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北海道大学 1971年 理系 第5問 解説

数学3/微分法数学3/積分法テーマ/最大・最小
北海道大学 1971年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) 与えられた定積分で表された関数の極限を求める問題です。積分区間の上端が $h$ で下端が $0$、そして分母に $h$ がある形から、微分の定義式(微分係数)の形に帰着させることを考えます。

(2) $f(x)$ の最大値を求めるため、関数を $x$ で微分して増減を調べます。定積分で表された関数を微分する際の公式 $\frac{d}{dx}\int_{a(x)}^{b(x)} g(t)dt = g(b(x))b'(x) - g(a(x))a'(x)$ を用いて導関数を計算し、$f'(x)=0$ となる $x$ を探します。

解法1

(1)

$f(0)$ を具体的に書き下すと、以下のようになる。

$$ f(0) = \int_{0}^{h} e^{-\frac{t^2}{2}} dt $$

ここで、被積分関数を $g(t) = e^{-\frac{t^2}{2}}$ とおく。また、$g(t)$ の原始関数の1つを $G(t)$ とおくと、$G'(t) = g(t)$ が成り立つ。このとき、定積分の定義より以下のように変形できる。

$$ f(0) = \left[ G(t) \right]_{0}^{h} = G(h) - G(0) $$

求める極限は、微分係数の定義を用いて次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} \lim_{h \to 0} \frac{f(0)}{h} &= \lim_{h \to 0} \frac{G(h) - G(0)}{h} \\ &= G'(0) \\ &= g(0) \\ &= e^{-\frac{0^2}{2}} \\ &= 1 \end{aligned} $$

(2)

与えられた関数 $f(x)$ を $x$ について微分する。微積分学の基本定理より、

$$ \begin{aligned} f'(x) &= \frac{d}{dx} \int_{x}^{x+h} e^{-\frac{t^2}{2}} dt \\ &= \frac{d}{dx} \left( \int_{0}^{x+h} e^{-\frac{t^2}{2}} dt - \int_{0}^{x} e^{-\frac{t^2}{2}} dt \right) \\ &= e^{-\frac{(x+h)^2}{2}} - e^{-\frac{x^2}{2}} \end{aligned} $$

$f'(x) = 0$ となる $x$ を求める。

$$ e^{-\frac{(x+h)^2}{2}} = e^{-\frac{x^2}{2}} $$

底が $e \ (>1)$ であるため、両辺の指数部分は等しい。

$$ -\frac{(x+h)^2}{2} = -\frac{x^2}{2} $$

$$ (x+h)^2 = x^2 $$

$$ x^2 + 2hx + h^2 = x^2 $$

$$ 2hx = -h^2 $$

$h$ は正の定数であるから $h \neq 0$ であり、両辺を $2h$ で割って、

$$ x = -\frac{h}{2} $$

次に $f(x)$ の増減を調べる。指数関数 $y = e^t$ は単調増加関数であるから、$f'(x) = e^{-\frac{(x+h)^2}{2}} - e^{-\frac{x^2}{2}}$ の符号は、指数部分の差 $-\frac{(x+h)^2}{2} - \left(-\frac{x^2}{2}\right)$ の符号と一致する。

$$ \begin{aligned} -\frac{(x+h)^2}{2} - \left(-\frac{x^2}{2}\right) &= -\frac{1}{2} (x^2 + 2hx + h^2) + \frac{x^2}{2} \\ &= -hx - \frac{h^2}{2} \\ &= -h \left( x + \frac{h}{2} \right) \end{aligned} $$

$h > 0$ であるため、 $x < -\frac{h}{2}$ のとき、$-h \left( x + \frac{h}{2} \right) > 0$ となり、$f'(x) > 0$ である。 $x > -\frac{h}{2}$ のとき、$-h \left( x + \frac{h}{2} \right) < 0$ となり、$f'(x) < 0$ である。

したがって、$f(x)$ は $x < -\frac{h}{2}$ の範囲で単調に増加し、$x > -\frac{h}{2}$ の範囲で単調に減少する。 ゆえに、$f(x)$ は $x = -\frac{h}{2}$ のとき極大かつ最大となる。

解説

定積分で表された関数の扱いの基本を問う問題です。

(1) は「$\frac{0}{0}$ の不定形」の極限であり、積分の形で表されている場合は、微分係数の定義 $\lim_{h \to 0} \frac{F(a+h) - F(a)}{h} = F'(a)$ に当てはめるのが定石です。原始関数を文字で置いて計算を進めると論理的にもスッキリと記述できます。

(2) は区間の幅が $h$ で一定の積分値の最大・最小を考える典型的な問題です。関数を微分して増減表(または導関数の符号変化)を調べることで解決します。導関数の符号を調べる際、指数関数の単調性を利用して指数の差のみに帰着させると、不等式を解く手間が省けます。または、被積分関数 $y = e^{-\frac{t^2}{2}}$ (標準正規分布の確率密度関数に定数を掛けたもの。いわゆるガウス曲線)のグラフが $y$ 軸対称で上に凸な山型の形状であることを知っていれば、区間の中点が $t=0$ に来るとき、すなわち $x + \frac{h}{2} = 0$ のときに積分値(面積)が最大になることが視覚的にも容易に予測できます。

答え

(1) $1$ (2) $x = -\frac{h}{2}$

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