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北海道大学 1963年 理系 第1問 解説

数学2/図形と式数学1/図形計量テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
北海道大学 1963年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) は、2つの円の方程式を座標平面上に設定し、交点の座標を求めることから始める。共通部分の面積は、共通弦によって2つの円から切り取られる弓形(扇形から三角形を引いたもの)の面積の和として計算する。

(2) は、正三角形の頂点を座標平面上に設定し、直線 $DF$ と直線 $GE$ の方程式を立てて交点 $P$ の軌跡を求める方針が確実である。パラメータ $t$ を消去して $x, y$ の関係式を導出する。また、幾何的な回転移動を利用することで、計算を大幅に短縮して円を特定することもできる。

解法1

(1) 点 $A$ を原点 $(0,0)$ とし、直線 $AB$ を $x$ 軸、直線 $AC$ を $y$ 軸とする座標系を設定する。 $AB = \sqrt{3}$、$AC = 1$ より、各頂点の座標は $A(0,0)$、$B(\sqrt{3}, 0)$、$C(0,1)$ である。

$AB$ を直径とする円 $C_1$ は、中心が $\left(\frac{\sqrt{3}}{2}, 0\right)$、半径が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ であるから、その方程式は

$$ \left(x - \frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 + y^2 = \frac{3}{4} \iff x^2 - \sqrt{3}x + y^2 = 0 $$

$AC$ を直径とする円 $C_2$ は、中心が $\left(0, \frac{1}{2}\right)$、半径が $\frac{1}{2}$ であるから、その方程式は

$$ x^2 + \left(y - \frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4} \iff x^2 + y^2 - y = 0 $$

これら2円の交点を求める。2式の辺々を引き算すると、$-\sqrt{3}x + y = 0 \iff y = \sqrt{3}x$ を得る。これを $C_2$ の方程式に代入すると、

$$ x^2 + (\sqrt{3}x)^2 - \sqrt{3}x = 0 $$

$$ 4x^2 - \sqrt{3}x = 0 $$

$$ x(4x - \sqrt{3}) = 0 $$

したがって、$x = 0$ または $x = \frac{\sqrt{3}}{4}$ となる。 $x = 0$ のとき $y = 0$ であり、これは点 $A$ である。 $x = \frac{\sqrt{3}}{4}$ のとき $y = \frac{3}{4}$ となり、このもう一つの交点を $H\left(\frac{\sqrt{3}}{4}, \frac{3}{4}\right)$ とする。

線分 $AH$ の長さは、

$$ AH = \sqrt{\left(\frac{\sqrt{3}}{4}\right)^2 + \left(\frac{3}{4}\right)^2} = \sqrt{\frac{3}{16} + \frac{9}{16}} = \frac{\sqrt{12}}{4} = \frac{\sqrt{3}}{2} $$

求める共通部分の面積は、弦 $AH$ によってそれぞれの円から切り取られる2つの弓形の面積の和である。

円 $C_1$ について、半径は $r_1 = \frac{\sqrt{3}}{2}$ であり、弦の長さ $AH$ と等しい。ゆえに、中心と $A, H$ を結んでできる三角形は正三角形であり、中心角は $\frac{\pi}{3}$ である。この弓形の面積 $S_1$ は、

$$ S_1 = \frac{1}{2} r_1^2 \cdot \frac{\pi}{3} - \frac{1}{2} r_1^2 \sin\frac{\pi}{3} = \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{4} \cdot \frac{\pi}{3} - \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{4} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\pi}{8} - \frac{3\sqrt{3}}{16} $$

円 $C_2$ について、半径は $r_2 = \frac{1}{2}$ である。中心から $A, H$ を結ぶ三角形において、余弦定理より中心角 $\theta$ は

$$ \cos\theta = \frac{r_2^2 + r_2^2 - AH^2}{2r_2^2} = \frac{\frac{1}{4} + \frac{1}{4} - \frac{3}{4}}{2 \cdot \frac{1}{4}} = -\frac{1}{2} $$

よって $\theta = \frac{2\pi}{3}$ となる。この弓形の面積 $S_2$ は、

$$ S_2 = \frac{1}{2} r_2^2 \cdot \frac{2\pi}{3} - \frac{1}{2} r_2^2 \sin\frac{2\pi}{3} = \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{4} \cdot \frac{2\pi}{3} - \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{4} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\pi}{12} - \frac{\sqrt{3}}{16} $$

以上より、求める面積 $S$ は

$$ S = S_1 + S_2 = \left( \frac{\pi}{8} - \frac{3\sqrt{3}}{16} \right) + \left( \frac{\pi}{12} - \frac{\sqrt{3}}{16} \right) = \frac{5\pi}{24} - \frac{\sqrt{3}}{4} $$

(2) 点 $A$ を原点 $(0,0)$ とし、点 $B$ を $(1,0)$ にとる。正三角形 $ABC$ の頂点 $C$ の座標は $\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ となる。 条件 $AD = CE$ より、この長さを $t \ (0 \leqq t \leqq 1)$ とおく。 点 $D$ は線分 $AB$ 上の点なので $D(t, 0)$。 点 $E$ は線分 $CA$ 上の点であり、$\vec{CE} = t\vec{CA}$ と表せるので、$E\left(\frac{1-t}{2}, \frac{\sqrt{3}(1-t)}{2}\right)$ である。 また、$CA, BC$ の中点 $F, G$ の座標はそれぞれ $F\left(\frac{1}{4}, \frac{\sqrt{3}}{4}\right)$、$G\left(\frac{3}{4}, \frac{\sqrt{3}}{4}\right)$ である。

直線 $DF$ の方向ベクトルは $\vec{DF} = \left(\frac{1}{4}-t, \frac{\sqrt{3}}{4}\right)$ であり、その方程式は

$$ \frac{\sqrt{3}}{4}(x - t) - \left(\frac{1}{4} - t\right)y = 0 \iff \sqrt{3}x + (4t-1)y - \sqrt{3}t = 0 \cdots \text{①} $$

直線 $GE$ の方向ベクトルは $\vec{GE} = \left(\frac{1-t}{2}-\frac{3}{4}, \frac{\sqrt{3}(1-t)}{2}-\frac{\sqrt{3}}{4}\right) = \left(-\frac{2t+1}{4}, -\frac{\sqrt{3}(2t-1)}{4}\right)$ であり、その方程式は

$$ -\frac{\sqrt{3}(2t-1)}{4}\left(x - \frac{3}{4}\right) + \frac{2t+1}{4}\left(y - \frac{\sqrt{3}}{4}\right) = 0 $$

$$ \sqrt{3}(2t-1)\left(x - \frac{3}{4}\right) - (2t+1)\left(y - \frac{\sqrt{3}}{4}\right) = 0 \cdots \text{②} $$

交点 $P(x,y)$ の軌跡を求めるために①より $t$ を解くと、

$$ t = \frac{\sqrt{3}x - y}{\sqrt{3} - 4y} $$

これを②に代入して整理する。($y = \frac{\sqrt{3}}{4}$ のときは $t = \frac{1}{2}$ となり個別に成立が確認できるため、分母は $0$ でないとして扱う)

$$ \begin{aligned} \sqrt{3} \left( 2\frac{\sqrt{3}x - y}{\sqrt{3} - 4y} - 1 \right) \left(x - \frac{3}{4}\right) - \left( 2\frac{\sqrt{3}x - y}{\sqrt{3} - 4y} + 1 \right) \left(y - \frac{\sqrt{3}}{4}\right) &= 0 \\ \sqrt{3} (2\sqrt{3}x + 2y - \sqrt{3}) \left(x - \frac{3}{4}\right) - (2\sqrt{3}x - 6y + \sqrt{3}) \left(y - \frac{\sqrt{3}}{4}\right) &= 0 \\ 6x^2 + 6y^2 - 6x - 4\sqrt{3}y + 3 &= 0 \\ x^2 - x + y^2 - \frac{2\sqrt{3}}{3}y + \frac{1}{2} &= 0 \\ \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + \left(y - \frac{\sqrt{3}}{3}\right)^2 &= \frac{1}{12} \end{aligned} $$

よって、$P$ は中心 $\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$、半径 $\frac{\sqrt{3}}{6}$ の円周上にある。この中心は、$\triangle ABC$ の重心を $O\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{6}\right)$ としたとき、線分 $CO$ の中点に一致し、半径は線分 $CO$ の長さの半分である。すなわち、定円は線分 $CO$ を直径とする円である。

次に、$P$ の存在する限界を求めるため、$0 \leqq t \leqq 1$ における $x$ の値の範囲を調べる。 ①、②から $x$ を $t$ について解くと、

$$ x(t) = \frac{6t^2 - 4t + 1}{2(4t^2 - 2t + 1)} $$

これを微分すると、

$$ x'(t) = \frac{4t^2 + 4t - 2}{(4t^2 - 2t + 1)^2} $$

$x'(t) = 0$ となるのは $t = \frac{-1 \pm \sqrt{3}}{2}$ であり、$0 \leqq t \leqq 1$ においては $t = \frac{\sqrt{3}-1}{2}$ で最小値をとる。 端点の値は $x(0) = \frac{1}{2}$、$x(1) = \frac{1}{2}$ であり、最小値は $x\left(\frac{\sqrt{3}-1}{2}\right) = \frac{3 - \sqrt{3}}{6}$ である。 円の方程式において、$x$ の最小値は $\frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{6} = \frac{3-\sqrt{3}}{6}$ であることから、点 $P$ はこの円のうち $x \leqq \frac{1}{2}$ を満たす左半円を描く。

解法2

(2) 幾何的な性質を用いた別解を示す。 正三角形 $ABC$ の重心を $O$ とすると、$O$ は外心でもあり、$\angle AOC = 120^\circ$ である。 $O$ を中心とする $120^\circ$ の回転移動を考えると、点 $A$ は点 $C$ に、点 $B$ は点 $A$ に移る。 条件 $AD = CE$ より、点 $D$ は辺 $AB$ 上を、点 $E$ は辺 $CA$ 上を同じ比率で動く点であるため、この回転によって線分 $AB$ 上の点 $D$ は線分 $CA$ 上の点 $E$ に移される。 同様に、辺 $CA$ の中点 $F$ は辺 $BC$ の中点 $G$ に移される。

したがって、直線 $DF$ は $O$ を中心とする $120^\circ$ の回転移動によって直線 $EG$ に移る。 ゆえに、この2直線のなす角は $60^\circ$(または $120^\circ$)であり、交点 $P$ について $\angle FPG = 60^\circ$ となる。 また、点 $F$ が点 $G$ に移ることから $\triangle OFG$ は $OF=OG, \angle FOG = 120^\circ$ の二等辺三角形である。 四角形 $OFPG$ に着目すると、$\angle FPG + \angle FOG = 60^\circ + 120^\circ = 180^\circ$ となるため、円周角の定理の逆により、点 $P$ は $\triangle OFG$ の外接円上にあることがわかる。

この外接円は、線分 $CO$ を直径とする円であることが図形的な対称性からわかり、その中心は線分 $CO$ の中点、半径はその半分である $\frac{\sqrt{3}}{6}$(ただし $\triangle ABC$ の1辺を1とした場合)となる。 点 $D$ が辺 $AB$ 上を動くとき、交点 $P$ は点 $C$ から出発し、点 $F$ を通過して重心 $O$ に至る、この円の半円周上を動く。

解説

(1) は極方程式や積分を用いても解けるが、初等幾何的に「扇形の面積から三角形の面積を引く」方法で弓形の面積を求めるのが最も計算ミスが少なく簡明である。 (2) は図形的な性質(回転移動と円周角の定理)に気付けば解法2のように見通しよく解答できる。しかし、試験本番で気付けない場合は、解法1のように座標を設定して軌跡の方程式をゴリ押しで導出する方針が有力である。パラメータ $t$ の消去の際、二次式がうまく整理されて円の方程式が現れることを確認しながら計算を進めたい。軌跡の限界(定義域)の確認には微分法を用いてとりうる値の範囲を厳密に示す必要がある。

答え

(1) 求める面積は、 $$ \frac{5\pi}{24} - \frac{\sqrt{3}}{4} $$

(2) 正三角形 $ABC$ の重心を $O$ とする。 求める定円の中心は、線分 $CO$ の中点であり、半径は $\frac{\sqrt{3}}{6}$ である。 (座標設定による表現:$A(0,0), B(1,0), C\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ としたとき、中心は $\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$、半径は $\frac{\sqrt{3}}{6}$)

また、$P$ の存在する限界は、この円周上のうち、直線 $CO$ によって分けられる点 $A$ 側の半円弧(両端の点 $C, O$ を含む)である。図示は省略するが、線分 $CO$ を直径として描いた円の左半分となる。

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