東北大学 1986年 理系 第6問 解説

方針・初手
完全な商品とは、選ばれた $A$ が3個、$B$ が2個、$C$ が1個のすべてについて不良品を含まない商品である。
したがって (1) では、各部品が良品である確率を掛け合わせればよい。
(2) では、完全な商品数を二項分布で表し、標本数が十分大きいので正規分布で近似して両側検定を行う。
解法1
(1)
$A$ が良品である確率は
$$ 1-\frac{1}{16}=\frac{15}{16} $$
であり、$B$ が良品である確率は
$$ 1-\frac{1}{9}=\frac{8}{9} $$
であり、$C$ が良品である確率は
$$ 1-\frac{1}{25}=\frac{24}{25} $$
である。
よって、1個の商品が完全な商品である確率 $p$ は
$$ p=\left(\frac{15}{16}\right)^3\left(\frac{8}{9}\right)^2\left(\frac{24}{25}\right) $$
となる。これを計算すると、
$$ \begin{aligned} p&=\frac{3375}{4096}\cdot\frac{64}{81}\cdot\frac{24}{25} \ &=\frac{3375}{4096}\cdot\frac{512}{675} \ &=\frac{5}{8} \end{aligned} $$
したがって、完全な商品である確率は
$$ \frac{5}{8} $$
である。
(2)
帰無仮説 $H_0$ を「(1) の仮説は正しい」とする。このとき、1個の商品が完全な商品である確率は
$$ p=\frac{5}{8} $$
である。
960個の商品を無作為に抽出したときの完全な商品数を $X$ とすると、$H_0$ のもとで
$$ X\sim B\left(960,\frac{5}{8}\right) $$
である。
したがって、平均と分散は
$$ E(X)=960\cdot\frac{5}{8}=600 $$
$$ V(X)=960\cdot\frac{5}{8}\cdot\frac{3}{8}=225 $$
となるので、標準偏差は
$$ \sigma=\sqrt{225}=15 $$
である。
ここで
$$ 960\cdot\frac{5}{8}=600,\qquad 960\cdot\frac{3}{8}=360 $$
はいずれも十分大きいから、二項分布を正規分布で近似して
$$ X\approx N(600,15^2) $$
とみなす。
両側検定で有意水準 $5%$ だから、標準正規分布 $N(0,1)$ に対して棄却域は
$$ |Z|>1.96 $$
である。
実際には完全な商品は 640 個であった。二項分布を正規分布で近似するので連続補正をすると、
$$ Z=\frac{639.5-600}{15}=\frac{39.5}{15}\approx 2.63 $$
となる。
これは
$$ 2.63>1.96 $$
を満たすから、観測値は棄却域に入る。したがって、帰無仮説 $H_0$ は棄却される。
ゆえに、(1) の仮説は有意水準 $5%$ で正しいとは判断できない。
解説
この問題の要点は、まず完全な商品の確率を正しく求めることである。各部品が独立に良品であるとみなせるので、良品率をそのまま掛け合わせればよい。ここで計算がきれいに
$$ \frac{5}{8} $$
になる。
検定では、完全な商品数を二項分布で表し、その平均と分散を求めてから正規近似を使う流れが基本である。標本数が大きいので、標準化して $1.96$ と比較すればよい。
詰まりやすい点は、二項分布を正規分布で近似するときに連続補正を入れる点と、両側検定なので片側だけでなく左右両方を考える点である。
答え
(1) 完全な商品である確率は
$$ \frac{5}{8} $$
である。
(2) 帰無仮説「(1) の仮説は正しい」は有意水準 $5%$ で棄却される。したがって、その仮説を正しいと判断してよいとはいえない。
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