北海道大学 1971年 理系 第6問 解説

方針・初手
- (1) は、与えられた2つの直線の方程式からパラメータ $t$ を消去し、$x, y$ の関係式を導く。その際、根号を含む式であることから $x, y$ のとりうる値の範囲に制限が生じることに注意する。
- (2) は、動く図形(三角形)の掃過領域(通過領域)を求める問題である。ある点 $(x, y)$ が $\triangle ABC$ の周または内部に含まれるためのパラメータ $t$ ($0 \leqq t \leqq a$) の存在条件を立式し、その条件を満たす $(x, y)$ の範囲を特定する。領域が求まったら、積分を用いて面積を計算する。
解法1
(1) 与えられた2直線の方程式は以下の通りである。
$$ x - y = t \cdots \cdots ① $$
$$ x + y = \sqrt{t^2+4} \cdots \cdots ② $$
①より、両辺を2乗すると
$$ (x-y)^2 = t^2 $$
となる。一方、②の両辺を2乗すると
$$ (x+y)^2 = t^2 + 4 $$
となる。この式に $t^2 = (x-y)^2$ を代入すると、
$$ (x+y)^2 = (x-y)^2 + 4 $$
$$ x^2 + 2xy + y^2 = x^2 - 2xy + y^2 + 4 $$
$$ 4xy = 4 $$
$$ xy = 1 $$
また、②において根号の中身は正であり $\sqrt{t^2+4} \geqq \sqrt{4} = 2$ であるから、
$$ x+y \geqq 2 $$
を満たす。$x+y \geqq 2$ と $xy = 1$ を同時に満たす $(x, y)$ の符号について考えると、相加・相乗平均の関係から明らかに $x > 0$ かつ $y > 0$ である。(逆に、$x > 0$ かつ $y > 0$ で $xy = 1$ を満たす任意の点において $x+y \geqq 2$ は成り立ち、このとき実数 $t = x-y$ が必ず存在する。)
したがって、交点は双曲線 $xy = 1$ の第1象限の部分にある。その曲線上の点が満たす方程式は、
$$ xy = 1 \quad (x > 0, y > 0) $$
(2) 直線①と $x$ 軸($y = 0$)の交点 B の座標は、①に $y=0$ を代入して $x=t$ より $B(t, 0)$ である。 直線②と $x$ 軸の交点 C の座標は、②に $y=0$ を代入して $x=\sqrt{t^2+4}$ より $C(\sqrt{t^2+4}, 0)$ である。 ①と②の交点 A の座標は、(1)の過程から $x$ と $y$ を $t$ で表すと
$$ A\left(\frac{\sqrt{t^2+4}+t}{2}, \frac{\sqrt{t^2+4}-t}{2}\right) $$
となる。ここで $y$ 座標は常に正であり、また $t < \sqrt{t^2+4}$ より点 B は常に点 C の左側にある。 したがって、線分 BC を底辺とする $\triangle ABC$ の周および内部にある点 $(x, y)$ が満たすべき条件は、
$$ \begin{cases} y \geqq 0 \\ x - y \geqq t & \text{(直線 AB に対して点 C と同じ側)} \\ x + y \leqq \sqrt{t^2+4} & \text{(直線 AC に対して点 B と同じ側)} \end{cases} $$
で表される。 求める掃過領域は、固定された点 $(x, y)$(ただし $y \geqq 0$)に対し、上の連立不等式を満たす $t$ が $0 \leqq t \leqq a$ の範囲に少なくとも1つ存在するような点 $(x, y)$ の集合である。
$t$ についての条件を整理すると、
$$ \begin{cases} t \leqq x - y \\ t^2 \geqq (x+y)^2 - 4 \\ 0 \leqq t \leqq a \end{cases} $$
となる。ここで、$t \geqq 0$ における $t^2 \geqq (x+y)^2 - 4$ の解は、$(x+y)^2 - 4$ の符号によって場合分けされる。
(i) $x+y \leqq 2$ のとき $t^2 \geqq (x+y)^2 - 4$ はすべての $t \geqq 0$ で成り立つ。 よって $t$ の条件は $0 \leqq t \leqq x-y$ かつ $0 \leqq t \leqq a$ となる。 これらを同時に満たす $t$ が存在する条件は、$0 \leqq x-y$ (すなわち $y \leqq x$)である。($0 \leqq a$ は問題の設定より自明)
(ii) $x+y > 2$ のとき $t^2 \geqq (x+y)^2 - 4$ より $t \geqq \sqrt{(x+y)^2 - 4}$ となる。 よって $t$ の条件は $\sqrt{(x+y)^2 - 4} \leqq t \leqq x-y$ かつ $0 \leqq t \leqq a$ となる。 これを満たす $t$ が存在する条件は、下限と上限をそれぞれ比較して
$$ \sqrt{(x+y)^2 - 4} \leqq x-y \quad \text{かつ} \quad \sqrt{(x+y)^2 - 4} \leqq a $$
である。第1の不等式について、$x-y \geqq 0$ より両辺を2乗すると
$$ (x+y)^2 - 4 \leqq (x-y)^2 \iff 4xy \leqq 4 \iff xy \leqq 1 $$
第2の不等式について、両辺を2乗すると
$$ (x+y)^2 - 4 \leqq a^2 \iff x+y \leqq \sqrt{a^2+4} $$
以上 (i), (ii) をまとめると、求める掃過領域 $D$ は、
$$ \begin{cases} y \geqq 0 \\ y \leqq x \\ xy \leqq 1 \\ x + y \leqq \sqrt{a^2+4} \end{cases} $$
で表される。 (注: $x+y > 2$ かつ $xy \leqq 1$ のとき、$y \leqq x$ は自動的に満たされる。)
領域 $D$ の面積 $S$ を求める。 境界線 $y = x$ と $xy = 1$ の交点は $(1, 1)$ である。 境界線 $xy = 1$ と $x + y = \sqrt{a^2+4}$ の交点は、方程式 $x^2 - \sqrt{a^2+4}x + 1 = 0$ の解のうち $x \geqq 1$ を満たすものであり、
$$ x = \frac{\sqrt{a^2+4} + a}{2} $$
である。この値を $\alpha$ とおく。 面積 $S$ を $x$ 軸に沿って積分して計算すると、
$$ S = \int_0^1 x \, dx + \int_1^\alpha \frac{1}{x} \, dx + \int_\alpha^{\sqrt{a^2+4}} (-x + \sqrt{a^2+4}) \, dx $$
それぞれの積分を計算する。
$$ \int_0^1 x \, dx = \left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_0^1 = \frac{1}{2} $$
$$ \int_1^\alpha \frac{1}{x} \, dx = \left[ \log x \right]_1^\alpha = \log \alpha = \log \frac{a + \sqrt{a^2+4}}{2} $$
第3の積分は、底辺の長さが $\sqrt{a^2+4} - \alpha = \frac{\sqrt{a^2+4} - a}{2}$、高さが $\frac{1}{\alpha} = \frac{\sqrt{a^2+4} - a}{2}$ の直角二等辺三角形の面積に等しいので、
$$ \frac{1}{2} \left( \frac{\sqrt{a^2+4} - a}{2} \right)^2 = \frac{a^2 + 4 - 2a\sqrt{a^2+4} + a^2}{8} = \frac{a^2 + 2 - a\sqrt{a^2+4}}{4} $$
したがって、求める面積 $S$ は
$$ S = \frac{1}{2} + \log \frac{a + \sqrt{a^2+4}}{2} + \frac{a^2 + 2 - a\sqrt{a^2+4}}{4} $$
$$ S = \frac{a^2 + 4 - a\sqrt{a^2+4}}{4} + \log \frac{a + \sqrt{a^2+4}}{2} $$
解説
- (1) は媒介変数表示された曲線の軌跡を求める標準的な問題である。根号の性質から $x+y$ の符号が決まり、軌跡が双曲線の一部に限定される点に注意が必要である。
- (2) は動く図形の通過領域を求める問題であり、ファクシミリの原理(ある点 $(x, y)$ が通過領域に含まれるためのパラメータ $t$ の存在条件を考える方法)を用いるのが確実である。
- 三角形を構成する直線 $x-y = t$ は、三角形の右側の境界ではなく左側の境界を定めるため、不等式の向きが $x-y \geqq t$ となることを見落とさないようにしたい。
- 領域の境界の構成が、$t=0$ のときの辺、$t=a$ のときの辺、および頂点 A の軌跡(双曲線)によって形作られることが式からも幾何的にも確認できる。
答え
(1) 曲線上の点は双曲線 $xy = 1$ の $x > 0, y > 0$ の部分にある。(方程式: $xy = 1 \quad (x > 0, y > 0)$) (2) $\frac{a^2 + 4 - a\sqrt{a^2+4}}{4} + \log \frac{a + \sqrt{a^2+4}}{2}$
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