東京工業大学 1979年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1)は、等式が「すべての $x$」で成り立つ(恒等式である)ことを利用する。$\sin x$ や $\cos x$ が $0$ になるような特定の $x$ の値を代入し、多項式 $p(x), q(x)$ が無数に多くの解を持つことを導く。多項式の次数と解の個数の関係に着目する。
(2)は、定積分を含む関数方程式である。両辺を $x$ で微分して積分記号を外し、式を整理することで、(1) と同じ形の恒等式に帰着させる誘導に乗る。
解法1
(1)
すべての実数 $x$ に対して
$$ p(x) \cos x = q(x) \sin x \quad \cdots \text{①} $$
が成り立つ。
①に $x = n\pi$ ($n$ は整数) を代入すると、$\sin n\pi = 0$ であり、$\cos n\pi = (-1)^n \neq 0$ であるから、
$$ p(n\pi) \cdot (-1)^n = 0 $$
$$ p(n\pi) = 0 $$
となる。
これは、方程式 $p(x) = 0$ が無数に多くの解 $x = n\pi$ ($n=0, \pm1, \pm2, \dots$) を持つことを意味する。$p(x)$ は3次以下の多項式であるから、次数を超える個数の解を持つためには、$p(x)$ は恒等的に $0$ でなければならない。
$p(x) = 0$ (恒等的に) とすると、①は
$$ 0 = q(x) \sin x $$
となり、これがすべての $x$ に対して成り立つ。
ここで $x = \frac{\pi}{2} + n\pi$ ($n$ は整数) を代入すると、$\sin\left(\frac{\pi}{2} + n\pi\right) \neq 0$ であるから、
$$ 0 = q\left(\frac{\pi}{2} + n\pi\right) $$
となる。
同様に、方程式 $q(x) = 0$ が無数に多くの解を持つことになり、$q(x)$ も3次以下の多項式であるから、恒等的に $0$ でなければならない。
以上より、$p(x), q(x)$ は恒等的に $0$ に等しい。(証明終)
(2)
与えられた等式
$$ P(x) \cos x + \int_0^x Q(t) \sin t dt = (x^2 + 2x + 3) \sin x \quad \cdots \text{②} $$
の両辺を $x$ で微分すると、
$$ P'(x) \cos x - P(x) \sin x + Q(x) \sin x = (2x + 2) \sin x + (x^2 + 2x + 3) \cos x $$
となる。
$\cos x$ と $\sin x$ について整理すると、
$$ \{P'(x) - (x^2 + 2x + 3)\} \cos x = \{P(x) - Q(x) + 2x + 2\} \sin x \quad \cdots \text{③} $$
となる。
ここで、$P(x), Q(x)$ は3次以下の多項式であるから、$P'(x) - (x^2 + 2x + 3)$ は2次以下の多項式であり、$P(x) - Q(x) + 2x + 2$ は3次以下の多項式である。
③はすべての $x$ に対して成り立つので、(1) の結果を適用すると、以下の2つの式が恒等的に成り立つ。
$$ P'(x) - (x^2 + 2x + 3) = 0 \quad \cdots \text{④} $$
$$ P(x) - Q(x) + 2x + 2 = 0 \quad \cdots \text{⑤} $$
④より、
$$ P'(x) = x^2 + 2x + 3 $$
であり、これを積分すると、
$$ P(x) = \frac{1}{3}x^3 + x^2 + 3x + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$
となる。
定数 $C$ を求めるために、元の等式②に $x = 0$ を代入すると、
$$ P(0) \cos 0 + \int_0^0 Q(t) \sin t dt = (0^2 + 0 + 3) \sin 0 $$
$$ P(0) \cdot 1 + 0 = 0 $$
$$ P(0) = 0 $$
したがって、
$$ C = 0 $$
となり、$P(x)$ は以下のように定まる。
$$ P(x) = \frac{1}{3}x^3 + x^2 + 3x $$
次に、⑤を変形して $Q(x)$ を求める。
$$ Q(x) = P(x) + 2x + 2 $$
これに求めた $P(x)$ を代入すると、
$$ Q(x) = \left(\frac{1}{3}x^3 + x^2 + 3x\right) + 2x + 2 $$
$$ Q(x) = \frac{1}{3}x^3 + x^2 + 5x + 2 $$
となる。これは条件である「3次以下の多項式」を満たしている。
解説
(1) は「恒等式」と「多項式の次数」に関する典型的な証明問題である。三角関数が周期性を持ち、周期的に $0$ になることを利用して、多項式が無限個の根を持つことを示すのがポイントである。「$n$ 次多項式が $n+1$ 個以上の異なる解を持つならば、その多項式は恒等的に $0$ である」という事実を背景としている。
(2) は定積分を含む関数の等式である。基本方針通りに両辺を微分することで、(1) で証明した形を作り出すことができる素直な誘導問題となっている。微分してできた恒等式から多項式の係数や関係式を導いた後、積分定数を決定するために、元の等式の積分区間が $0$ から $0$ になるような値(ここでは $x=0$)を代入する操作を忘れないようにしたい。
答え
(1) 略(解法1の証明を参照)
(2)
$$ P(x) = \frac{1}{3}x^3 + x^2 + 3x $$
$$ Q(x) = \frac{1}{3}x^3 + x^2 + 5x + 2 $$
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