北海道大学 2005年 文系 第3問 解説

方針・初手
与えられた等式が「すべての自然数 $n$ に対して」成り立つことに着目する。 この条件の処理として、主に以下の2つのアプローチが考えられる。
- $f(k)$ を展開して $\Sigma$ 計算を行い、両辺を $n$ の式として整理して恒等式として扱う方法。
- 「すべての自然数 $n$ で成り立つ」性質を利用し、$n=1, 2$ のような具体的な小さな値を代入して $f(x)$ の必要条件を導き、その後に十分性を確認する方法。
どちらの方針でも容易に解くことができる。
解法1
与えられた等式の左辺の $\Sigma$ を計算する。$f(k) = k^2 + ak + b$ より、
$$ \begin{aligned} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n f(k) &= \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n (k^2 + ak + b) \\ &= \frac{1}{n} \left\{ \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) + \frac{a}{2}n(n+1) + bn \right\} \\ &= \frac{1}{6}(n+1)(2n+1) + \frac{a}{2}(n+1) + b \end{aligned} $$
となる。一方、右辺は、
$$ \frac{1}{3} f(n) = \frac{1}{3} (n^2 + an + b) $$
である。これらがすべての自然数 $n$ について等しいから、等式
$$ \frac{1}{6}(n+1)(2n+1) + \frac{a}{2}(n+1) + b = \frac{1}{3} (n^2 + an + b) $$
が $n$ についての恒等式となる。両辺に $6$ を掛けて分母を払うと、
$$ (n+1)(2n+1) + 3a(n+1) + 6b = 2(n^2 + an + b) $$
展開して整理する。
$$ 2n^2 + 3n + 1 + 3an + 3a + 6b = 2n^2 + 2an + 2b $$
$$ (a + 3)n + 3a + 4b + 1 = 0 $$
これがすべての自然数 $n$ に対して成り立つための必要十分条件は、各係数が $0$ になることであるから、
$$ \begin{cases} a + 3 = 0 \\ 3a + 4b + 1 = 0 \end{cases} $$
これを解くと、$a = -3$。第2式に代入して、$-9 + 4b + 1 = 0$ より $b = 2$ となる。
したがって、求める整式は $f(x) = x^2 - 3x + 2$ である。
解法2
与えられた等式の両辺に $n$ を掛けると、すべての自然数 $n$ に対して
$$ \sum_{k=1}^n f(k) = \frac{n}{3} f(n) $$
が成り立つ。この式に $n=1$ を代入すると、
$$ f(1) = \frac{1}{3} f(1) $$
$$ \frac{2}{3} f(1) = 0 \quad \text{より} \quad f(1) = 0 $$
次に、$n=2$ を代入すると、
$$ f(1) + f(2) = \frac{2}{3} f(2) $$
$f(1) = 0$ であるから、
$$ f(2) = \frac{2}{3} f(2) \quad \text{より} \quad f(2) = 0 $$
$f(x)$ は $x^2$ の係数が $1$ の2次式であり、$f(1) = 0$ かつ $f(2) = 0$ を満たすから、因数定理より、
$$ f(x) = (x - 1)(x - 2) = x^2 - 3x + 2 $$
と一意に定まる。これが条件を満たす候補である。
逆に、この $f(x)$ が題意を満たすこと(十分性)を確認する。 $f(k) = k^2 - 3k + 2$ であるから、左辺を計算すると、
$$ \begin{aligned} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n (k^2 - 3k + 2) &= \frac{1}{n} \left\{ \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) - 3 \cdot \frac{1}{2}n(n+1) + 2n \right\} \\ &= \frac{(n+1)(2n+1) - 9(n+1) + 12}{6} \\ &= \frac{2n^2 + 3n + 1 - 9n - 9 + 12}{6} \\ &= \frac{2n^2 - 6n + 4}{6} \\ &= \frac{n^2 - 3n + 2}{3} \\ &= \frac{1}{3} f(n) \end{aligned} $$
となり、右辺と一致する。よって、すべての自然数 $n$ に対して与えられた等式が成り立つ。
以上より、求める整式は $f(x) = x^2 - 3x + 2$ である。
解説
「すべての自然数 $n$ に対して成り立つ等式」の扱い方を問う基本問題である。 解法1のようにそのまま $\Sigma$ の公式を用いて $n$ の恒等式に帰着させるのが最も直接的で、十分性の確認も同値変形の中で処理できるため堅実である。
一方で、解法2のように具体的な値($n=1, 2$)を代入して必要条件から関数の形を決定する手法も非常に強力である。ただし、この手法を用いた場合は、求めた $f(x)$ が本当にすべての $n$ に対して元の等式を満たすかどうかの「十分性の確認」を記述しなければ、論理の飛躍として減点対象になることに注意したい。
答え
$$ f(x) = x^2 - 3x + 2 $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











