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東京大学 2008年 理系 第1問 解説

旧課程/行列・一次変換数学B/数列テーマ/漸化式テーマ/軌跡・領域
東京大学 2008年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1)では、移動 $f$ の表す関係式を $x, y$ について解き、直線 $l_n$ の方程式に代入することで、点 $f(P)$ の軌跡である $l_{n+1}$ の方程式を導出する。係数を比較することで漸化式を得る。 (2)では、(1)で得た連立漸化式から $a_n, b_n$ の一般項を求める。その後、すべての $n=0, 1, 2, \cdots$ で成り立つという条件を、数列の極限および単調性に着目して $x, y$ の不等式へと帰着させる。

解法1

(1)

点 $P(x, y)$ が移動 $f$ によって点 $P'(x', y')$ に移るとする。

$$ \begin{cases} x' = 3x+y \\ y' = -2x \end{cases} $$

これを $x, y$ について解くと、第2式より $x = -\frac{1}{2}y'$。これを第1式に代入して、

$$ x' = 3\left(-\frac{1}{2}y'\right) + y \implies y = x' + \frac{3}{2}y' $$

点 $P(x, y)$ は直線 $l_n : a_n x + b_n y = 1$ 上にあるので、求めた $x, y$ を代入する。

$$ a_n\left(-\frac{1}{2}y'\right) + b_n\left(x' + \frac{3}{2}y'\right) = 1 $$

整理すると、

$$ b_n x' + \left(-\frac{1}{2}a_n + \frac{3}{2}b_n\right)y' = 1 $$

点 $P'$ が描く直線が $l_{n+1} : a_{n+1} x + b_{n+1} y = 1$ であるから、各係数を比較して、

$$ a_{n+1} = b_n $$

$$ b_{n+1} = -\frac{1}{2}a_n + \frac{3}{2}b_n $$

(2)

(1)で求めた漸化式より $b_n = a_{n+1}$ であるから、これを $b_{n+1}$ の式に代入して、

$$ a_{n+2} = -\frac{1}{2}a_n + \frac{3}{2}a_{n+1} $$

$$ a_{n+2} - \frac{3}{2}a_{n+1} + \frac{1}{2}a_n = 0 $$

この隣接3項間漸化式の特性方程式 $t^2 - \frac{3}{2}t + \frac{1}{2} = 0$ を解くと、$t=1, \frac{1}{2}$ となる。したがって、漸化式は以下の2通りに変形できる。

$$ a_{n+2} - a_{n+1} = \frac{1}{2}(a_{n+1} - a_n) $$

$$ a_{n+2} - \frac{1}{2}a_{n+1} = a_{n+1} - \frac{1}{2}a_n $$

$l_0$ の方程式は $3x+2y=1$ であるから、$a_0=3, b_0=2$。 また、(1)より $a_1 = b_0 = 2$ である。

数列 $\{a_{n+1} - a_n\}$ は初項 $a_1 - a_0 = -1$、公比 $\frac{1}{2}$ の等比数列より、

$$ a_{n+1} - a_n = -\left(\frac{1}{2}\right)^n $$

数列 $\left\{a_{n+1} - \frac{1}{2}a_n\right\}$ は初項 $a_1 - \frac{1}{2}a_0 = \frac{1}{2}$、公比 $1$ の等比数列より、

$$ a_{n+1} - \frac{1}{2}a_n = \frac{1}{2} $$

上式から下式を引くことで $a_{n+1}$ を消去し、

$$ -\frac{1}{2}a_n = -\left(\frac{1}{2}\right)^n - \frac{1}{2} $$

$$ a_n = 2\left(\frac{1}{2}\right)^n + 1 $$

また、$b_n = a_{n+1}$ より、

$$ b_n = 2\left(\frac{1}{2}\right)^{n+1} + 1 = \left(\frac{1}{2}\right)^n + 1 $$

不等式 $a_n x + b_n y > 1$ に $a_n, b_n$ を代入する。

$$ \left\{2\left(\frac{1}{2}\right)^n + 1\right\}x + \left\{\left(\frac{1}{2}\right)^n + 1\right\}y > 1 $$

展開して整理すると、

$$ (x+y-1) + (2x+y)\left(\frac{1}{2}\right)^n > 0 $$

ここで、$X = x+y-1, Y = 2x+y$ とおくと、条件は「すべての $n = 0, 1, 2, \cdots$ に対して $X + Y\left(\frac{1}{2}\right)^n > 0$ が成り立つこと」となる。 $n \to \infty$ のとき $\left(\frac{1}{2}\right)^n \to 0$ となるため、この不等式が常に成り立つための必要条件は $X \ge 0$ である。

(i)

$X > 0$ のとき $Y \ge 0$ であれば、常に $X + Y\left(\frac{1}{2}\right)^n \ge X > 0$ となり成立する。 $Y < 0$ であれば、$Y\left(\frac{1}{2}\right)^n$ は負の値をとりながら $0$ に近づくため、$X + Y\left(\frac{1}{2}\right)^n$ は $n$ の増加とともに単調に増加する。したがって、$n=0$ のときが最小であり、このとき正であればすべての $n$ について正となる。すなわち $X + Y > 0$ であればよい。 以上より、$X > 0$ のときは $X + Y > 0$ が条件となる($Y \ge 0$ の場合も $X+Y > 0$ に含まれる)。

(ii)

$X = 0$ のとき 不等式は $Y\left(\frac{1}{2}\right)^n > 0$ となり、これがすべての $n$ で成り立つための条件は $Y > 0$ である。

(i)と(ii)をまとめると、求める条件は

$$ X \ge 0 \quad \text{かつ} \quad X+Y > 0 $$

$x, y$ の式に戻すと、

$$ x+y-1 \ge 0 \quad \text{かつ} \quad (x+y-1) + (2x+y) > 0 $$

$$ x+y \ge 1 \quad \text{かつ} \quad 3x+2y > 1 $$

これが求める領域の不等式である。図示する領域の境界は、直線 $x+y=1$ と直線 $3x+2y=1$ である。 連立方程式を解くと、これら2直線の交点は $(-1, 2)$ である。

解説

変換による軌跡を求める(1)は、軌跡上の点の座標を変換前の座標で表して元の方程式に代入する定石通りに処理できる。 (2)のポイントは、一般項を求めた後に現れる「すべての自然数 $n$ について不等式が成り立つ条件」の処理である。極限をとることで必要条件を絞り込み、単調性を利用して十分性を確認する論理展開が重要となる。境界の含み方(一部の直線は含み、一部は含まない、および交点の扱い)には特に注意が必要である。

答え

(1)

$$ a_{n+1} = b_n, \quad b_{n+1} = -\frac{1}{2}a_n + \frac{3}{2}b_n $$

(2)

求める点の範囲は、連立不等式

$$ \begin{cases} x+y \ge 1 \\ 3x+2y > 1 \end{cases} $$

が定める領域である。 図示すると以下のようになる。

(領域は直線 $x+y=1$ および直線 $3x+2y=1$ の上側の共通部分。境界線については、直線 $x+y=1$ のうち $x > -1$ を満たす部分は含み、直線 $3x+2y=1$ 上の点および2直線の交点 $(-1, 2)$ は含まない。)

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