東北大学 1967年 理系 第5問 解説

方針・初手
与えられた条件から関数 $f(x)$ を決定しようとしても、条件式が1つ足りないため $f(x)$ は完全には定まらず、1つの文字(パラメータ)を含んだ式として表される。「$f(x)$ のえらび方に無関係な定数となる」という記述は、その残ったパラメータの値によらず $f'(p)$ の値が一定になる、すなわちパラメータについての恒等式として処理できることを意味している。
解法1としては $f(x)$ の一般形を文字で置いて条件を適用していく方法、解法2としては接線の傾きの条件($f'(x)$ の因数)からスタートして積分を用いる方法を示す。
解法1
条件(イ)より、$f(x)$ は4次の整式であるから、$a \neq 0$ なる定数 $a$ および定数 $b, c, d, e$ を用いて次のように表せる。
$$ f(x) = ax^4 + bx^3 + cx^2 + dx + e $$
これを微分すると以下のようになる。
$$ f'(x) = 4ax^3 + 3bx^2 + 2cx + d $$
条件(ロ)より、曲線 $y=f(x)$ は原点 $O(0, 0)$ を通るため、$f(0) = 0$ である。これより以下の式を得る。
$$ e = 0 $$
また、条件(ハ)より、点 $O$ における接線は $x$ 軸(すなわち直線 $y=0$)であるから、$f'(0) = 0$ である。これより以下の式を得る。
$$ d = 0 $$
次に、条件(ロ)より曲線 $y=f(x)$ は点 $A(1, \frac{1}{12})$ を通るため、$f(1) = \frac{1}{12}$ である。これと $d=0, e=0$ より以下の式が成り立つ。
$$ a + b + c = \frac{1}{12} $$
さらに、条件(ハ)より、点 $A$ における接線は $x$ 軸に平行であるから、$f'(1) = 0$ である。したがって以下の式が成り立つ。
$$ 4a + 3b + 2c = 0 $$
上の2式を連立させて、$b$ と $c$ を $a$ を用いて表す。$c = \frac{1}{12} - a - b$ を $4a + 3b + 2c = 0$ に代入すると、
$$ 4a + 3b + 2\left(\frac{1}{12} - a - b\right) = 0 $$
$$ 2a + b + \frac{1}{6} = 0 $$
よって $b$ は以下のようになる。
$$ b = -2a - \frac{1}{6} $$
これを $c = \frac{1}{12} - a - b$ に代入して $c$ を求める。
$$ c = \frac{1}{12} - a - \left(-2a - \frac{1}{6}\right) = a + \frac{1}{4} $$
したがって、$f(x)$ の導関数 $f'(x)$ は $a$ を用いて次のように表される。
$$ f'(x) = 4ax^3 + 3\left(-2a - \frac{1}{6}\right)x^2 + 2\left(a + \frac{1}{4}\right)x $$
点 $(p, f(p))$ における接線の傾きは $f'(p)$ であるから、$x = p$ を代入して $a$ について整理する。
$$ \begin{aligned} f'(p) &= 4ap^3 + \left(-6a - \frac{1}{2}\right)p^2 + \left(2a + \frac{1}{2}\right)p \\ &= 4ap^3 - 6ap^2 - \frac{1}{2}p^2 + 2ap + \frac{1}{2}p \\ &= 2a(2p^3 - 3p^2 + p) - \frac{1}{2}p^2 + \frac{1}{2}p \\ &= 2ap(2p^2 - 3p + 1) - \frac{1}{2}p(p - 1) \\ &= 2ap(2p - 1)(p - 1) - \frac{1}{2}p(p - 1) \end{aligned} $$
この値が「$f(x)$ のえらび方に無関係な定数」となるのは、任意の $a \neq 0$ について $f'(p)$ の値が一定になるときである。すなわち、$a$ の係数が $0$ になればよい。
$$ 2p(2p - 1)(p - 1) = 0 $$
問題の条件より $p \neq 0, 1$ であるから、これを満たす $p$ の値は以下のように定まる。
$$ 2p - 1 = 0 \iff p = \frac{1}{2} $$
解法2
条件(イ)より、$f(x)$ は4次の整式であるから、その導関数 $f'(x)$ は3次の整式である。
条件(ハ)より、$f'(0) = 0$ および $f'(1) = 0$ が成り立つため、因数定理より $f'(x)$ は $x$ と $x - 1$ を因数にもつ。したがって、$m \neq 0$ なる定数 $m$ および定数 $n$ を用いて、$f'(x)$ は次のように表せる。
$$ f'(x) = x(x - 1)(mx + n) = mx^3 + (n - m)x^2 - nx $$
これを積分して $f(x)$ を求める。積分定数を $C$ とすると、
$$ f(x) = \frac{m}{4}x^4 + \frac{n - m}{3}x^3 - \frac{n}{2}x^2 + C $$
条件(ロ)より曲線は原点を通るため $f(0) = 0$ であり、$C = 0$ となる。
さらに、条件(ロ)より $f(1) = \frac{1}{12}$ であるから、これを代入する。
$$ \frac{m}{4} + \frac{n - m}{3} - \frac{n}{2} = \frac{1}{12} $$
両辺に $12$ を掛けて整理する。
$$ 3m + 4(n - m) - 6n = 1 $$
$$ -m - 2n = 1 $$
これより、$m = -2n - 1$ と表せる。これを $f'(x)$ の式に代入する。
$$ \begin{aligned} f'(x) &= x(x - 1)\{(-2n - 1)x + n\} \\ &= x(x - 1)\{-n(2x - 1) - x\} \end{aligned} $$
点 $(p, f(p))$ における接線の傾き $f'(p)$ は、上の式に $x = p$ を代入したものである。
$$ f'(p) = -np(p - 1)(2p - 1) - p^2(p - 1) $$
この値が $f(x)$ のえらび方(すなわちパラメータ $n$ の値)によらず一定の定数となる条件は、$n$ の係数が $0$ になることである。
$$ -p(p - 1)(2p - 1) = 0 $$
条件より $p \neq 0, 1$ であるから、これを解いて以下を得る。
$$ p = \frac{1}{2} $$
解説
与えられた条件から関数を特定しようとすると未知数が1つ残ることに気づけるかが鍵となる問題である。残った未知数について恒等式を立てるという考え方は、軌跡の問題や定点通過の問題でも頻出の重要なアプローチである。
解法1のように一般形から係数比較をする方法は確実であるが、式がやや煩雑になりやすい。一方、解法2のように導関数の因数からスタートし、積分を行って条件を処理していく方法は、計算の負担を軽減できるため実戦的である。「接線の傾き」や「極値」に関する条件が多く与えられている場合は、導関数から関数を決定していく方針を優先して検討するとよい。
答え
$$ p = \frac{1}{2} $$
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