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東京工業大学 1974年 理系 第3問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
東京工業大学 1974年 理系 第3問 解説

方針・初手

複素数 $w$ が実数であるための条件を立式する。(1)では、与えられた $z = x + iy$ を直接代入して $\text{Im}(w) = 0$(虚部が $0$)とする方針と、共役複素数の性質である $w = \bar{w}$ を用いる方針の2つが考えられる。どちらでも容易に $z$ の満たすべき条件($x, y$ の関係式)が求まる。

(2)では、(1)で求まった $z$ の集合(2つの直線)それぞれの上を $z$ が動くときの $w$ の値域を調べる。それぞれの場合において $w$ は実数の2次関数として表されるので、平方完成を用いて値域を求め、それらの和集合が実数全体を網羅することを示す。

解法1

(1)

問題文より $z = x + iy$ ($x, y$ は実数) である。これを $w = az^2 + bz$ に代入する。

$$ w = a(x + iy)^2 + b(x + iy) $$

$$ w = a(x^2 - y^2 + 2ixy) + bx + iby $$

実部と虚部に整理する。

$$ w = \{a(x^2 - y^2) + bx\} + i(2axy + by) $$

$w$ が実数となるための条件は、虚部が $0$ となることである。

$$ 2axy + by = 0 $$

$$ y(2ax + b) = 0 $$

これより、以下のいずれかが成り立つ。

$$ y = 0 \quad \text{または} \quad 2ax + b = 0 $$

$a \neq 0$ であるから、第2式は $x = -\frac{b}{2a}$ となる。 したがって、求める $z$ の集合は、複素数平面上の直線 $y = 0$(実軸)または 直線 $x = -\frac{b}{2a}$ 上の点全体である。

(2)

(1) の結果より、$z$ は以下の2つの直線上を動く。それぞれの場合における $w$ のとりうる値を調べる。

(i) $z$ が直線 $y = 0$ 上を動くとき $z = x$ となり、$x$ はすべての実数値をとりうる。このとき $w$ は以下のように表される。

$$ w = ax^2 + bx $$

これを平方完成する。

$$ w = a\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 - \frac{b^2}{4a} $$

$a > 0$ のとき、$w$ の値域は $w \geqq -\frac{b^2}{4a}$ となる。 $a < 0$ のとき、$w$ の値域は $w \leqq -\frac{b^2}{4a}$ となる。

(ii) $z$ が直線 $x = -\frac{b}{2a}$ 上を動くとき $z = -\frac{b}{2a} + iy$ となり、$y$ はすべての実数値をとりうる。このとき $w$ は実数であり、その値(実部)は (1) の計算結果から以下のように表される。

$$ w = a\left\{\left(-\frac{b}{2a}\right)^2 - y^2\right\} + b\left(-\frac{b}{2a}\right) $$

$$ w = \frac{b^2}{4a} - ay^2 - \frac{b^2}{2a} $$

$$ w = -ay^2 - \frac{b^2}{4a} $$

$a > 0$ のとき、$y^2 \geqq 0$ より $-ay^2 \leqq 0$ なので、$w$ の値域は $w \leqq -\frac{b^2}{4a}$ となる。 $a < 0$ のとき、$y^2 \geqq 0$ より $-ay^2 \geqq 0$ なので、$w$ の値域は $w \geqq -\frac{b^2}{4a}$ となる。

(i), (ii) より、$z$ が (1) で求めた集合上を動くときの $w$ の値域は、これら2つの場合の値域の和集合となる。 $a > 0$ のとき、$w \geqq -\frac{b^2}{4a}$ と $w \leqq -\frac{b^2}{4a}$ の和集合であるから、すべての実数値をとる。 $a < 0$ のとき、$w \leqq -\frac{b^2}{4a}$ と $w \geqq -\frac{b^2}{4a}$ の和集合であるから、すべての実数値をとる。 以上より、$w$ はすべての実数値をとることが示された。

解法2

(1)

$w$ が実数となる条件は $w = \bar{w}$ である。 $a, b$ は実数であるから、方程式は以下のようになる。

$$ az^2 + bz = \overline{az^2 + bz} $$

$$ az^2 + bz = a\bar{z}^2 + b\bar{z} $$

移行して因数分解する。

$$ a(z^2 - \bar{z}^2) + b(z - \bar{z}) = 0 $$

$$ a(z - \bar{z})(z + \bar{z}) + b(z - \bar{z}) = 0 $$

$$ (z - \bar{z}) \{ a(z + \bar{z}) + b \} = 0 $$

これより、以下のいずれかが成り立つ。

$$ z - \bar{z} = 0 \quad \text{または} \quad a(z + \bar{z}) + b = 0 $$

$z = x + iy$ ($x, y$ は実数) とおくと、$z - \bar{z} = 2iy$、$z + \bar{z} = 2x$ であるから、条件式は以下のようになる。

$$ 2iy = 0 \quad \text{または} \quad 2ax + b = 0 $$

すなわち、$y = 0$ または $x = -\frac{b}{2a}$ である。 したがって、求める $z$ の集合は、複素数平面上の直線 $y = 0$ または直線 $x = -\frac{b}{2a}$ 上の点全体である。

(2)

(1) で求めた $z$ の集合は、以下の2つの直線上を動く場合である。

(i) $z$ が直線 $y = 0$ 上を動くとき $z = x$ ($x$ は実数) であり、$w = ax^2 + bx$ となる。これを平方完成する。

$$ w = a\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 - \frac{b^2}{4a} $$

$x$ はすべての実数値をとりうるため、$w$ の値域は以下のようになる。 $a > 0$ のとき、$w \geqq -\frac{b^2}{4a}$ $a < 0$ のとき、$w \leqq -\frac{b^2}{4a}$

(ii) $z$ が直線 $x = -\frac{b}{2a}$ 上を動くとき $z = -\frac{b}{2a} + iy$ ($y$ は実数) とおき、$w$ の式に代入する。

$$ w = a\left(-\frac{b}{2a} + iy\right)^2 + b\left(-\frac{b}{2a} + iy\right) $$

展開して整理する。

$$ w = a\left(\frac{b^2}{4a^2} - y^2 - i\frac{b}{a}y\right) - \frac{b^2}{2a} + iby $$

$$ w = \left(\frac{b^2}{4a} - ay^2 - \frac{b^2}{2a}\right) + i(-by + by) $$

$$ w = -ay^2 - \frac{b^2}{4a} $$

$y$ はすべての実数値をとりうるため、$w$ の値域は以下のようになる。 $a > 0$ のとき、$w \leqq -\frac{b^2}{4a}$ $a < 0$ のとき、$w \geqq -\frac{b^2}{4a}$

(i), (ii) より、$a > 0$、$a < 0$ のいずれの場合でも、$w$ のとりうる値の範囲は $w \geqq -\frac{b^2}{4a}$ と $w \leqq -\frac{b^2}{4a}$ の和集合となり、実数全体を網羅する。 したがって、$z$ がこの集合の上を動くとき、$w$ はすべての実数値をとることが示された。

解説

複素数が実数であるための条件をどのように数式に翻訳するかが問われる典型問題である。(1)では $z=x+iy$ とおいて直接虚部を $0$ とするか、共役複素数の性質 $w=\bar{w}$ を用いて因数分解に持ち込むかの2つの方針があり、どちらの解法でも無理なく結論を得られる。

(2)では、(1)で求めた2つの図形(直線)上を $z$ が別々に動く際、それぞれの経路で得られる $w$ (実数の2次関数)の値域が、共通の境界値である $-\frac{b^2}{4a}$ を境にしてちょうど上下に分かれることがポイントである。これらを合わせることで、実数全体を漏れなく覆うという美しい構造になっている。

答え

(1) 複素数平面上の直線 $y = 0$ または 直線 $x = -\frac{b}{2a}$ 上の点全体

(2) $w$ はすべての実数値をとる。

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