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大阪大学 1978年 文系 第3問 解説

数学2/式と証明数学B/数列テーマ/整式の証明
大阪大学 1978年 文系 第3問 解説

方針・初手

条件式 $f(x+1) - 2f(x) + f(x-1) = 0$ は、任意の $x$ について成り立つ恒等式である。

この等式が意味するのは、「関数 $f(x)$ の2階差分が常に $0$ になる」ということである。整式の性質を利用して証明にアプローチする。具体的には、次の2つの方針が考えられる。

  1. 次数に注目する: 整式 $f(x)$ の次数を $n$ と仮定し、左辺の式を展開して最高次の項の係数を比較することで、次数 $n$ を絞り込む。
  2. 整数の値に注目する: $x$ に整数を代入し、数列の知識(等差数列)を利用して $x$ が整数のときの形を決定し、そこから「無限個の点で一致する整式は同一である」という性質を用いる。

解法1

$f(x)$ が定数関数のとき、$f(x) = c$ ($c$ は定数)と表せる。 これは $a=0$、$b=c$ としたときの $ax+b$ の形であるため、題意を満たす。

$f(x)$ が定数関数ではない、すなわち $n$ 次の整式($n \ge 1$)であるとし、その最高次の項を $c_n x^n$ ($c_n \neq 0$)とする。 与式の左辺における項 $(x+1)^k - 2x^k + (x-1)^k$ の展開について考える。 二項定理より、$(x+1)^k$ および $(x-1)^k$ は次のように展開できる。

$$ (x+1)^k = x^k + kx^{k-1} + \frac{k(k-1)}{2}x^{k-2} + \cdots $$

$$ (x-1)^k = x^k - kx^{k-1} + \frac{k(k-1)}{2}x^{k-2} + \cdots $$

これらを辺々足すと、奇数次の項が打ち消し合うため、次のようになる。

$$ (x+1)^k + (x-1)^k = 2x^k + k(k-1)x^{k-2} + \cdots $$

両辺から $2x^k$ を引くことで、次の式が得られる。

$$ (x+1)^k - 2x^k + (x-1)^k = k(k-1)x^{k-2} + \cdots $$

ここで、$n \ge 2$ と仮定する。 $f(x)$ の最高次の項が $c_n x^n$ であるから、$f(x+1) - 2f(x) + f(x-1)$ を展開した際の最高次の項は、上の結果に $k=n$ を代入し $c_n$ を掛けた $c_n n(n-1) x^{n-2}$ となる。

$c_n \neq 0$ かつ $n \ge 2$ であるため、この係数 $c_n n(n-1)$ は $0$ ではない。 すなわち、$f(x+1) - 2f(x) + f(x-1)$ は $n-2$ 次の整式となり、これが任意の $x$ に対して $0$ (零多項式)になることと矛盾する。

したがって、$n \ge 2$ という仮定は誤りであり、$n = 1$ でなければならない。 このとき $f(x)$ は1次の整式である。 定数関数の場合と合わせて、$f(x)$ は $ax+b$ の形で表されることが示された。

解法2

与えられた等式は任意の $x$ について成り立つため、$x$ に任意の整数 $k$ を代入しても成り立つ。

$$ f(k+1) - 2f(k) + f(k-1) = 0 $$

これを変形すると、次のようになる。

$$ f(k+1) - f(k) = f(k) - f(k-1) $$

この式は、数列 $\{f(k)\}$ の隣り合う項の差(階差)が常に一定であること、すなわち数列 $\{f(k)\}$ が等差数列であることを示している。 この等差数列の公差を $a$ とすると、第 $k$ 項は初項 $f(0)$ を用いて次のように表せる。

$$ f(k) = a k + f(0) $$

ここで $b = f(0)$ とおくと、すべての整数 $k$ に対して $f(k) = a k + b$ が成り立つ。

次に、新しい整式 $g(x)$ を次のように定義する。

$$ g(x) = f(x) - (ax+b) $$

$f(x)$ は整式であり、$ax+b$ も整式であるため、$g(x)$ も整式である。 先ほどの議論から、すべての整数 $k$ に対して $g(k) = 0$ が成り立つことがわかっている。

もし $g(x)$ が恒等的に $0$ ではない(零多項式ではない)と仮定し、その次数を $m$ ($m \ge 0$)とする。 代数学の基本定理により、$m$ 次方程式 $g(x) = 0$ が持つ実数解の個数は高々 $m$ 個である。 しかし、$g(x) = 0$ は無数に存在するすべての整数を解に持つため、これは矛盾である。

したがって、$g(x)$ は恒等的に $0$(零多項式)でなければならない。 ゆえに、任意の $x$ に対して $f(x) - (ax+b) = 0$、すなわち $f(x) = ax+b$ が成り立つことが示された。

解説

整式の恒等式に関する典型的な証明問題である。

解法1で用いた「次数の比較」は、未知の整式を決定する際の最も基本的なアプローチである。最高次の項だけを取り出して議論することで、記述量を減らしつつ論理的に次数を絞り込むことができる。

解法2は、離散的な値(整数)に限定して関数を数列とみなし、階差数列の知識を活用するエレガントな手法である。「方程式の解の個数はその次数を超えない」という因数定理(代数学の基本定理)からの帰結は、大学入試において「無限個の点で値が一致する2つの整式は、恒等的に等しい」という形で頻繁に用いられる重要な性質である。

答え

証明終了(解法1、解法2のいずれかの通り、$f(x)$ は $ax+b$ の形に表されることが示された)。

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