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北海道大学 1971年 理系 第2問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/図形総合テーマ/存在証明
北海道大学 1971年 理系 第2問 解説

方針・初手

連立方程式を整理し、$x=y=0$ 以外の解をもつ条件を導く。文字消去による同値変形、または行列の性質を用いて条件式を立てる。続く問題では、その条件式を $k$ の2次方程式とみなし、判別式を用いて解の性質を調べる。最後の証明では、解と係数の関係を利用してベクトルの内積を計算し、直交性を示す。

解法1

(1) 与えられた連立方程式①は、以下のように整理できる。

$$ \begin{cases} (a-k)x + by = 0 \quad \cdots \text{②} \\ bx + (c-k)y = 0 \quad \cdots \text{③} \end{cases} $$

$b \neq 0$ であるから、②より $y$ を $x$ を用いて表すと

$$ y = -\frac{a-k}{b} x \quad \cdots \text{④} $$

これを③に代入して

$$ bx - (c-k) \frac{a-k}{b} x = 0 $$

両辺に $b$ を掛けて整理すると

$$ \left\{ b^2 - (a-k)(c-k) \right\} x = 0 $$

ここで、$x=0$ と仮定すると、④より $y=0$ となり、$x=y=0$ 以外の解をもつという条件に反する。

したがって $x \neq 0$ でなければならない。上の等式が $x \neq 0$ なる $x$ について成り立つための条件は

$$ b^2 - (a-k)(c-k) = 0 $$

展開して整理すると、求める関係式が得られる。

$$ k^2 - (a+c)k + ac - b^2 = 0 $$

(2) (1)で求めた関係式を $k$ についての2次方程式とみなす。

$$ k^2 - (a+c)k + ac - b^2 = 0 $$

この2次方程式の判別式を $D$ とすると

$$ D = (a+c)^2 - 4(ac - b^2) $$

展開して平方完成の形に整理する。

$$ D = a^2 + 2ac + c^2 - 4ac + 4b^2 $$

$$ D = (a-c)^2 + 4b^2 $$

$a, b, c$ は実数であるから、$(a-c)^2 \geqq 0$ である。

さらに $b \neq 0$ であるから $b^2 > 0$、すなわち $4b^2 > 0$ である。

したがって

$$ D = (a-c)^2 + 4b^2 > 0 $$

判別式が正であるため、(1)の関係式は $k$ の相異なる2個の実数値について成立することが示された。

(3) (2)より、$k_1, k_2$ は2次方程式 $k^2 - (a+c)k + ac - b^2 = 0$ の2つの解である。

解と係数の関係より、以下の式が成り立つ。

$$ \begin{cases} k_1 + k_2 = a + c \\ k_1 k_2 = ac - b^2 \end{cases} $$

$k = k_i \ (i=1, 2)$ のときの解 $(x_i, y_i)$ は、(1)の④より

$$ y_i = \frac{k_i - a}{b} x_i $$

を満たす。もし $x_i = 0$ とすると $y_i = 0$ となり、$x=y=0$ 以外の解であることに反するため、$x_i \neq 0$ である。よって、ベクトル $(x_1, y_1)$ と $(x_2, y_2)$ はいずれも零ベクトルではない。

これら2つのベクトルの内積を計算すると

$$ (x_1, y_1) \cdot (x_2, y_2) = x_1 x_2 + y_1 y_2 $$

$$ = x_1 x_2 + \left( \frac{k_1 - a}{b} x_1 \right) \left( \frac{k_2 - a}{b} x_2 \right) $$

$$ = x_1 x_2 \left\{ 1 + \frac{(k_1 - a)(k_2 - a)}{b^2} \right\} $$

ここで、括弧内の分子 $(k_1 - a)(k_2 - a)$ を展開し、解と係数の関係を用いて変形する。

$$ (k_1 - a)(k_2 - a) = k_1 k_2 - a(k_1 + k_2) + a^2 $$

$$ = (ac - b^2) - a(a + c) + a^2 $$

$$ = ac - b^2 - a^2 - ac + a^2 $$

$$ = -b^2 $$

この結果を内積の式に代入する。

$$ (x_1, y_1) \cdot (x_2, y_2) = x_1 x_2 \left( 1 + \frac{-b^2}{b^2} \right) $$

$$ = x_1 x_2 (1 - 1) = 0 $$

ともに零ベクトルでない2つのベクトルの内積が $0$ となるため、ベクトル $(x_1, y_1)$ とベクトル $(x_2, y_2)$ はつねに垂直であることが示された。

解法2

(1)の別解として、行列を用いた解法を示す。

(1) 与えられた連立方程式を行列を用いて表すと、以下のようになる。

$$ \begin{pmatrix} a & b \\ b & c \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = k \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} $$

すなわち

$$ \begin{pmatrix} a - k & b \\ b & c - k \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix} $$

この方程式が $x=y=0$ 以外の解をもつための必要十分条件は、係数行列が逆行列をもたないこと、すなわち行列式が $0$ となることである。

$$ (a - k)(c - k) - b^2 = 0 $$

展開して整理すると、求める関係式が得られる。

$$ k^2 - (a + c)k + ac - b^2 = 0 $$

解説

大学数学における線形代数の「固有値と固有ベクトル」を背景とする典型問題である。(1) は実対称行列の固有方程式を求める過程に相当し、(3) は「実対称行列の異なる固有値に属する固有ベクトルは互いに直交する」という有名な定理の証明そのものである。

行列の知識がなくても、連立方程式の同値変形として論理を追えば十分に解答できる構成になっている。(3) では成分計算がやや複雑になるが、解と係数の関係を利用して式全体を俯瞰し、うまく簡約化する工夫が求められる。

答え

(1) $k^2 - (a+c)k + ac - b^2 = 0$

(2) $k$ の2次方程式の判別式を $D$ とすると $D = (a-c)^2 + 4b^2 > 0$ となり、相異なる2個の実数解をもつことが示された。

(3) 内積 $(x_1, y_1) \cdot (x_2, y_2)$ を計算すると値が $0$ となることから、垂直であることが示された。

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