東京工業大学 1971年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた条件が $f(x)$ と $g(x)$ について共通の $x$ の値に対するものであること、および $F(\theta)$ の式に $\cos^2 \theta$ と $\sin^2 \theta$ が含まれていることに着目します。
まずは2つの関数の差 $h(x) = f(x) - g(x)$ を考え、因数定理を用いて $h(x)$ の式を具体的に決定します。その後、$F(\theta)$ を三角関数の相互関係を用いて変形し、$f(x)$ と $g(x)$ の差の定積分がどのように影響するかを調べます。
解法1
関数 $h(x)$ を次のように定めます。
$$ h(x) = f(x) - g(x) $$
$f(x), g(x)$ はともに $x$ の3次関数であるため、その差 $h(x)$ は高々3次の多項式です。
問題の条件 $f(0)=g(0), f(2)=g(2), f(3)=g(3)$ より、以下が成り立ちます。
$$ h(0) = 0, \quad h(2) = 0, \quad h(3) = 0 $$
これより、因数定理を用いると、$h(x)$ は定数 $a$ を用いて次のように表すことができます。
$$ h(x) = ax(x-2)(x-3) = a(x^3 - 5x^2 + 6x) $$
この式の両辺を $x$ について3回微分します。
$$ h'''(x) = a \cdot (3 \cdot 2 \cdot 1) = 6a $$
一方で、与えられた条件 $f'''(x) = 18, g'''(x) = 12$ より、$h'''(x)$ は次のように計算できます。
$$ h'''(x) = f'''(x) - g'''(x) = 18 - 12 = 6 $$
これら2つの式を比較することで、定数 $a$ の値が定まります。
$$ 6a = 6 \implies a = 1 $$
したがって、$h(x)$ の具体的な式は以下のようになります。
$$ h(x) = x^3 - 5x^2 + 6x $$
次に、$F(\theta)$ の最大値を考えるために、$F(\theta)$ の式を変形します。三角関数の相互関係 $\cos^2 \theta = 1 - \sin^2 \theta$ を用います。
$$ \begin{aligned} F(\theta) &= \cos^2 \theta \int_1^3 f(x)dx + \sin^2 \theta \int_1^3 g(x)dx \\ &= (1 - \sin^2 \theta) \int_1^3 f(x)dx + \sin^2 \theta \int_1^3 g(x)dx \\ &= \int_1^3 f(x)dx - \sin^2 \theta \int_1^3 f(x)dx + \sin^2 \theta \int_1^3 g(x)dx \\ &= \int_1^3 f(x)dx - \sin^2 \theta \int_1^3 \{ f(x) - g(x) \} dx \\ &= \int_1^3 f(x)dx - \left( \int_1^3 h(x)dx \right) \sin^2 \theta \end{aligned} $$
ここで、定積分 $\int_1^3 h(x)dx$ の値を計算します。
$$ \begin{aligned} \int_1^3 h(x)dx &= \int_1^3 (x^3 - 5x^2 + 6x) dx \\ &= \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{5}{3}x^3 + 3x^2 \right]_1^3 \\ &= \left( \frac{81}{4} - 45 + 27 \right) - \left( \frac{1}{4} - \frac{5}{3} + 3 \right) \\ &= \left( \frac{81}{4} - 18 \right) - \left( \frac{3 - 20 + 36}{12} \right) \\ &= \frac{9}{4} - \frac{19}{12} \\ &= \frac{27 - 19}{12} \\ &= \frac{8}{12} \\ &= \frac{2}{3} \end{aligned} $$
これを $F(\theta)$ の式に代入します。
$$ F(\theta) = \int_1^3 f(x)dx - \frac{2}{3} \sin^2 \theta $$
$\int_1^3 f(x)dx$ は $\theta$ に依存しない定数です。したがって、$F(\theta)$ が最大となるのは、引かれる値である $\frac{2}{3} \sin^2 \theta$ が最小となるときです。
実数の平方は常に $0$ 以上であるため、$\sin^2 \theta \ge 0$ です。よって、$\frac{2}{3} \sin^2 \theta$ の最小値は $0$ であり、このとき $\sin \theta = 0$ となります。
与えられた区間は $0 \le \theta \le 2\pi$ であるため、この範囲で $\sin \theta = 0$ を満たす $\theta$ の値を求めます。
$$ \theta = 0, \pi, 2\pi $$
これが求める $\theta$ の値です。
解法2
定積分 $\int_1^3 f(x)dx = A$, $\int_1^3 g(x)dx = B$ とおきます。
$$ F(\theta) = A \cos^2 \theta + B \sin^2 \theta $$
半角の公式を用いて、関数を $2\theta$ の三角関数で表します。
$$ \begin{aligned} F(\theta) &= A \left( \frac{1 + \cos 2\theta}{2} \right) + B \left( \frac{1 - \cos 2\theta}{2} \right) \\ &= \frac{A+B}{2} + \frac{A-B}{2} \cos 2\theta \end{aligned} $$
ここで、$A - B$ の値を計算します。解法1と同様に $h(x) = f(x) - g(x)$ とおき、$h(x) = x^3 - 5x^2 + 6x$ を得ます。
$$ A - B = \int_1^3 f(x)dx - \int_1^3 g(x)dx = \int_1^3 h(x)dx = \frac{2}{3} $$
これを $F(\theta)$ の式に代入します。
$$ F(\theta) = \frac{A+B}{2} + \frac{1}{3} \cos 2\theta $$
$F(\theta)$ は定数項と $\frac{1}{3} \cos 2\theta$ の和で表されます。したがって、$F(\theta)$ が最大となるのは $\cos 2\theta$ が最大となるときです。
$\cos 2\theta$ の最大値は $1$ であり、その条件は整数 $k$ を用いて次のように表されます。
$$ 2\theta = 2k\pi \implies \theta = k\pi $$
与えられた区間は $0 \le \theta \le 2\pi$ であるため、この範囲に含まれる $\theta$ の値を求めます。
$$ \theta = 0, \pi, 2\pi $$
解説
複数の関数が与えられ、それらの特定の値が一致しているという条件から「差の関数」を考えることは、多項式の決定問題における典型的な解法です。これにより、それぞれの関数を個別に求めることなく、必要な情報を引き出すことができます。
また、定積分を含んだ関数 $F(\theta)$ の最大化については、定積分部分を定数と見なし、$\theta$ を含む部分(今回は三角関数)に着目して式を整理することがポイントです。これにより、$f(x)$ や $g(x)$ の定積分を個別に計算する手間を省くことができます。
答え
$$ \theta = 0, \pi, 2\pi $$
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