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北海道大学 2016年 文系 第1問 解説

数学2/微分法数学2/式と証明テーマ/接線・法線テーマ/整式の証明
北海道大学 2016年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 与えられた関数 $f(x)$ を微分し、$x=s$ における接線の方程式を基本公式に当てはめて求める。

(2) $P$ と $Q$ の接線が平行であることは、それぞれの接線の傾きである $f'(s)$ と $f'(t)$ が等しいことと同値である。$P$ と $Q$ は異なる点であるから $s \neq t$ であることに注意して関係式を導く。

(3) 線分 $PQ$ の中点の座標を $(x_m, y_m)$ とおく。(2)で求めた条件式を用いて $x_m, y_m$ を $a, b, c$ で表し、$y_m = f(x_m)$ が成り立つことを計算によって確認する。

解法1

(1)

$f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ を微分すると、

$$ f'(x) = 3x^2 + 2ax + b $$

となる。点 $P(s, f(s))$ における接線の傾きは $f'(s) = 3s^2 + 2as + b$ であるから、求める接線の方程式は、

$$ y - (s^3 + as^2 + bs + c) = (3s^2 + 2as + b)(x - s) $$

これを整理すると、

$$ \begin{aligned} y &= (3s^2 + 2as + b)x - s(3s^2 + 2as + b) + s^3 + as^2 + bs + c \\ &= (3s^2 + 2as + b)x - 3s^3 - 2as^2 - bs + s^3 + as^2 + bs + c \\ &= (3s^2 + 2as + b)x - 2s^3 - as^2 + c \end{aligned} $$

となる。

(2)

点 $P$ における接線と点 $Q(t, f(t))$ における接線が平行になるための条件は、それぞれの接線の傾きが等しいことである。すなわち、

$$ f'(s) = f'(t) $$

が成り立つ。これを計算すると、

$$ 3s^2 + 2as + b = 3t^2 + 2at + b $$

$$ 3(s^2 - t^2) + 2a(s - t) = 0 $$

$$ (s - t)\{3(s + t) + 2a\} = 0 $$

点 $P$ と $Q$ は曲線 $C$ 上の異なる2点であるから $s \neq t$ であり、$s - t \neq 0$ である。両辺を $s - t$ で割ると、

$$ 3(s + t) + 2a = 0 $$

を得る。

(3)

線分 $PQ$ の中点を $M(x_m, y_m)$ とおく。中点の座標はそれぞれ、

$$ x_m = \frac{s + t}{2} $$

$$ y_m = \frac{f(s) + f(t)}{2} $$

である。(2) の条件より $s + t = -\frac{2}{3}a$ であるから、中点の $x$ 座標は、

$$ x_m = \frac{1}{2}\left(-\frac{2}{3}a\right) = -\frac{a}{3} $$

となる。次に中点の $y$ 座標について、分子の $f(s) + f(t)$ を計算する。

$$ \begin{aligned} f(s) + f(t) &= (s^3 + as^2 + bs + c) + (t^3 + at^2 + bt + c) \\ &= (s^3 + t^3) + a(s^2 + t^2) + b(s + t) + 2c \end{aligned} $$

ここに対称式の変形を用い、$s + t = -\frac{2}{3}a$ を代入する。

$$ s^3 + t^3 = (s + t)^3 - 3st(s + t) = -\frac{8}{27}a^3 + 2ast $$

$$ a(s^2 + t^2) = a\{(s + t)^2 - 2st\} = a\left(\frac{4}{9}a^2 - 2st\right) = \frac{4}{9}a^3 - 2ast $$

$$ b(s + t) = -\frac{2}{3}ab $$

これらを足し合わせると $st$ の項が打ち消し合う。

$$ \begin{aligned} f(s) + f(t) &= \left(-\frac{8}{27}a^3 + 2ast\right) + \left(\frac{4}{9}a^3 - 2ast\right) - \frac{2}{3}ab + 2c \\ &= \frac{4}{27}a^3 - \frac{2}{3}ab + 2c \end{aligned} $$

したがって、中点の $y$ 座標 $y_m$ は、

$$ y_m = \frac{f(s) + f(t)}{2} = \frac{2}{27}a^3 - \frac{1}{3}ab + c $$

となる。一方で、$x_m = -\frac{a}{3}$ を $f(x)$ に代入すると、

$$ \begin{aligned} f(x_m) &= f\left(-\frac{a}{3}\right) \\ &= \left(-\frac{a}{3}\right)^3 + a\left(-\frac{a}{3}\right)^2 + b\left(-\frac{a}{3}\right) + c \\ &= -\frac{a^3}{27} + \frac{a^3}{9} - \frac{1}{3}ab + c \\ &= \frac{2}{27}a^3 - \frac{1}{3}ab + c \end{aligned} $$

以上より、$y_m = f(x_m)$ が成り立つため、線分 $PQ$ の中点は曲線 $C$ 上にあることが示された。

解説

3次関数のグラフに関する典型的な問題である。

(1)と(2)は接線の公式と条件をそのまま立式するだけで解決する。(2)では $s \neq t$ という前提を忘れないように記述することが重要である。

(3)は「3次関数の変曲点に関する性質」を背景とした問題である。一般に3次関数のグラフは、変曲点を中心として点対称な図形となる。本問で求めた $x_m = -a/3$ はまさに $f(x)$ の変曲点の $x$ 座標であり、$P, Q$ における接線が平行であるとき、2点 $P, Q$ は変曲点に関して対称な位置関係にある。 解答のように中点の座標を直接計算して代入しても $st$ の項が消去されるように作られているため、基本の対称式の変形を丁寧に行えば確実に証明できる。

答え

(1) $y = (3s^2 + 2as + b)x - 2s^3 - as^2 + c$

(2) $3(s + t) + 2a = 0$

(3) 線分 $PQ$ の中点は曲線 $C$ 上にある。

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