北海道大学 1962年 文系 第2問 解説

方針・初手
- (1)は、「すべての $x$ に対して不等式が成り立つ条件(絶対不等式)」を考える。二次関数であることに注意し、グラフが上に凸であり、$x$ 軸(または指定された直線)と交わらない、あるいは接する条件を判別式を用いて立式する。
- (2)は、2つの二次関数をそれぞれ平方完成して頂点の座標を求め、平行移動後の座標と対称移動の条件を立式する。最後に(1)で求めた条件を満たすかどうかの確認を行う。
解法1
(1)
(イ) は二次関数であるから、$a \neq 0$ である。 「(イ) の値が $x$ のどんな値に対しても $3$ より大きくない」とは、すべての実数 $x$ に対して次の不等式が成り立つことである。
$$ ax^2 + 4x + 3a \le 3 $$
$$ ax^2 + 4x + 3a - 3 \le 0 $$
これがすべての実数 $x$ について成り立つための条件は、(イ)のグラフが上に凸であり、かつ、放物線 $y = ax^2 + 4x + 3a - 3$ が $x$ 軸と接するか $x$ 軸より下にあることである。 したがって、$x^2$ の係数について
$$ a < 0 $$
であり、かつ、二次方程式 $ax^2 + 4x + 3a - 3 = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D \le 0$ となることである。
$$ \frac{D}{4} = 2^2 - a(3a - 3) \le 0 $$
$$ 4 - 3a^2 + 3a \le 0 $$
$$ 3a^2 - 3a - 4 \ge 0 $$
方程式 $3a^2 - 3a - 4 = 0$ の解は $a = \frac{3 \pm \sqrt{(-3)^2 - 4 \cdot 3 \cdot (-4)}}{2 \cdot 3} = \frac{3 \pm \sqrt{57}}{6}$ であるから、不等式の解は
$$ a \le \frac{3 - \sqrt{57}}{6}, \quad \frac{3 + \sqrt{57}}{6} \le a $$
$a < 0$ との共通範囲を求める。$7 < \sqrt{57} < 8$ であるから $3 - \sqrt{57} < 0$ であり、$\frac{3 - \sqrt{57}}{6} < 0$ となる。 したがって、求める $a$ の範囲は
$$ a \le \frac{3 - \sqrt{57}}{6} $$
(2)
(イ) と (ロ) の式をそれぞれ平方完成し、頂点の座標を求める。 (イ) について
$$ \begin{aligned} y &= a\left(x^2 + \frac{4}{a}x\right) + 3a \\ &= a\left(x + \frac{2}{a}\right)^2 - a\left(\frac{2}{a}\right)^2 + 3a \\ &= a\left(x + \frac{2}{a}\right)^2 - \frac{4}{a} + 3a \end{aligned} $$
よって、(イ) の頂点の座標は $\left(-\frac{2}{a}, 3a - \frac{4}{a}\right)$ である。 このグラフを $x$ 軸に負の向きに $1$ だけ平行移動したグラフの頂点の座標は
$$ \left(-\frac{2}{a} - 1, 3a - \frac{4}{a}\right) $$
(ロ) について
$$ \begin{aligned} y &= x^2 + 2(b + 2)x + b^2 + 3b \\ &= \{x + (b + 2)\}^2 - (b + 2)^2 + b^2 + 3b \\ &= (x + b + 2)^2 - (b^2 + 4b + 4) + b^2 + 3b \\ &= (x + b + 2)^2 - b - 4 \end{aligned} $$
よって、(ロ) の頂点の座標は $\left(-(b + 2), -b - 4\right)$ である。
これら2つの頂点が $x$ 軸に関して対称であるとき、$x$ 座標は等しく、$y$ 座標は符号が逆になるので、次の連立方程式が成り立つ。
$$ \begin{cases} -\frac{2}{a} - 1 = -(b + 2) \\ \left(3a - \frac{4}{a}\right) + (-b - 4) = 0 \end{cases} $$
第1式より
$$ b = \frac{2}{a} - 1 $$
これを第2式に代入する。
$$ 3a - \frac{4}{a} - \left(\frac{2}{a} - 1\right) - 4 = 0 $$
$$ 3a - \frac{6}{a} - 3 = 0 $$
両辺に $\frac{a}{3}$ を掛けて整理する。
$$ a^2 - a - 2 = 0 $$
$$ (a - 2)(a + 1) = 0 $$
したがって、$a = 2, -1$ を得る。 ここで、(1) の条件 $a \le \frac{3 - \sqrt{57}}{6}$ を満たすか確認する。 $a = 2$ は正であるため不適である。 $a = -1$ のとき、$-1 = \frac{-6}{6}$ であり、$\sqrt{57} < \sqrt{81} = 9$ より $3 - \sqrt{57} > 3 - 9 = -6$ であるから、$\frac{3 - \sqrt{57}}{6} > \frac{-6}{6} = -1$ となり、条件を満たす。 $a = -1$ を $b = \frac{2}{a} - 1$ に代入して
$$ b = \frac{2}{-1} - 1 = -3 $$
解説
- (1) は絶対不等式の典型問題である。問題文に「二次関数」と明記されているため、$x^2$ の係数 $a$ が $0$ になるケースを考慮する必要はない。すべての実数で負(または $0$ 以下)となる条件は「上に凸かつ判別式 $D \le 0$」である。
- (2) はグラフの移動と対称性に関する基本的な計算問題である。「$x$ 軸に関して対称」である点は、$x$ 座標が等しく、$y$ 座標の符号が反転するという性質を用いる。最後に(1)で求めた条件との照らし合わせを忘れないことが重要である。平方根を含む値との大小比較は慎重に行いたい。
答え
(1) $a \le \frac{3 - \sqrt{57}}{6}$
(2) $a = -1, b = -3$
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