九州大学 1961年 理系 第5問 解説

方針・初手
まずは2つの放物線の交点の $x$ 座標を求め、積分区間と上下関係を決定する。面積の計算においては、定積分のいわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を用いると計算量を減らすことができる。後半は求まった面積 $S$ を $k$ の関数とみて、微分法を利用して最小値を求める。
解法1
(1)
2つの放物線の方程式から $y$ を消去すると、
$$x^2 = k(x^2 - 1)$$
整理すると、
$$(k-1)x^2 = k$$
$k > 1$ より $k - 1 > 0$ であるから、
$$x^2 = \frac{k}{k-1}$$
よって、交点の $x$ 座標は $x = \pm \sqrt{\frac{k}{k-1}}$ である。 ここで、$\alpha = -\sqrt{\frac{k}{k-1}}$、$\beta = \sqrt{\frac{k}{k-1}}$ とおく。
$\alpha \leqq x \leqq \beta$ の範囲において、
$$x^2 - k(x^2 - 1) = -(k-1)x^2 + k = -(k-1)(x - \alpha)(x - \beta) \geqq 0$$
となるため、この区間では放物線 $y = x^2$ の方が $y = k(x^2 - 1)$ よりも上側にある。 したがって、求める面積 $S$ は、
$$\begin{aligned} S &= \int_{\alpha}^{\beta} \left\{ x^2 - k(x^2 - 1) \right\} dx \\ &= \int_{\alpha}^{\beta} -(k-1)(x - \alpha)(x - \beta) dx \\ &= (k-1) \cdot \frac{1}{6} (\beta - \alpha)^3 \end{aligned}$$
ここで、$\beta - \alpha = 2\sqrt{\frac{k}{k-1}}$ であるから、
$$\begin{aligned} S &= \frac{k-1}{6} \left( 2\sqrt{\frac{k}{k-1}} \right)^3 \\ &= \frac{k-1}{6} \cdot 8 \cdot \frac{k\sqrt{k}}{(k-1)\sqrt{k-1}} \\ &= \frac{4}{3} \frac{k\sqrt{k}}{\sqrt{k-1}} \end{aligned}$$
(2)
(1) の結果より、
$$S = \frac{4}{3} k \sqrt{\frac{k}{k-1}}$$
$S > 0$ であるから、$S$ が最小となるとき $S^2$ も最小となる。 そこで、$f(k) = S^2 = \frac{16}{9} \frac{k^3}{k-1}$ とおき、$k > 1$ における $f(k)$ の増減を調べる。
$$\begin{aligned} f'(k) &= \frac{16}{9} \cdot \frac{(k^3)'(k-1) - k^3(k-1)'}{(k-1)^2} \\ &= \frac{16}{9} \cdot \frac{3k^2(k-1) - k^3}{(k-1)^2} \\ &= \frac{16}{9} \cdot \frac{k^2(2k-3)}{(k-1)^2} \end{aligned}$$
$k > 1$ において、$1 < k < \frac{3}{2}$ のとき $f'(k) < 0$、$k = \frac{3}{2}$ のとき $f'(k) = 0$、$k > \frac{3}{2}$ のとき $f'(k) > 0$ となる。 したがって、$f(k)$ は $k = \frac{3}{2}$ で極小かつ最小となる。 $f(k)$ が最小のとき $S$ も最小となるため、$S$ は $k = \frac{3}{2}$ のとき最小である。
このときの $f(k)$ の値は、
$$f\left(\frac{3}{2}\right) = \frac{16}{9} \cdot \frac{\left(\frac{3}{2}\right)^3}{\frac{3}{2} - 1} = \frac{16}{9} \cdot \frac{\frac{27}{8}}{\frac{1}{2}} = 12$$
$S > 0$ より、最小値は $S = \sqrt{12} = 2\sqrt{3}$ である。
解法2
(2) の別解:対数微分法を用いる方法
$S(k) = \frac{4}{3} \frac{k^{\frac{3}{2}}}{(k-1)^{\frac{1}{2}}}$ とする。 $k > 1$ において $S(k) > 0$ であるから、両辺の自然対数をとると、
$$\log S(k) = \log \frac{4}{3} + \frac{3}{2} \log k - \frac{1}{2} \log (k-1)$$
両辺を $k$ で微分すると、
$$\begin{aligned} \frac{S'(k)}{S(k)} &= \frac{3}{2k} - \frac{1}{2(k-1)} \\ &= \frac{3(k-1) - k}{2k(k-1)} \\ &= \frac{2k-3}{2k(k-1)} \end{aligned}$$
$k > 1$ において $2k(k-1) > 0$ かつ $S(k) > 0$ であるから、$S'(k)$ の符号は $2k-3$ の符号と一致する。 したがって、$1 < k < \frac{3}{2}$ のとき $S'(k) < 0$、$k = \frac{3}{2}$ のとき $S'(k) = 0$、$k > \frac{3}{2}$ のとき $S'(k) > 0$ となり、$S(k)$ は $k = \frac{3}{2}$ のとき極小かつ最小となる。
そのときの最小値は、
$$\begin{aligned} S\left(\frac{3}{2}\right) &= \frac{4}{3} \cdot \frac{\frac{3}{2}\sqrt{\frac{3}{2}}}{\sqrt{\frac{3}{2}-1}} \\ &= \frac{4}{3} \cdot \frac{\frac{3\sqrt{3}}{2\sqrt{2}}}{\frac{1}{\sqrt{2}}} \\ &= 2\sqrt{3} \end{aligned}$$
解説
2つの放物線で囲まれた面積を求める典型問題である。交点の $x$ 座標が複雑な式になるため、直接積分計算を行うと計算ミスを誘発しやすい。$\alpha, \beta$ と置いたまま定積分のいわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を利用するテクニックは必須と言える。
後半の最小値を求める部分では、根号を含む関数の微分が必要になる。そのまま商の微分公式を用いてもよいが、計算を楽にする工夫として、「2乗して根号を外した関数を考える(解法1)」や「対数微分法を利用する(解法2)」といった手法を知っておくと、より速く正確に処理を進めることができる。
答え
(1)
$$S = \frac{4}{3} \frac{k\sqrt{k}}{\sqrt{k-1}}$$
(2)
$k = \frac{3}{2}$ のとき、最小値 $2\sqrt{3}$
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