北海道大学 1974年 理系 第5問 解説

方針・初手
(1) 商の微分法を用いて導関数を求め、その符号を調べる。導関数の符号が直ちに分からない場合は、分子を取り出してさらに微分して増減を調べるのが定石である。
(2) 立体の体積は、積分区間における断面積を積分して求める。$x$ 軸に垂直な平面で切断したときの断面が正三角形になることが問題文で与えられているため、その正三角形の面積を $x$ の関数として表し、定積分を実行する。
(3) (2) で求めた体積 $V(a)$ の式をよく観察し、(1) で考察した関数 $f(x) = \frac{\sin x}{x}$ の形を作り出す。(1) の単調性の結果を利用することで、微分計算を避けて最大値を求める。
解法1
(1)
$f(x) = \frac{\sin x}{x}$ を $x$ について微分すると
$$ f'(x) = \frac{x \cos x - \sin x}{x^2} $$
ここで、導関数の分子の部分を $g(x) = x \cos x - \sin x$ とおく。これをさらに微分すると
$$ g'(x) = 1 \cdot \cos x + x (-\sin x) - \cos x = -x \sin x $$
$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において、$x > 0$ かつ $\sin x > 0$ であるから、$g'(x) < 0$ となる。 したがって、$g(x)$ は区間 $0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ において単調に減少する。
また、$g(0) = 0$ であるから、$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において $g(x) < 0$ が成り立つ。 よって、$0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において $f'(x) < 0$ となり、$f(x)$ はこの区間で単調に減少する。
ゆえに、$f(x)$ の最小値は $x = \frac{\pi}{2}$ のときであり、その値は
$$ f\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\sin \frac{\pi}{2}}{\frac{\pi}{2}} = \frac{2}{\pi} $$
となる。
(2)
$x$ 軸に垂直な平面による立体の断面は、線分 $AB$ を1辺とする正三角形である。 $A(x, 0)$、$B(x, \sin ax)$ より、線分 $AB$ の長さは
$$ AB = \sqrt{(x - x)^2 + (\sin ax - 0)^2} = |\sin ax| $$
ここで、$0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ かつ $0 < a \leqq \frac{1}{2}$ であるから、$0 \leqq ax \leqq \frac{\pi}{4}$ となる。 この範囲において $\sin ax \geqq 0$ であるため、絶対値をそのまま外すことができ、$AB = \sin ax$ である。
したがって、断面の正三角形の面積を $S(x)$ とすると
$$ S(x) = \frac{\sqrt{3}}{4} AB^2 = \frac{\sqrt{3}}{4} \sin^2 ax $$
半角の公式を用いて次数を下げる変形を行うと
$$ S(x) = \frac{\sqrt{3}}{4} \cdot \frac{1 - \cos 2ax}{2} = \frac{\sqrt{3}}{8} (1 - \cos 2ax) $$
求める立体の体積 $V(a)$ は、この断面積 $S(x)$ を $x$ について $0$ から $\frac{\pi}{2}$ まで定積分したものであるから
$$ V(a) = \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} S(x) dx = \frac{\sqrt{3}}{8} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} (1 - \cos 2ax) dx $$
$a > 0$ であることに注意して積分を実行すると
$$ V(a) = \frac{\sqrt{3}}{8} \left[ x - \frac{\sin 2ax}{2a} \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} = \frac{\sqrt{3}}{8} \left( \frac{\pi}{2} - \frac{\sin \pi a}{2a} \right) = \frac{\sqrt{3}}{16} \left( \pi - \frac{\sin \pi a}{a} \right) $$
となる。
(3)
(2) で求めた $V(a)$ の式を、関数 $f(x)$ が現れるように変形すると
$$ V(a) = \frac{\sqrt{3}\pi}{16} \left( 1 - \frac{\sin \pi a}{\pi a} \right) = \frac{\sqrt{3}\pi}{16} \{ 1 - f(\pi a) \} $$
と表すことができる。
$a$ が $0 < a \leqq \frac{1}{2}$ の範囲を動くとき、$\pi a$ は $0 < \pi a \leqq \frac{\pi}{2}$ の範囲を動く。 (1) の結果より、関数 $f(x)$ は区間 $0 < x \leqq \frac{\pi}{2}$ において単調に減少するため、$a$ が増加するとき、$f(\pi a)$ の値は単調に減少する。
したがって、$-f(\pi a)$ は単調に増加することになり、$V(a)$ は $0 < a \leqq \frac{1}{2}$ において単調に増加する。 ゆえに、$V(a)$ は $a = \frac{1}{2}$ のとき最大値をとる。
その最大値は
$$ V\left(\frac{1}{2}\right) = \frac{\sqrt{3}\pi}{16} \left\{ 1 - f\left(\frac{\pi}{2}\right) \right\} = \frac{\sqrt{3}\pi}{16} \left( 1 - \frac{2}{\pi} \right) = \frac{\sqrt{3}}{16} (\pi - 2) $$
となる。
解説
本問は、微分法による関数の増減の調査、定積分による立体の体積の計算、そして前問の結果を利用して関数の最大値を求める、という解析学の典型的な流れを持つ総合問題である。
(1) では商の微分を行った後、導関数の符号を決定するためにさらに分子を微分するという手法がポイントとなる。これは頻出の手続きであるため、確実に実行できるようにしておきたい。
(2) は空間図形の体積を求める定石通り、軸に垂直な平面で切った断面積を積分すればよい。$a$ の値の範囲から $\sin ax \geqq 0$ となることを確認し、絶対値を外す操作を無意識に省略せず、しっかりと記述することが論理的な答案作成において重要である。
(3) は $V(a)$ を直接微分して増減を調べることも可能であるが、(1) で考察した関数 $f(x)$ の形が $V(a)$ の式の中に現れることに気づければ、計算量を大幅に減らし、見通しよく解を進めることができる。前の設問が後の設問の誘導になっているという入試数学の基本構造を意識することが求められる。
答え
(1) 最小値 $\frac{2}{\pi}$
(2) $V(a) = \frac{\sqrt{3}}{16} \left( \pi - \frac{\sin \pi a}{a} \right)$
(3) 最大値 $\frac{\sqrt{3}}{16} (\pi - 2)$
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