東京大学 1978年 理系 第2問 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ の導関数を求め、その増減とグラフの概形を把握する。 次に、幅 $1$ の固定された区間 $[t, t+1]$ が動くときの最大値 $g(t)$ を考える。最大値の候補となるのは「区間内の極大値」または「区間の両端における値」である。 そのため、極大点が区間に含まれるための $t$ の条件と、端点の値 $f(t)$ と $f(t+1)$ の大小関係によって場合分けを行う。
解法1
関数 $f(x) = (x^2-4)(x^2-9) = x^4 - 13x^2 + 36$ を $x$ で微分すると、
$$ f'(x) = 4x^3 - 26x = 2x(2x^2 - 13) $$
$f'(x) = 0$ とすると、$x = 0, \pm\frac{\sqrt{26}}{2}$ である。 $f(x)$ の増減表は以下のようになる。($\alpha = \frac{\sqrt{26}}{2}$ とする。なお $2 < \alpha < 3$ である。)
| $x$ | $\cdots$ | $-\alpha$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $\alpha$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ | $36$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
したがって、$f(x)$ は $x=0$ で極大値 $f(0)=36$ をとる。
次に、区間の両端の値の差を調べる。
$$ \begin{aligned} f(t+1) - f(t) &= \{(t+1)^4 - 13(t+1)^2 + 36\} - (t^4 - 13t^2 + 36) \\ &= 4t^3 + 6t^2 - 22t - 12 \\ &= 2(2t^3 + 3t^2 - 11t - 6) \\ &= 2(t-2)(2t^2 + 7t + 3) \\ &= 2(t-2)(t+3)(2t+1) \end{aligned} $$
$f(t+1) - f(t) = 0$ となるのは $t = -3, -\frac{1}{2}, 2$ のときである。
以上の準備から、$t$ が $-3 \leqq t \leqq 3$ の範囲を動くとき、区間 $[t, t+1]$ における最大値 $g(t)$ を場合分けして求める。 極大値をとる $x=0$ が区間 $[t, t+1]$ に含まれるのは、$t \leqq 0 \leqq t+1$ すなわち $-1 \leqq t \leqq 0$ のときである。
(i) $-3 \leqq t < -1$ のとき
区間 $[t, t+1]$ は $x \leqq 0$ の範囲にある。このとき極大点 $x=0$ は区間に含まれない。 この範囲では $t-2 < 0$, $t+3 \geqq 0$, $2t+1 < 0$ であるから、$f(t+1) - f(t) \geqq 0$ となり、$f(t) \leqq f(t+1)$ である。(等号は $t=-3$ のとき) したがって、最大値は $x = t+1$ でとり、
$$ g(t) = f(t+1) = t^4 + 4t^3 - 7t^2 - 22t + 24 $$
(ii) $-1 \leqq t \leqq 0$ のとき
極大点 $x=0$ が区間 $[t, t+1]$ に含まれる。 $f(x)$ の区間内の最大値は極大値に一致するため、
$$ g(t) = f(0) = 36 $$
(iii) $0 < t \leqq 2$ のとき
区間 $[t, t+1]$ は $x > 0$ の範囲にある。このとき極大点 $x=0$ は区間に含まれない。 この範囲では $t-2 \leqq 0$, $t+3 > 0$, $2t+1 > 0$ であるから、$f(t+1) - f(t) \leqq 0$ となり、$f(t) \geqq f(t+1)$ である。(等号は $t=2$ のとき) したがって、最大値は $x = t$ でとり、
$$ g(t) = f(t) = t^4 - 13t^2 + 36 $$
(iv) $2 < t \leqq 3$ のとき
区間 $[t, t+1]$ は $x > 0$ の範囲にある。 この範囲では $t-2 > 0$, $t+3 > 0$, $2t+1 > 0$ であるから、$f(t+1) - f(t) > 0$ となり、$f(t) < f(t+1)$ である。 したがって、最大値は $x = t+1$ でとり、
$$ g(t) = f(t+1) = t^4 + 4t^3 - 7t^2 - 22t + 24 $$
これらをまとめると、関数 $s = g(t)$ は以下のようになる。
$$ g(t) = \begin{cases} t^4 + 4t^3 - 7t^2 - 22t + 24 & (-3 \leqq t < -1) \\ 36 & (-1 \leqq t \leqq 0) \\ t^4 - 13t^2 + 36 & (0 < t \leqq 2) \\ t^4 + 4t^3 - 7t^2 - 22t + 24 & (2 < t \leqq 3) \end{cases} $$
次に、$s = g(t)$ のグラフを描くために増減を調べる。 $-3 \leqq t < -1$ のとき、$g'(t) = f'(t+1)$ である。この範囲において対応する $x = t+1$ は $-2 \leqq x < 0$ であり、$x = -\alpha \approx -2.55$ より右側にあるため $f'(t+1) > 0$ となる。よって $g(t)$ は単調増加する。 $-1 < t < 0$ のとき、$g'(t) = 0$ である。 $0 < t < 2$ のとき、$g'(t) = f'(t)$ である。この範囲において $0 < t < \alpha \approx 2.55$ であるため $f'(t) < 0$ となる。よって $g(t)$ は単調減少する。 $2 < t < 3$ のとき、$g'(t) = f'(t+1)$ である。この範囲において対応する $x = t+1$ は $3 < x < 4$ であり、$x = \alpha$ より右側にあるため $f'(t+1) > 0$ となる。よって $g(t)$ は単調増加する。
端点および境界の値を計算すると、 $g(-3) = f(-2) = 0$ $g(-1) = f(0) = 36$ $g(0) = f(0) = 36$ $g(2) = f(2) = 0$ $g(3) = f(4) = (16-4)(16-9) = 84$
以上より、$s = g(t)$ の増減表は次のようになる。
| $t$ | $-3$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $2$ | $\cdots$ | $3$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $g'(t)$ | $+$ | $0$ | $0$ | $0$ | $-$ | $+$ | |||
| $g(t)$ | $0$ | $\nearrow$ | $36$ | $\rightarrow$ | $36$ | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ | $84$ |
これをもとにグラフを描く。 グラフは点 $(-3, 0)$ から $(-1, 36)$ へ滑らかに増加し、点 $(-1, 36)$ から $(0, 36)$ までは $s=36$ の水平な線分となる。点 $(0, 36)$ から $(2, 0)$ へ滑らかに減少し、点 $(2, 0)$ から $(3, 84)$ へ増加する。 なお、$t=-1$ および $t=0$ では左右の微分係数が $0$ となり滑らかにつながるが、$t=2$ では左微分係数が $-20$、右微分係数が $30$ となるため、グラフは折れ曲がる(尖点をもつ)。
解説
関数が動く区間における最大値・最小値を求める典型問題である。 着眼点として、極大点と区間の位置関係、および区間の両端における関数の値の大小関係の $2$ つの基準で場合分けを行う必要がある。 $f(t+1) - f(t) = 0$ を満たす $t$ の値を求める計算がやや重いが、因数定理を用いて見落としなく解き切ることが鍵となる。また、得られた境界のうち $t = -\frac{1}{2}$ は、極大値を含む区間($-1 \leqq t \leqq 0$)の内部にあるため、最大値には影響しないことを見抜けると、場合分けを簡素化できる。
答え
関数 $s = g(t)$ は以下の通りである。
$$ g(t) = \begin{cases} t^4 + 4t^3 - 7t^2 - 22t + 24 & (-3 \leqq t < -1) \\ 36 & (-1 \leqq t \leqq 0) \\ t^4 - 13t^2 + 36 & (0 < t \leqq 2) \\ t^4 + 4t^3 - 7t^2 - 22t + 24 & (2 < t \leqq 3) \end{cases} $$
そのグラフは、点 $(-3, 0), (-1, 36), (0, 36), (2, 0), (3, 84)$ を通り、$(-1, 36)$ と $(0, 36)$ の間は $s=36$ の線分となる。また、$t=-1$ と $t=0$ でグラフは滑らかに接続し、$t=2$ では折れ曲がる形状となる。(詳細な増減は本文の増減表を参照)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











