北海道大学 1972年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた条件式 $|z|^2 + |w|^2 = 1$ から、$u = 1 + i + 2zw$ に含まれる $2zw$ のとりうる値の範囲を求めることが目標となります。 (1) では $z, w$ が実数であるという条件を利用し、$z^2 + w^2 = 1$ を満たすことから三角関数によるパラメータ表示を考えます。 (2) では $z, w$ が複素数であるため、絶対値の不等式 $(|z| - |w|)^2 \ge 0$ を利用して $|2zw|$ の上限を評価します。
解法1
(1)
$z, w$ が実数であるとき、$|z|^2 = z^2$、$|w|^2 = w^2$ となるため、与えられた条件式は以下のようになります。
$$ z^2 + w^2 = 1 $$
この条件を満たす実数 $z, w$ は、単位円上の点の座標として、実数 $\theta$ ($0 \le \theta < 2\pi$) を用いて次のように表すことができます。
$$ z = \cos \theta, \quad w = \sin \theta $$
このとき、$2zw$ は倍角の公式を用いて次のように計算できます。
$$ 2zw = 2\cos\theta \sin\theta = \sin 2\theta $$
$-1 \le \sin 2\theta \le 1$ であるから、$2zw$ のとりうる値の範囲は実数の $[-1, 1]$ となります。ここで、$2zw = t \ (-1 \le t \le 1)$ とおくと、$u$ は次のように表されます。
$$ u = 1 + i + t = (1+t) + i $$
$u$ の実部を $x$、虚部を $y$ とおくと、$x = 1+t$、$y = 1$ となります。$-1 \le t \le 1$ であるため、$x$ のとりうる範囲は $0 \le x \le 2$ です。 したがって、$u$ を表す点は複素平面上で、実軸に平行な直線 $y=1$ 上の $0 \le x \le 2$ の部分を描きます。
(2)
$u = 1 + i + 2zw$ より、式を変形すると以下のようになります。
$$ u - (1+i) = 2zw $$
両辺の絶対値をとります。
$$ |u - (1+i)| = 2|z||w| $$
ここで、任意の実数 $|z|, |w|$ に対して、不等式 $(|z| - |w|)^2 \ge 0$ が成り立つため、展開して整理すると次の絶対値の不等式が得られます。
$$ 2|z||w| \le |z|^2 + |w|^2 $$
条件より $|z|^2 + |w|^2 = 1$ であるから、これを代入します。
$$ 2|z||w| \le 1 $$
したがって、$u$ についての以下の不等式が得られます。
$$ |u - (1+i)| \le 1 $$
これは、$u$ の表す点が点 $1+i$ を中心とする半径 $1$ の円の周およびその内部にあることを示しています。
逆に、この領域内の任意の点 $u$ に対して、条件 $|z|^2 + |w|^2 = 1$ を満たす複素数 $z, w$ が存在することを確認します。 $u - (1+i) = R(\cos\alpha + i\sin\alpha)$ ($0 \le R \le 1$) とおきます。 $z = r_1(\cos\theta_1 + i\sin\theta_1)$、$w = r_2(\cos\theta_2 + i\sin\theta_2)$ ($r_1, r_2 \ge 0$)とすると、次が成り立ちます。
$$ 2zw = 2r_1 r_2 \{\cos(\theta_1+\theta_2) + i\sin(\theta_1+\theta_2)\} $$
これと $2zw = u - (1+i)$ を比較すると、以下の関係が必要です。
$$ 2r_1 r_2 = R, \quad \theta_1 + \theta_2 = \alpha $$
また、条件から $r_1^2 + r_2^2 = 1$ です。 $(r_1 - r_2)^2 = 1 - R \ge 0$ および $(r_1 + r_2)^2 = 1 + R \ge 0$ より、
$$ r_1 = \frac{\sqrt{1+R} + \sqrt{1-R}}{2}, \quad r_2 = \frac{\sqrt{1+R} - \sqrt{1-R}}{2} $$
と定めれば、共に実数として存在し、$r_1, r_2 \ge 0$ を満たします。偏角は例えば $\theta_1 = \alpha, \theta_2 = 0$ と選ぶことができるため、条件を満たす $z, w$ は常に存在します(十分性の確認)。 よって、求める領域は $|u - (1+i)| \le 1$ で表される領域全体となります。
解説
(1) は実数条件が与えられているため、円の方程式から三角関数への置換が自然な発想となります。 (2) は複素数のまま扱う必要があります。$(|z| - |w|)^2 \ge 0$ から導かれる $2|z||w| \le |z|^2 + |w|^2$ という基本的な不等式を用いて、$u$ の取り得る範囲を絞り込むアプローチが有効です。不等式で領域を求めた後は、その領域内のすべての点で本当に条件を満たす元の複素数 $z, w$ が存在するか(十分性)を念のため確認しておくことが、論理的な隙をなくす上で重要です。
答え
(1) 点 $i$ と点 $2+i$ を結ぶ線分。(図示する場合は、複素平面上で実軸に平行な $y=1$ の直線上にある $0 \le x \le 2$ の部分を実線で描く)
(2) 点 $1+i$ を中心とする半径 $1$ の円の周および内部。(図示する場合は、中心が $(1, 1)$ に相当する点で、半径が $1$ の円を描き、境界線を含めてその内部を塗る)
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