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東京工業大学 1983年 理系 第2問 解説

数学2/図形と式数学1/二次関数数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
東京工業大学 1983年 理系 第2問 解説

方針・初手

点 $(x, y)$ が求める集合に属するための条件は、$t$ の方程式 $y = \frac{1}{2} \left\{ t + \frac{x(2-x)}{t} \right\}$ が $0 < t \leqq \frac{1}{2}$ に少なくとも1つの実数解をもつことである。

これを、「$x$ を固定して $t$ の関数として $y$ のとり得る値の範囲を求める(順像法)」か、「$t$ の2次方程式とみて実数解の存在条件を求める(逆像法)」のいずれかで処理する。ここでは見通しのよい順像法を解法1、逆像法を解法2として示す。

解法1

方程式を

$$ y = \frac{1}{2} t + \frac{x(2-x)}{2t} $$

とみる。$x$ を固定したとき、$t$ が $0 < t \leqq \frac{1}{2}$ の範囲を動くときの $y$ のとり得る値の範囲を求める。 $f(t) = \frac{1}{2} t + \frac{x(2-x)}{2t}$ とおくと、

$$ f'(t) = \frac{1}{2} - \frac{x(2-x)}{2t^2} = \frac{t^2 - x(2-x)}{2t^2} $$

$x(2-x)$ の値によって場合分けする。

(i)

$x(2-x) < 0$ のとき(すなわち $x < 0, \ 2 < x$ のとき)

$0 < t \leqq \frac{1}{2}$ において常に $t^2 - x(2-x) > 0$ であるから、$f'(t) > 0$ となり、$f(t)$ は単調に増加する。 また、$\lim_{t \to +0} f(t) = -\infty$ であり、最大値は $f\left(\frac{1}{2}\right) = -x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ となる。 よって $y$ の範囲は

$$ y \leqq -x^2 + 2x + \frac{1}{4} $$

(ii)

$x(2-x) = 0$ のとき(すなわち $x = 0, \ 2$ のとき)

$f(t) = \frac{1}{2} t$ となる。 $0 < t \leqq \frac{1}{2}$ より、$y$ の範囲は

$$ 0 < y \leqq \frac{1}{4} $$

(iii)

$x(2-x) > 0$ のとき(すなわち $0 < x < 2$ のとき)

$f'(t) = 0$ となる $t \ (>0)$ は $t = \sqrt{x(2-x)}$ である。$\alpha = \sqrt{x(2-x)}$ とおく。 $\alpha$ と $\frac{1}{2}$ の大小でさらに場合分けする。

(iii-a) $\alpha > \frac{1}{2}$ のとき

$$ \sqrt{x(2-x)} > \frac{1}{2} \iff x(2-x) > \frac{1}{4} \iff x^2 - 2x + \frac{1}{4} < 0 $$

これを解いて $1 - \frac{\sqrt{3}}{2} < x < 1 + \frac{\sqrt{3}}{2}$ である。 このとき、$0 < t \leqq \frac{1}{2}$ の範囲において $t < \alpha$ であるから $f'(t) < 0$ となり、$f(t)$ は単調に減少する。 $\lim_{t \to +0} f(t) = \infty$ であり、最小値は $f\left(\frac{1}{2}\right) = -x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ となる。 よって $y$ の範囲は

$$ y \geqq -x^2 + 2x + \frac{1}{4} $$

(iii-b) $0 < \alpha \leqq \frac{1}{2}$ のとき

$x^2 - 2x + \frac{1}{4} \geqq 0$ と $0 < x < 2$ より、

$$ 0 < x \leqq 1 - \frac{\sqrt{3}}{2}, \quad 1 + \frac{\sqrt{3}}{2} \leqq x < 2 $$

このとき、$f(t)$ は $0 < t \leqq \alpha$ で減少し、$\alpha \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ で増加する。 最小値は $f(\alpha) = \sqrt{x(2-x)}$ であり、$\lim_{t \to +0} f(t) = \infty$ であるから、

$$ y \geqq \sqrt{x(2-x)} $$

これは $y > 0$ のもとで両辺を2乗した以下の式と同値である。

$$ (x-1)^2 + y^2 \geqq 1 \quad (y > 0) $$

境界線の考察

ここで、放物線 $C_1 : y = -x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ と円の上半分 $C_2 : y = \sqrt{x(2-x)}$ の上下関係を調べる。 $C_1$ と $C_2$ の $y$ 座標の差をとると、

$$ \begin{aligned} \left( -x^2 + 2x + \frac{1}{4} \right) - \sqrt{x(2-x)} &= \frac{1}{4} - (x-1)^2 + 1 - \sqrt{1 - (x-1)^2} \\ &= \frac{5}{4} - (x-1)^2 - \sqrt{1 - (x-1)^2} \end{aligned} $$

$X = \sqrt{1 - (x-1)^2} \ (0 < X \leqq 1)$ とおくと、$X^2 = 1 - (x-1)^2$ より、上式は

$$ X^2 - X + \frac{1}{4} = \left( X - \frac{1}{2} \right)^2 \geqq 0 $$

となる。等号成立は $X = \frac{1}{2} \iff (x-1)^2 = \frac{3}{4} \iff x = 1 \pm \frac{\sqrt{3}}{2}$ のときであり、このとき $y = \frac{1}{2}$ となる。 したがって、常に $C_1$ は $C_2$ の上側(接するときを含む)に位置する。 以上をまとめることで求める領域となる。

解法2

方程式を $t$ について整理すると、

$$ 2yt = t^2 + 2x - x^2 $$

$$ t^2 - 2yt + 2x - x^2 = 0 $$

この $t$ についての2次方程式が、$0 < t \leqq \frac{1}{2}$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつための $(x, y)$ の条件を求める。

$g(t) = t^2 - 2yt + 2x - x^2$ とおく。$g(t) = (t - y)^2 - y^2 + 2x - x^2$ より、放物線 $u = g(t)$ の軸は $t = y$ である。 また、$g(0) = x(2-x)$、$g\left(\frac{1}{2}\right) = -y - x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ である。

(1)

$0 < t \leqq \frac{1}{2}$ に実数解を2つ(重解を含む)もつ場合

判別式を $D$ とすると、

$$ \frac{D}{4} = y^2 - (2x - x^2) = y^2 + (x-1)^2 - 1 \geqq 0 $$

軸の位置について、

$$ 0 < y \leqq \frac{1}{2} $$

端点について、

$$ g(0) > 0 \iff 0 < x < 2 $$

$$ g\left(\frac{1}{2}\right) \geqq 0 \iff y \leqq -x^2 + 2x + \frac{1}{4} $$

これらをすべて満たす領域である。

(2)

$0 < t \leqq \frac{1}{2}$ に1つの解をもち、もう1つの解が $t \leqq 0$ にある場合

$$ g(0) < 0 \text{ かつ } g\left(\frac{1}{2}\right) \geqq 0 $$

または

$$ g(0) = 0 \text{ かつ } y > 0 \text{ かつもう1つの解が } \frac{1}{2} \text{ 以下} $$

前者から、$(x < 0 \text{ または } x > 2)$ かつ $y \leqq -x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ となる。 後者から、$x=0, 2$ のとき $g(t) = t(t-2y)=0$ より解は $t=0, 2y$ である。これが条件を満たすのは $0 < 2y \leqq \frac{1}{2}$ より、$0 < y \leqq \frac{1}{4}$ となる。

(3)

$0 < t < \frac{1}{2}$ に1つの解をもち、もう1つの解が $t > \frac{1}{2}$ にある場合

$$ g(0) > 0 \text{ かつ } g\left(\frac{1}{2}\right) < 0 $$

これより、$0 < x < 2$ かつ $y > -x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ となる。

(4)

$t = \frac{1}{2}$ が解であり、もう1つの解が $t > \frac{1}{2}$ にある場合

$$ g\left(\frac{1}{2}\right) = 0 \iff y = -x^2 + 2x + \frac{1}{4} $$

このとき、もう1つの解は $t = 2y - \frac{1}{2}$ である。これが $\frac{1}{2}$ より大きいので、$y > \frac{1}{2}$ となる。 放物線上のうち $y > \frac{1}{2}$ となる部分は、$1 - \frac{\sqrt{3}}{2} < x < 1 + \frac{\sqrt{3}}{2}$ である。

これらの和集合をとることで、解法1と同じ領域が得られる。

解説

放物線群の通過領域(軌跡・領域)を求める標準的な問題である。「ある変数が動くときの他の変数のとり得る範囲」と捉える順像法と、「方程式が指定された範囲に実数解をもつ条件」と捉える逆像法の2つのアプローチが考えられる。

本問はどちらの手法でも計算量は同程度である。ただし、順像法(解法1)の方が論理の抜け漏れが起きにくく、領域の境界となる曲線の上下関係を微分なしで代数的に確認できるため見通しが良い。

逆像法(解法2)を用いる場合は、解の配置問題としての丁寧な場合分けが必要になる。特に、境界上の点や解の1つが区間の端点に一致する場合の処理(例えば $t=0, \frac{1}{2}$ が解になる場合)の吟味を忘れないように注意したい。

答え

求める集合は、以下の連立不等式を満たす点 $(x, y)$ の集合を合わせた領域である。

これを図示すると、放物線 $y = -x^2 + 2x + \frac{1}{4}$ と円 $(x-1)^2 + y^2 = 1$ を境界として構成される領域となる。 図示上の境界線は、点 $(0, 0), (2, 0)$ のみ含まれず(白丸)、他の境界線($x=0, 2$ 上の線分を含む)はすべて含まれる。

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