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東北大学 2019年 理系 第3問 解説

数学B/数列数学3/極限テーマ/漸化式テーマ/場合分け
東北大学 2019年 理系 第3問 解説

方針・初手

漸化式

$$ x_{n+1}=x_n+x_n^2=x_n(1+x_n) $$

は,差

$$ x_{n+1}-x_n=x_n^2 $$

に注目すると単調性が分かり,積の形

$$ x_{n+1}=x_n(1+x_n) $$

に注目すると符号や範囲が分かる。したがって,各場合で

の順に調べればよい。

解法1

(1)

$a>0$ のとき

まず,$x_1=a>0$ である。

さらに

$$ x_{n+1}-x_n=x_n^2>0 $$

であるから,数列 ${x_n}$ は単調増加である。

ここで,もし ${x_n}$ が発散しないなら,単調増加数列であるから上に有界であり,したがってある実数 $\alpha$ に収束する。

このとき,漸化式の両辺で $n\to\infty$ とすると

$$ \alpha=\alpha+\alpha^2 $$

より

$$ \alpha^2=0 $$

したがって

$$ \alpha=0 $$

を得る。

しかし ${x_n}$ は $x_1=a>0$ から始まる単調増加数列なので,すべての $n$ に対して

$$ x_n\ge x_1=a>0 $$

である。よって極限が $0$ になることはありえない。

したがって,${x_n}$ は上に有界ではない。しかも単調増加であるから,

$$ x_n\to+\infty $$

となる。ゆえに ${x_n}$ は発散する。

(2)

$-1<a<0$ のとき,すべての正の整数 $n$ に対して $-1<x_n<0$ を示す。

数学的帰納法を用いる。

まず $n=1$ では,仮定そのものより

$$ -1<x_1=a<0 $$

である。

次に,ある $n$ で

$$ -1<x_n<0 $$

が成り立つと仮定する。このとき

$$ 0<1+x_n<1 $$

である。

ここで

$$ x_{n+1}=x_n(1+x_n) $$

であり,$x_n<0$ かつ $0<1+x_n<1$ だから,負の数 $x_n$ に $0$ と $1$ の間の数を掛けることにより

$$ x_n<x_{n+1}<0 $$

が成り立つ。特に $x_n>-1$ であるから

$$ -1<x_n<x_{n+1}<0 $$

となり,

$$ -1<x_{n+1}<0 $$

を得る。

以上より,帰納法によってすべての正の整数 $n$ に対して

$$ -1<x_n<0 $$

が成り立つ。

(3)

$-1<a<0$ のとき,数列 ${x_n}$ の極限を調べる。

(2) より,すべての $n$ に対して

$$ -1<x_n<0 $$

である。

このとき

$$ 0<1+x_n<1 $$

なので,

$$ x_{n+1}=x_n(1+x_n) $$

より

$$ x_n<x_{n+1}<0 $$

が成り立つ。したがって ${x_n}$ は単調増加であり,上から $0$ によって抑えられている。

ゆえに ${x_n}$ は収束する。極限を $\beta$ とおくと,

$$ \beta=\beta+\beta^2 $$

より

$$ \beta^2=0 $$

したがって

$$ \beta=0 $$

である。

よって

$$ \lim_{n\to\infty}x_n=0 $$

となる。

解説

この問題では,漸化式を

$$ x_{n+1}-x_n=x_n^2 $$

と見るか,

$$ x_{n+1}=x_n(1+x_n) $$

と見るかで役割が分かれる。

$ a>0 $ の場合は $x_n^2>0$ から単調増加がすぐに分かる。あとは,もし収束すると仮定すると極限 $\alpha$ が

$$ \alpha=\alpha+\alpha^2 $$

を満たして $\alpha=0$ となるが,実際には各項が正でしかも $x_n\ge a>0$ なので矛盾する。これで発散が示せる。

一方,$-1<a<0$ の場合は $1+x_n$ が $0$ と $1$ の間に入ることが重要である。負の数に $0$ と $1$ の間の数を掛けると,値は負のままで絶対値が小さくなる。そのため各項は $-1$ と $0$ の間にとどまりながら,$0$ に向かって単調増加する。

答え

$$ \begin{aligned} &\text{(1) } a>0 \text{ のとき,}{x_n}\text{ は }+\infty\text{ に発散する。}\\ &\text{(2) } -1<a<0 \text{ のとき,すべての正の整数 }n\text{ に対して }-1<x_n<0\text{。}\\ &\text{(3) } -1<a<0 \text{ のとき,}\displaystyle \lim_{n\to\infty}x_n=0\text{。} \end{aligned} $$

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