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京都大学 1989年 理系 第6問 解説

数学1/立体図形数学2/積分法数学2/微分法テーマ/面積・体積テーマ/速度・距離
京都大学 1989年 理系 第6問 解説

方針・初手

時刻 $t$ におけるタンク内の水の体積 $V$ と水位 $y$ の関係に着目し、微分方程式を立てて解く問題である。 注水速度(体積 $V$ の増加速度 $\frac{dV}{dt}$)は与えられているため、これと「水面が上昇する速度 $\frac{dy}{dt}$」との関係式を作る。微小な時間における体積の増加量は、「水面の断面積 $S(y)$」と「水位の上昇量」の積で表されるため、$\frac{dV}{dt} = S(y) \frac{dy}{dt}$ が成り立つ。 「円錐の底面が下側にある」という形状から水面の半径を $y$ を用いて表し、$S(y)$ を立式しよう。

解法1

時刻 $t$ (単位:時間)における水位を $y$ (m)、水の体積を $V$ とし、円錐の底面の半径を $R$ (m) とする。 タンクは高さ $10$ m の円錐であり、底面が下側(頂点が上側)にあるため、水位が $y$ のときの水面は、円錐の頂点から深さ $10-y$ の位置にある。 このときの水面の半径 $r$ (m) は、円錐の相似比を用いて

$$ r : R = (10-y) : 10 $$

$$ r = \frac{R}{10}(10-y) $$

と表される。したがって、水位が $y$ のときの水面の面積 $S(y)$ は

$$ S(y) = \pi r^2 = \frac{\pi R^2}{100}(10-y)^2 \quad (\text{m}^2) $$

である。 一方、注水速度は $(10-y)$ L/分である。$1 \text{ L} = 10^{-3} \text{ m}^3$ であり、1時間は60分であるから、単位を $\text{m}^3$/時に換算すると、時刻 $t$ における体積の増加速度 $\frac{dV}{dt}$ は

$$ \frac{dV}{dt} = (10-y) \times 10^{-3} \times 60 = \frac{3}{50}(10-y) \quad (\text{m}^3/\text{時}) $$

となる。 また、微小時間における体積変化について $\frac{dV}{dt} = S(y) \frac{dy}{dt}$ が成り立つため、

$$ \frac{\pi R^2}{100}(10-y)^2 \frac{dy}{dt} = \frac{3}{50}(10-y) $$

$y < 10$ より $10-y > 0$ であるから、両辺を $10-y$ で割って整理すると

$$ (10-y) \frac{dy}{dt} = \frac{6}{\pi R^2} $$

右辺の $\frac{6}{\pi R^2}$ は定数であるため、これを $k$ ($k > 0$)とおく。

$$ (10-y) \frac{dy}{dt} = k $$

両辺を $t$ について積分すると

$$ \int (10-y) dy = \int k dt $$

$$ 10y - \frac{1}{2}y^2 = kt + C \quad (C \text{ は積分定数}) \quad \cdots (1) $$

初期条件として、タンクが空のときに注水を始めたため、$t=0$ のとき $y=0$ である。(1) に代入して

$$ 0 = k \cdot 0 + C \implies C = 0 $$

次に、「9時間後に水位が 2m になった」という条件から、$t=9$ のとき $y=2$ である。これを (1) に代入すると

$$ 10 \cdot 2 - \frac{1}{2} \cdot 2^2 = k \cdot 9 $$

$$ 20 - 2 = 9k $$

$$ 18 = 9k \implies k = 2 $$

したがって、水位 $y$ と時刻 $t$ の関係式は

$$ 10y - \frac{1}{2}y^2 = 2t $$

となる。 タンクが水で一杯になるのは水位が $10$ m(すなわち $y=10$)のときである。このときの時刻 $t$ を求めると

$$ 2t = 10 \cdot 10 - \frac{1}{2} \cdot 10^2 $$

$$ 2t = 100 - 50 $$

$$ t = 25 $$

よって、注水開始から 25時間後にタンクが一杯になる。 現在、注水開始から9時間が経過している(水位が 2m の時点)ため、一杯になるのはあと

$$ 25 - 9 = 16 \text{ (時間後)} $$

である。

解説

物理における「連続の式」の考え方を応用した、微分方程式(変数分離形)の文章題である。 一見すると注水速度の単位(L/分)や時間の単位(時間後)が混在しており、L を $\text{m}^3$ に換算するなどの煩雑な処理が必要に見える。しかし実際には、「水面の面積」に含まれる円周率や半径の2乗、「単位換算」から出てくる係数などは、すべてまとめて1つの定数 $k$ として処理してしまうことが可能である。 本問の最大の山場は、「水面が上昇する速度は、注水速度に比例し、水面の面積に反比例する」という関係から $\frac{dy}{dt} \propto \frac{10-y}{(10-y)^2} = \frac{1}{10-y}$ を導くことである。これができれば、あとは数学IIIの基本的な積分計算に帰着する。円錐がどちらを向いているか(底面が下)の読み落としにだけ注意しよう。

答え

$$ 16 \text{ 時間後} $$

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