東京工業大学 2015年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) は、位置ベクトル $\vec{OP}$ を $t$ で微分して速度ベクトル $\vec{v}$ を求め、ベクトルの内積の定義から $\cos \theta(t)$ を計算して極限をとるという素直な方針で解く。
(2) は、「$\vec{v}$ が $y$ 軸に平行」という条件を「$\vec{v}$ の $x$ 成分が $0$ かつ $y$ 成分が $0$ でない」と翻訳し、方程式を立てる。得られた方程式は代数的に解けないため、グラフの交点として解 $t_1, t_2$ を捉え、周期性と単調性を利用して不等式を証明する。
解法1
(1)
位置ベクトル $\vec{OP}$ は与えられた座標から以下のようになる。
$$ \vec{OP} = (t^2 \cos t, t^2 \sin t) $$
速度ベクトル $\vec{v}$ は、位置ベクトルを時刻 $t$ で微分したものなので、各成分を $t$ で微分する。
$$ \vec{v} = \left( \frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt} \right) = (2t \cos t - t^2 \sin t, 2t \sin t + t^2 \cos t) $$
なす角 $\theta(t)$ は $0 \le \theta(t) \le \pi$ の範囲であり、$\cos \theta(t)$ は内積を用いて次のように表せる。
$$ \cos \theta(t) = \frac{\vec{OP} \cdot \vec{v}}{|\vec{OP}| |\vec{v}|} $$
内積 $\vec{OP} \cdot \vec{v}$ を計算する。
$$ \begin{aligned} \vec{OP} \cdot \vec{v} &= t^2 \cos t (2t \cos t - t^2 \sin t) + t^2 \sin t (2t \sin t + t^2 \cos t) \\ &= 2t^3 \cos^2 t - t^4 \sin t \cos t + 2t^3 \sin^2 t + t^4 \sin t \cos t \\ &= 2t^3 (\cos^2 t + \sin^2 t) \\ &= 2t^3 \end{aligned} $$
次に、各ベクトルの大きさを計算する。$t > 0$ に注意する。
$$ |\vec{OP}| = \sqrt{(t^2 \cos t)^2 + (t^2 \sin t)^2} = \sqrt{t^4 (\cos^2 t + \sin^2 t)} = t^2 $$
$$ \begin{aligned} |\vec{v}|^2 &= (2t \cos t - t^2 \sin t)^2 + (2t \sin t + t^2 \cos t)^2 \\ &= (4t^2 \cos^2 t - 4t^3 \sin t \cos t + t^4 \sin^2 t) + (4t^2 \sin^2 t + 4t^3 \sin t \cos t + t^4 \cos^2 t) \\ &= 4t^2 (\cos^2 t + \sin^2 t) + t^4 (\sin^2 t + \cos^2 t) \\ &= 4t^2 + t^4 \\ &= t^2(t^2 + 4) \end{aligned} $$
$$ |\vec{v}| = \sqrt{t^2(t^2 + 4)} = t\sqrt{t^2 + 4} $$
これらを $\cos \theta(t)$ の式に代入する。
$$ \cos \theta(t) = \frac{2t^3}{t^2 \cdot t\sqrt{t^2 + 4}} = \frac{2t^3}{t^3\sqrt{t^2 + 4}} = \frac{2}{\sqrt{t^2 + 4}} $$
$t \to \infty$ の極限を考える。
$$ \lim_{t \to \infty} \cos \theta(t) = \lim_{t \to \infty} \frac{2}{\sqrt{t^2 + 4}} = 0 $$
$0 \le \theta(t) \le \pi$ より、$\cos \theta(t) \to 0$ のとき $\theta(t) \to \frac{\pi}{2}$ となる。
$$ \lim_{t \to \infty} \theta(t) = \frac{\pi}{2} $$
(2)
$\vec{v}$ が $y$ 軸に平行になる条件は、$\vec{v}$ の $x$ 成分が $0$ であり、かつ $y$ 成分が $0$ でないことである。$x$ 成分が $0$ となる条件を求める。
$$ 2t \cos t - t^2 \sin t = 0 $$
$t > 0$ であるため、両辺を $t$ で割ることができる。
$$ 2 \cos t - t \sin t = 0 $$
ここで $\cos t = 0$ と仮定すると、$t \sin t = 0$ となる。$t > 0$ なので $\sin t = 0$ となるが、$\cos t = 0$ と $\sin t = 0$ を同時に満たす実数 $t$ は存在しない。よって $\cos t \neq 0$ である。両辺を $\cos t$ で割ると次の方程式を得る。
$$ \tan t = \frac{2}{t} $$
なお、このとき $y$ 成分は $\frac{dy}{dt} = 2t \sin t + t^2 \cos t = \cos t (2t \tan t + t^2) = \cos t (4 + t^2) \neq 0$ となるため、$y$ 軸に平行であるという条件を満たする。
したがって、$t_1, t_2$ は関数 $f(t) = \tan t$ と $g(t) = \frac{2}{t}$ のグラフの $t > 0$ における交点の $t$ 座標のうち、小さい方から $1$ 番目と $2$ 番目の値である。
$f(t) = \tan t$ は周期 $\pi$ を持ち、それぞれの定義域の区間内で単調に増加する関数である。一方、$g(t) = \frac{2}{t}$ は $t > 0$ において単調に減少する関数である。
グラフを描いて考えると、最初の交点 $t_1$ は区間 $\left( 0, \frac{\pi}{2} \right)$ に存在する。2番目の交点 $t_2$ は次の周期の区間 $\left( \pi, \frac{3\pi}{2} \right)$ に存在する。
示したい不等式 $t_2 - t_1 < \pi$ は、$t_2 < t_1 + \pi$ と同値である。
ここで、$t_1 \in \left( 0, \frac{\pi}{2} \right)$ であるため、$t_1 + \pi$ は区間 $\left( \pi, \frac{3\pi}{2} \right)$ に属する。$t_2$ も同じ区間 $\left( \pi, \frac{3\pi}{2} \right)$ に属している。
関数 $\tan t$ は区間 $\left( \pi, \frac{3\pi}{2} \right)$ において単調増加であるため、$t_2$ と $t_1 + \pi$ の大小関係を比較するには、それぞれの $\tan$ の値を比較すればよいことになる。
$$ \tan t_2 = \frac{2}{t_2} $$
$$ \tan(t_1 + \pi) = \tan t_1 = \frac{2}{t_1} $$
$0 < t_1 < t_2$ であることから、逆数をとると以下の不等式が成り立つ。
$$ \frac{2}{t_2} < \frac{2}{t_1} $$
これらを前の式に当てはめると、次のようになる。
$$ \tan t_2 < \tan(t_1 + \pi) $$
$t_2$ と $t_1 + \pi$ はともに区間 $\left( \pi, \frac{3\pi}{2} \right)$ に属しており、この区間で $\tan t$ は単調増加関数であるため、引数の大小関係がそのまま成り立つ。
$$ t_2 < t_1 + \pi $$
これを移項することで、求める不等式が得られる。
$$ t_2 - t_1 < \pi $$
解説
(1) は内積とベクトルの大きさの計算によって $\cos \theta(t)$ を求める典型的な手法である。計算ミスに注意すれば確実に得点できる部分である。
(2) は超越方程式 $\tan t = \frac{2}{t}$ の解の評価に関する問題である。具体的な解の値が求まらない方程式では、両辺を関数として捉えてグラフの交点として視覚的に位置を把握する定石が有効である。不等式 $t_2 - t_1 < \pi$ を $t_2 < t_1 + \pi$ と変形し、同じ単調区間 $\left( \pi, \frac{3\pi}{2} \right)$ の中に $t_2$ と $t_1 + \pi$ を入れて関数の値で大小を比較するという論理展開が、このような証明問題における非常にスマートで強力な手法となる。
答え
(1)
$$ \lim_{t \to \infty} \theta(t) = \frac{\pi}{2} $$
(2)
$$ t_2 - t_1 < \pi $$
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