$B_1 = A_1$ となると仮定すると、$s_1 = t$ より $-2y_1 - t = t \implies y_1 = -t$ となる。 これが③の解であるとすると
$$ (a^2+b^2)(-t)^2 + 2b^2t(-t) + b^2t^2 - a^2b^2 = 0 $$
$$ a^2t^2 + b^2t^2 - 2b^2t^2 + b^2t^2 - a^2b^2 = 0 $$
$$ a^2t^2 - a^2b^2 = 0 \implies a^2(t^2 - b^2) = 0 $$
$a>0$ より $t^2 = b^2$ となるが、これは仮定 $t^2 \neq b^2$ に矛盾する。 ゆえに $y_1 \neq -t$ であり、$B_1 \neq A_1$ である。 同様にして、$y_2 \neq -t$ であり、$B_2 \neq A_2$ である。 したがって、$B_1 \neq A_1, B_2 \neq A_2$ となる $B_1, B_2$ が $C$ 上に存在する。(証明終)
次に、線分の長さの比 $\frac{B_1 B_2}{A_1 A_2}$ を求める。 $A_1, A_2$ の $x$ 座標はともに $t$ であるから
$$ A_1 A_2 = \sqrt{(t-t)^2 + (y_1 - y_2)^2} = |y_1 - y_2| $$
また、$B_1(-2y_1 - t, y_1), B_2(-2y_2 - t, y_2)$ 間の距離の2乗は
$$ \begin{aligned} B_1 B_2^2 &= \{ (-2y_1 - t) - (-2y_2 - t) \}^2 + (y_1 - y_2)^2 \\ &= \{ -2(y_1 - y_2) \}^2 + (y_1 - y_2)^2 \\ &= 4(y_1 - y_2)^2 + (y_1 - y_2)^2 \\ &= 5(y_1 - y_2)^2 \end{aligned} $$
よって、$B_1 B_2 = \sqrt{5} |y_1 - y_2|$ である。 以上より
$$ \frac{B_1 B_2}{A_1 A_2} = \frac{\sqrt{5} |y_1 - y_2|}{|y_1 - y_2|} = \sqrt{5} $$
解説
$E$ が特定の点を通る条件から係数の関係式を引き出し、それを以後の証明に活用する流れです。 (1)での相加平均と相乗平均の大小関係を用いて $a^2b^2 \ge 4$ を導くところが最大の難所です。$a^2+b^2=a^2b^2$ という関係式から $D>0$ にどう結びつけるかが問われています。 (2)では、素直に解の公式等で交点の座標を求めようとすると根号が入り、計算が非常に煩雑になります。$x$ についての2次方程式とみなして「解と係数の関係」を用いると、もう一つの交点の $x$ 座標がすっきりと表現でき、距離の計算も容易になります。図形的な対称性を代数的に処理する良い練習問題です。
答え
(1)
略(解法1の証明を参照)
(2)
証明は略(解法1参照)、$\frac{B_1 B_2}{A_1 A_2} = \sqrt{5}$
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