東京大学 1982年 文系 第1問 解説

方針・初手
点Pおよび点Rが幾何学的に存在するための条件から、点Qが満たすべき定点A, Bからの距離の条件(不等式)を導き出す。その後、点Qの存在範囲を2つの円の共通部分として図示し、幾何的な計算により面積を求める。
解法1
点Qが条件を満たしながら動くとき、定点Aとの関係において、2点A, Qに対して距離の条件 $AP=2, PQ=2$ を満たす点Pが存在しなければならない。 $\triangle APQ$ (3点が一直線上に並ぶ退化した場合も含む)が存在する条件は、三角不等式より
$$ |AP - PQ| \leqq AQ \leqq AP + PQ $$
すなわち、
$$ 0 \leqq AQ \leqq 4 $$
である。
同様に、定点Bとの関係において、2点B, Qに対して距離の条件 $BR=\sqrt{2}, RQ=\sqrt{2}$ を満たす点Rが存在する条件は、
$$ |BR - RQ| \leqq BQ \leqq BR + RQ $$
すなわち、
$$ 0 \leqq BQ \leqq 2\sqrt{2} $$
である。
これらの条件を満たす点Qが与えられれば、対応する点P, Rをそれぞれ作図できるため、これが点Qの存在するための必要十分条件である。 したがって、点Qが動きうる範囲は、以下の2つの円の周および内部の共通部分となる。 ・円 $C_A$:点Aを中心とする半径 $4$ の円 ・円 $C_B$:点Bを中心とする半径 $2\sqrt{2}$ の円
この2円の交点を C, D とおく。$\triangle ABC$ において、3辺の長さは $AC = 4$、$BC = 2\sqrt{2}$、$AB = 2(\sqrt{3}+1) = 2\sqrt{3}+2$ である。 余弦定理を用いて $\angle CAB$ を求めると、
$$ \cos \angle CAB = \frac{AC^2 + AB^2 - BC^2}{2 \cdot AC \cdot AB} = \frac{16 + (12 + 8\sqrt{3} + 4) - 8}{2 \cdot 4 \cdot (2\sqrt{3}+2)} = \frac{24 + 8\sqrt{3}}{16(\sqrt{3}+1)} = \frac{8\sqrt{3}(\sqrt{3}+1)}{16(\sqrt{3}+1)} = \frac{\sqrt{3}}{2} $$
よって、$\angle CAB = 30^\circ$ である。 同様に $\angle CBA$ を求めると、
$$ \cos \angle CBA = \frac{BC^2 + AB^2 - AC^2}{2 \cdot BC \cdot AB} = \frac{8 + (16 + 8\sqrt{3}) - 16}{2 \cdot 2\sqrt{2} \cdot (2\sqrt{3}+2)} = \frac{8 + 8\sqrt{3}}{4\sqrt{2}(\sqrt{3}+1)} = \frac{8(\sqrt{3}+1)}{4\sqrt{2}(\sqrt{3}+1)} = \frac{1}{\sqrt{2}} $$
よって、$\angle CBA = 45^\circ$ である。
対称性から $\angle DAB = 30^\circ$、$\angle DBA = 45^\circ$ となるため、各円における中心角は ・扇形ACDの中心角:$\angle CAD = 60^\circ$ ・扇形BCDの中心角:$\angle CBD = 90^\circ$ となる。
ここで、点Qが動きうる範囲の面積を $S$ とおくと、$S$ は扇形ACDと扇形BCDの面積の和から、四角形ACBDの面積を重複分として引いたものである。
扇形ACDの面積 $S_A$ は、
$$ S_A = \pi \cdot 4^2 \cdot \frac{60^\circ}{360^\circ} = \frac{8}{3}\pi $$
扇形BCDの面積 $S_B$ は、
$$ S_B = \pi \cdot (2\sqrt{2})^2 \cdot \frac{90^\circ}{360^\circ} = 2\pi $$
また、$\triangle ABC$ の面積は、
$$ \frac{1}{2} \cdot AC \cdot AB \sin 30^\circ = \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot (2\sqrt{3}+2) \cdot \frac{1}{2} = 2\sqrt{3} + 2 $$
であるから、四角形ACBDの面積はその2倍であり、$4\sqrt{3}+4$ となる。
したがって、求める面積 $S$ は、
$$ S = S_A + S_B - (\text{四角形ACBDの面積}) = \frac{8}{3}\pi + 2\pi - (4\sqrt{3}+4) = \frac{14}{3}\pi - 4\sqrt{3} - 4 $$
解説
軌跡や領域の問題において、動点が満たすべき条件を「連動する別の動点が存在するための条件」に帰着させる(存在条件の追求)典型的な問題である。点P, Rは自由に動けるわけではなく、点Qとの距離が一定であるという制約を利用して、点Qの位置を制限する不等式を導く。図形的な考察(三角不等式)を用いることで、円の内部という領域に簡潔に持ち込むことができる。図形が確定したあとの面積計算は、辺の長さから余弦定理を用いて有名角を見抜く標準的な処理である。
答え
点Qが動きうる範囲を図示すると、点Aを中心とする半径 $4$ の円の周および内部と、点Bを中心とする半径 $2\sqrt{2}$ の円の周および内部の共通部分となる。(境界線を含む) その面積は、$\frac{14}{3}\pi - 4\sqrt{3} - 4$
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