北海道大学 1979年 理系 第1問 解説

方針・初手
2つの円の交点を通る直線(共通弦)を求め、それを直径とする円 $C_a$ の方程式を導出する。 その後、点 $(x, y)$ が円 $C_a$ の通過領域に含まれる条件を、「$a$ についての方程式が $0 < a < 4$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ条件」に読み替えて(逆像法)、条件を立式する。
解法1
2つの円 $x^2 + y^2 = 4$ と $(x - a)^2 + y^2 = 4$ の交点を通る直線の方程式は、2式を辺々引いて $$ 2ax - a^2 = 0 \iff x = \frac{a}{2} \quad (\because 0 < a < 4) $$ である。これを $x^2 + y^2 = 4$ に代入すると、交点の $y$ 座標は $y = \pm \sqrt{4 - \frac{a^2}{4}}$ となる。 したがって、共通弦の中点(すなわち円 $C_a$ の中心)は $\left( \frac{a}{2}, 0 \right)$ であり、半径は $\sqrt{4 - \frac{a^2}{4}}$ である。 よって、円 $C_a$ の方程式は $$ \left( x - \frac{a}{2} \right)^2 + y^2 = 4 - \frac{a^2}{4} $$
展開して $a$ について整理すると、 $$ a^2 - 2xa + 2x^2 + 2y^2 - 8 = 0 $$
となる。求める領域は、この $a$ についての2次方程式が $0 < a < 4$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつような点 $(x, y)$ の集合である。 $f(a) = a^2 - 2xa + 2x^2 + 2y^2 - 8$ とおく。放物線 $b = f(a)$ の軸は $a = x$ であり、区間の端点における値は以下のようになる。 $$ f(0) = 2(x^2 + y^2 - 4) $$
$$ f(4) = 16 - 8x + 2x^2 + 2y^2 - 8 = 2((x - 2)^2 + y^2) \ge 0 $$
$f(a) = 0$ が $0 < a < 4$ に実数解をもつのは、以下のいずれかの場合である。
(i) $0 < a < 4$ の範囲にただ1つの実数解をもつ場合
$f(0)$ と $f(4)$ の符号が異なればよい。$f(4) \ge 0$ であるから、$f(0) < 0$ であれば条件を満たす。(このとき $(x, y) \neq (2, 0)$ より $f(4) > 0$ となる) $$ f(0) < 0 \iff x^2 + y^2 < 4 $$
また、端点で解をもつ場合を考える。 $f(0) = 0$ すなわち $x^2 + y^2 = 4$ のとき、$f(a) = a^2 - 2xa = 0$ より解は $a = 0, 2x$。これが $0 < a < 4$ に解をもつ条件は $0 < 2x < 4 \iff 0 < x < 2$。 $f(4) = 0$ すなわち $(x, y) = (2, 0)$ のとき、$f(a) = a^2 - 4a = 0$ より解は $a = 0, 4$ となり、$0 < a < 4$ に解をもたない。
(ii) $0 < a < 4$ の範囲に2つの実数解(重解を含む)をもつ場合
判別式を $D$ とすると、以下の条件をすべて満たすことである。 $$ \begin{cases} \frac{D}{4} = x^2 - (2x^2 + 2y^2 - 8) = -x^2 - 2y^2 + 8 \ge 0 \\ 0 < x < 4 \\ f(0) > 0 \\ f(4) > 0 \end{cases} $$
これらを整理すると、 $$ x^2 + 2y^2 \le 8 \quad \text{かつ} \quad 0 < x < 4 \quad \text{かつ} \quad x^2 + y^2 > 4 \quad \text{かつ} \quad (x, y) \neq (2, 0) $$
(i), (ii) を合わせると、求める領域は
- $x \le 0$ のとき: $x^2 + y^2 < 4$
- $x > 0$ のとき: $x^2 + 2y^2 \le 8$ (ただし、$(x, y) = (2, 0)$ を除く)
となる。
解法2
円 $C_a$ の方程式を $y^2$ について解くと $$ y^2 = -\frac{1}{2}a^2 + xa - x^2 + 4 = -\frac{1}{2}(a - x)^2 - \frac{1}{2}x^2 + 4 $$
となる。$x$ を固定したとき、$0 < a < 4$ における $g(a) = -\frac{1}{2}(a - x)^2 - \frac{1}{2}x^2 + 4$ の値域に $y^2$ が含まれる条件を求める(順像法)。 端点の値は $g(0) = -x^2 + 4$、$g(4) = -(x - 2)^2$ である。
(i) $x \le 0$ のとき
軸 $a = x$ は区間より左にあるため、$0 < a < 4$ において $g(a)$ は単調減少する。 とりうる値の範囲は $g(4) < g(a) < g(0)$ すなわち $-(x - 2)^2 < g(a) < -x^2 + 4$ である。 $y^2$ がこの範囲に存在し、かつ $y$ が実数であるためには $0 \le y^2 < -x^2 + 4$ が必要十分である。 よって、$x^2 + y^2 < 4$ を得る。
(ii) $0 < x < 4$ のとき
軸 $a = x$ が区間内に含まれるため、最大値は $g(x) = -\frac{1}{2}x^2 + 4$ である。 中間値の定理より、$g(a)$ は $g(4)$ より大きく $g(x)$ 以下のすべての値をとる($g(4) \le 0$ であり、$g(0)$ は途中経過となる)。 よって、実数 $y$ が存在するための条件は $0 \le y^2 \le -\frac{1}{2}x^2 + 4$ である。これを整理すると $x^2 + 2y^2 \le 8$ となる。 ただし、$y^2 = g(4) = -(x - 2)^2$ となるのは、実数では $(x, y) = (2, 0)$ のときのみであるが、このとき対応する $a$ は $4$ となり開区間 $(0, 4)$ に含まれないため、点 $(2, 0)$ は領域から除外される。
以上の結果をまとめると、求める領域が決定できる。
解説
軌跡・領域の問題において、方程式が実数解をもつ条件に帰着させる「逆像法(解法1)」と、1文字を固定して値域を調べる「順像法(解法2)」の代表的な2つのアプローチを示した。 本問では、放物線の端点における値 $f(4)$ や $g(4)$ が常に $0$ 以下となる完全平方式 $-(x-2)^2$ の形になることが計算上のポイントであり、これによって境界上の点 $(2,0)$ が除外されるという精細な議論が求められる。
答え
求める領域は、
- 楕円 $x^2 + 2y^2 = 8$ の $x > 0$ の部分の内部および境界
- 円 $x^2 + y^2 = 4$ の $x \le 0$ の部分の内部
を合わせた領域である。 境界線は、楕円 $x^2 + 2y^2 = 8$ の $x > 0$ の部分は含み、円 $x^2 + y^2 = 4$ の $x \le 0$ の部分は含まない。 また、境界の接続点となる $(0, 2), (0, -2)$、および $x$ 軸上の点 $(2, 0)$ は含まない。
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