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名古屋大学 1974年 文系 第5問 解説

数学3/微分法数学3/積分法数学3/極限テーマ/最大・最小テーマ/不等式の証明
名古屋大学 1974年 文系 第5問 解説

方針・初手

(1) は関数を微分し、$f'(x)=0$ の実数解の個数を調べる。このとき、パラメータ $a$ の値によって $f'(x)=0$ の解の個数が変わるため、$a^3-1$ の符号、すなわち $a$ と $1$ の大小関係で場合分けを行う。また、$f(x)$ が $x$ の偶数次のみの項で構成されている偶関数であることに気づくと、後の議論やグラフの概形の把握がスムーズになる。

(2) は $f(x)=0$ を満たす $x$ を求めることから始める。$x^2$ についての2次方程式(複2次式)として因数分解できるため、交点の座標は容易に求まる。面積計算では、(1) で確認した偶関数の性質を用いて計算量を減らす。

解法1

(1)

$f(x) = -a^2x^4 - (a^3 - 1)x^2 + a \quad (a > 0)$ とする。

$f(x)$ は偶数次の項と定数項のみからなるため偶関数であり、そのグラフは $y$ 軸に関して対称である。

$f(x)$ を $x$ について微分すると、

$$ \begin{aligned} f'(x) &= -4a^2x^3 - 2(a^3 - 1)x \\ &= -2x(2a^2x^2 + a^3 - 1) \end{aligned} $$

$f'(x) = 0$ とすると、$x = 0$ または $2a^2x^2 + a^3 - 1 = 0$ である。

ここで、$a^3 - 1$ の符号によって場合分けを行う。

(i) $a^3 - 1 \ge 0$ すなわち $a \ge 1$ のとき

$a^3 - 1 \ge 0$ かつ $a > 0$ より、$x \neq 0$ のとき $2a^2x^2 + a^3 - 1 > 0$ であるから、$f'(x) = 0$ を満たす実数 $x$ は $x = 0$ のみである。

増減表は以下のようになる。

$x$ $\cdots$ $0$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$
$f(x)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$

したがって、$f(x)$ は $x = 0$ で極大値 $a$ をとる。極小値はない。

(ii) $a^3 - 1 < 0$ すなわち $0 < a < 1$ のとき

$2a^2x^2 + a^3 - 1 = 0$ より、$x^2 = \frac{1 - a^3}{2a^2} > 0$ であるから、実数解 $x = \pm \sqrt{\frac{1 - a^3}{2a^2}}$ をもつ。

$\alpha = \sqrt{\frac{1 - a^3}{2a^2}}$ とおくと($\alpha > 0$)、$f'(x) = -4a^2x(x + \alpha)(x - \alpha)$ と因数分解できる。

増減表は以下のようになる。

$x$ $\cdots$ $-\alpha$ $\cdots$ $0$ $\cdots$ $\alpha$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$
$f(x)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$ 極小 $\nearrow$ 極大 $\searrow$

$x = 0$ で極小値 $f(0) = a$ をとる。

また、$x = \pm \alpha$ で極大値をとる。このとき $x^2 = \frac{1 - a^3}{2a^2}$ より、

$$ \begin{aligned} f(\pm \alpha) &= a - (a^3 - 1)\left( \frac{1 - a^3}{2a^2} \right) - a^2 \left( \frac{1 - a^3}{2a^2} \right)^2 \\ &= a + \frac{(1 - a^3)^2}{2a^2} - a^2 \cdot \frac{(1 - a^3)^2}{4a^4} \\ &= a + \frac{(1 - a^3)^2}{4a^2} \\ &= \frac{4a^3 + (1 - 2a^3 + a^6)}{4a^2} \\ &= \frac{a^6 + 2a^3 + 1}{4a^2} \\ &= \frac{(a^3 + 1)^2}{4a^2} \end{aligned} $$

したがって、$f(x)$ は $x = \pm \sqrt{\frac{1 - a^3}{2a^2}}$ で極大値 $\frac{(a^3 + 1)^2}{4a^2}$ をとり、$x = 0$ で極小値 $a$ をとる。

グラフの概形は、$a \ge 1$ のときは $y$ 軸上で極大かつ最大となる山が1つの釣鐘型の形、$0 < a < 1$ のときは $y$ 軸上で極小となり、その左右で極大となる山が2つのM字型の形となる。また、いずれの場合も $y$ 軸対称であり、$\lim_{x \to \pm \infty} f(x) = -\infty$ である。

(2)

まず、グラフと $x$ 軸の交点を求める。$f(x) = 0$ より、

$$ -a^2x^4 - (a^3 - 1)x^2 + a = 0 $$

$$ a^2x^4 + (a^3 - 1)x^2 - a = 0 $$

左辺をたすき掛けにより因数分解すると、

$$ (a^2x^2 - 1)(x^2 + a) = 0 $$

$a > 0$ より $x^2 + a > 0$ であるから、$x^2$ は実数であることに注意して解くと、

$$ a^2x^2 - 1 = 0 \iff x^2 = \frac{1}{a^2} \iff x = \pm \frac{1}{a} $$

したがって、グラフは $x$ 軸と点 $\left( -\frac{1}{a}, 0 \right), \left( \frac{1}{a}, 0 \right)$ で交わる。

区間 $-\frac{1}{a} \le x \le \frac{1}{a}$ において、$x^2 \le \frac{1}{a^2}$ であり、$a^2x^2 - 1 \le 0$、$x^2 + a > 0$ となるため、

$$ f(x) = -(a^2x^2 - 1)(x^2 + a) \ge 0 $$

である。ゆえに、求める面積 $S(a)$ は、偶関数であることを利用して、

$$ \begin{aligned} S(a) &= \int_{-\frac{1}{a}}^{\frac{1}{a}} f(x) dx \\ &= 2 \int_{0}^{\frac{1}{a}} \{ -a^2x^4 - (a^3 - 1)x^2 + a \} dx \\ &= 2 \left[ -\frac{a^2}{5}x^5 - \frac{a^3 - 1}{3}x^3 + ax \right]_0^{\frac{1}{a}} \\ &= 2 \left( -\frac{a^2}{5} \cdot \frac{1}{a^5} - \frac{a^3 - 1}{3} \cdot \frac{1}{a^3} + a \cdot \frac{1}{a} \right) \\ &= 2 \left( -\frac{1}{5a^3} - \frac{1}{3} + \frac{1}{3a^3} + 1 \right) \\ &= 2 \left( \frac{2}{3} + \frac{2}{15a^3} \right) \\ &= \frac{4}{3} + \frac{4}{15a^3} \end{aligned} $$

よって、$a \to \infty$ のときの極限は、

$$ \lim_{a \to \infty} S(a) = \lim_{a \to \infty} \left( \frac{4}{3} + \frac{4}{15a^3} \right) = \frac{4}{3} $$

解説

(1) では、導関数 $f'(x)=0$ の実数解の個数がパラメータ $a$ によって変化する、微分の典型的な問題である。$f'(x)$ を因数分解したあとの括弧内の式について、符号の変化に注意して適切に場合分けを行う必要がある。

(2) は、定数項に $a$ が含まれる4次方程式であるが、複2次式であるため因数分解の定石(たすき掛け)がそのまま使えることに気づければ容易に交点を求めることができる。積分計算においては、関数が偶関数であることを利用して積分区間を $0$ から $\frac{1}{a}$ とすることで、計算ミスを減らし効率的に処理できる。

答え

(1)

グラフの概形は、$y$ 軸対称であり、$x$ 軸と $\left( \pm \frac{1}{a}, 0 \right)$ で交わり、$a \ge 1$ ならば $y$ 軸上に頂点を持つ上に凸な山が1つ、$0 < a < 1$ ならば $y$ 軸上で極小となる山が2つのM字型となる。

(2)

$S(a) = \frac{4}{3} + \frac{4}{15a^3}$

$\lim_{a \to \infty} S(a) = \frac{4}{3}$

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