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北海道大学 1961年 理系 第6問 解説

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北海道大学 1961年 理系 第6問 解説

方針・初手

ポンプがはきだす水の「割合(速度)」が与えられているため、これを時間で定積分することで、はきだされた水の総量(体積)を求めることができます。

(1) は直接積分を計算するだけです。(2) では、半球状の容器に水が深さ $h$ まで入ったときの体積を積分によって求め、それをポンプがはきだした水の総量と等値することで時間を逆算します。(3) では、水面の高さ $h$ が時間 $t$ の関数であることを利用し、体積 $V$ を $t$ で表した式と $h$ で表した式の両辺を $t$ で微分することで、水面の上昇速度 $\frac{dh}{dt}$ を求めます。

解法1

(1)

時刻 $t$ においてポンプが水をはきだす割合は $3\pi t^2 \text{ m}^3\text{/時}$ である。動き始めてから 4 時間後までにはきだす水の総量 $V_4$ は、これを $t=0$ から $t=4$ まで積分して求められる。

$$ V_4 = \int_0^4 3\pi t^2 dt $$

$$ V_4 = \pi \left[ t^3 \right]_0^4 $$

$$ V_4 = \pi \left( 4^3 - 0 \right) = 64\pi $$

よって、動き始めてから 4 時間後までにはきだす水の量は $64\pi \text{ m}^3$ である。

(2)

内のりの直径が $8\text{ m}$ であるため、半球状の容器の半径は $4\text{ m}$ である。 容器の最下点(底)を原点とし、鉛直上向きに $x$ 軸をとる。底から高さ $x$ の位置での水平な切り口は円となる。半球の中心の座標は $x = 4$ にあるため、中心から高さ $x$ までの鉛直方向の距離は $|4 - x|$ である。 三平方の定理より、この切り口の円の半径を $r$ とすると、

$$ r^2 + (4 - x)^2 = 4^2 $$

$$ r^2 = 16 - (16 - 8x + x^2) = 8x - x^2 $$

したがって、深さ $h$ のときの水の体積 $V(h)$ は、切り口の面積 $\pi r^2$ を $x=0$ から $x=h$ まで積分して求められる。

$$ V(h) = \int_0^h \pi (8x - x^2) dx $$

$$ V(h) = \pi \left[ 4x^2 - \frac{1}{3}x^3 \right]_0^h $$

$$ V(h) = \pi \left( 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 \right) $$

一方、ポンプが動き始めてから $t$ 時間後までにはきだす水の総量 $W(t)$ は、

$$ W(t) = \int_0^t 3\pi u^2 du = \pi t^3 $$

深さが $h$ になるまでに要する時間を $T$ とすると、$W(T) = V(h)$ が成り立つので、

$$ \pi T^3 = \pi \left( 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 \right) $$

$$ T^3 = 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 $$

$$ T = \sqrt[3]{4h^2 - \frac{1}{3}h^3} $$

したがって、要する時間は $\sqrt[3]{4h^2 - \frac{1}{3}h^3}$ 時間である。

(3)

時間 $t$ における水の体積を $V$ とする。(2) より $V = \pi t^3$ であり、同時に $V = \pi \left( 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 \right)$ でもある。 これら両辺を時刻 $t$ で微分する。水面の高さ $h$ も $t$ の関数であることに注意し、合成関数の微分法を用いる。

$$ \frac{dV}{dt} = 3\pi t^2 $$

$$ \frac{dV}{dt} = \frac{d}{dh} \left\{ \pi \left( 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 \right) \right\} \cdot \frac{dh}{dt} $$

$$ \frac{dV}{dt} = \pi (8h - h^2) \frac{dh}{dt} $$

これらが等しいので、

$$ 3\pi t^2 = \pi (8h - h^2) \frac{dh}{dt} $$

$$ \frac{dh}{dt} = \frac{3t^2}{8h - h^2} $$

次に、$t = 3$ のときの $h$ を求める。(2) の関係式に $t = 3$ を代入する。

$$ 3^3 = 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 $$

$$ 27 = 4h^2 - \frac{1}{3}h^3 $$

両辺に $3$ を掛けて整理する。

$$ h^3 - 12h^2 + 81 = 0 $$

左辺に $h = 3$ を代入すると $27 - 108 + 81 = 0$ となり成り立つため、因数定理より $h - 3$ を因数にもつ。

$$ (h - 3)(h^2 - 9h - 27) = 0 $$

半球の半径は $4\text{ m}$ であるから、$h$ の取りうる範囲は $0 \leqq h \leqq 4$ である。 方程式 $h^2 - 9h - 27 = 0$ の解は $h = \frac{9 \pm 3\sqrt{21}}{2}$ である。 $4 < \sqrt{21} < 5$ であるため、$\frac{9 + 3\sqrt{21}}{2} > \frac{9 + 12}{2} > 4$、かつ $\frac{9 - 3\sqrt{21}}{2} < \frac{9 - 12}{2} < 0$ となるので、この範囲に適する解はない。 したがって、$0 \leqq h \leqq 4$ を満たす解は $h = 3$ のみである。

$t = 3$、$h = 3$ を水面の上昇速度 $\frac{dh}{dt}$ の式に代入する。

$$ \frac{dh}{dt} = \frac{3 \cdot 3^2}{8 \cdot 3 - 3^2} $$

$$ \frac{dh}{dt} = \frac{27}{24 - 9} $$

$$ \frac{dh}{dt} = \frac{27}{15} = \frac{9}{5} $$

よって、求める水面の上昇速度は $\frac{9}{5} \text{ m/時}$ である。

解説

体積の変化率(速度)を与えられた積分を用いて総量に変換する微積分の典型的な応用問題です。 (2)の半球状の容器の体積を積分で求める過程は、断面積を立式する際の図形的な考察力(三平方の定理の活用)が問われます。円の中心と切断面の位置関係を間違えないように注意が必要です。 (3)は、水面の上昇速度 $\frac{dh}{dt}$ を求める問題であり、数学IIIの「変化率」の分野における頻出テーマです。体積 $V$ を媒介変数として $t$ と $h$ を結びつけ、両辺を $t$ で微分する手法(連鎖律)を正確に実行できるかがポイントになります。また、3次方程式を解いた際に、図形的な定義域から適解を絞り込む過程も省略せずに示す必要があります。

答え

(1) $64\pi \text{ m}^3$

(2) $\sqrt[3]{4h^2 - \frac{1}{3}h^3}$ 時間

(3) $\frac{9}{5} \text{ m/時}$

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