北海道大学 1982年 理系 第1問 解説

方針・初手
- (1) は、直線に関する対称点の基本問題である。求める対称点を $B'(s, t)$ とおき、「線分 $BB'$ の中点が直線 $l$ 上にあること」と「直線 $BB'$ が直線 $l$ に垂直であること」の2条件から方程式を立てる。
- (2) は、「折れ線の長さの最小値」を求める典型問題である。片方の点を直線に関して対称移動させる定石に従い、$AP + PB = AP + PB'$ と言い換える。この長さが最小になるのは、3点 $A, P, B'$ が一直線上に並ぶときであるから、点 $P$ は直線 $AB'$ と直線 $l$ の交点として求まる。
解法1
(1)
点 $B(2, 0)$ の直線 $l: y = mx$ に関する対称点を $B'(s, t)$ とおく。 線分 $BB'$ の中点 $\left(\frac{s+2}{2}, \frac{t}{2}\right)$ は直線 $l$ 上にあるので、
$$ \frac{t}{2} = m \cdot \frac{s+2}{2} $$
$$ ms - t + 2m = 0 \cdots \text{①} $$
また、直線 $BB'$ は直線 $l$ に垂直であるから、直線 $BB'$ の傾きは $-\frac{1}{m}$ である($m \neq 0$ より)。したがって、
$$ \frac{t - 0}{s - 2} = -\frac{1}{m} $$
$$ s + mt - 2 = 0 \cdots \text{②} $$
①、②を $s, t$ の連立方程式として解く。 ① $\times m$ + ② より、
$$ (m^2 + 1)s = 2(1 - m^2) $$
$m$ は実数であるから $m^2 + 1 \neq 0$ であり、
$$ s = \frac{2(1 - m^2)}{m^2 + 1} $$
これを①に代入して $t$ を求めると、
$$ t = m(s + 2) = m \left( \frac{2 - 2m^2}{m^2 + 1} + \frac{2m^2 + 2}{m^2 + 1} \right) = \frac{4m}{m^2 + 1} $$
よって、求める対称点 $B'$ の座標は
$$ \left( \frac{2(1 - m^2)}{m^2 + 1}, \frac{4m}{m^2 + 1} \right) $$
(2)
直線 $l$ に関して点 $B$ と点 $B'$ は対称であり、点 $P$ は直線 $l$ 上にあるから、$PB = PB'$ が成り立つ。 したがって、線分の長さの和は
$$ AP + PB = AP + PB' $$
となる。この値が最小となるのは、3点 $A, P, B'$ がこの順に一直線上にあるときである。 このとき、点 $P(X, Y)$ は直線 $AB'$ と直線 $l$ の交点である。
3点 $A, P, B'$ が一直線上にあるとき、ベクトル $\vec{AP}$ と $\vec{AB'}$ は平行である。
$$ \vec{AP} = (X - 1, Y) $$
$$ \vec{AB'} = \left( \frac{2(1 - m^2)}{m^2 + 1} - 1, \frac{4m}{m^2 + 1} \right) = \left( \frac{1 - 3m^2}{m^2 + 1}, \frac{4m}{m^2 + 1} \right) $$
$\vec{AP} \parallel \vec{AB'}$ より、
$$ (X - 1) \cdot \frac{4m}{m^2 + 1} - Y \cdot \frac{1 - 3m^2}{m^2 + 1} = 0 $$
$$ 4m(X - 1) - Y(1 - 3m^2) = 0 $$
点 $P$ は直線 $l$ 上の点であるから、$Y = mX$ を代入して整理する。
$$ 4mX - 4m - mX(1 - 3m^2) = 0 $$
$$ m(3X + 3m^2 X - 4) = 0 $$
$m \neq 0$ より、
$$ 3(1 + m^2)X = 4 $$
$$ X = \frac{4}{3(1 + m^2)} \cdots \text{③} $$
これより $X > 0$ である。このとき $Y$ は、
$$ Y = \frac{4m}{3(1 + m^2)} \cdots \text{④} $$
③より $1 + m^2 = \frac{4}{3X}$ であり、これを④から得られる $m = \frac{Y}{X}$ の式に代入する。
$$ 1 + \left(\frac{Y}{X}\right)^2 = \frac{4}{3X} $$
両辺に $X^2$ ($X \neq 0$)を掛けて整理すると、
$$ X^2 + Y^2 = \frac{4}{3}X $$
$$ \left(X - \frac{2}{3}\right)^2 + Y^2 = \frac{4}{9} $$
これは中心 $\left(\frac{2}{3}, 0\right)$、半径 $\frac{2}{3}$ の円を表す。 ここで、$m$ は $m \neq 0$ を満たす任意の実数をとる。 $m = 0$ としたときの $(X, Y) = \left(\frac{4}{3}, 0\right)$ と、極限 $m \to \pm\infty$ としたときの $(X, Y) = (0, 0)$ は除外される。
よって、点 $P$ の描く図形は、円 $\left(x - \frac{2}{3}\right)^2 + y^2 = \frac{4}{9}$ のうち、2点 $(0, 0), \left(\frac{4}{3}, 0\right)$ を除いた部分である。
解法2
(2) の図形的性質を用いた別解を示す。
原点を $O(0, 0)$ とする。直線 $l: y = mx$ は原点 $O$ を通る。 点 $B'$ は直線 $l$ に関して点 $B$ と対称であるため、$OB = OB'$ であり、$\triangle OBB'$ は二等辺三角形である。 線分 $BB'$ と直線 $l$ の交点(すなわち線分 $BB'$ の中点)を $H$ とすると、直線 $l$ は $\triangle OBB'$ の頂角 $\angle B'OB$ の二等分線であり、かつ中線 $OH$ を含む直線である。
一方、点 $A(1, 0)$ と点 $B(2, 0)$ の座標より、点 $A$ は線分 $OB$ の中点である。したがって、直線 $B'A$ も $\triangle OBB'$ の中線である。
$AP + PB$ が最小となるとき、点 $P$ は直線 $AB'$ 上にある。また、点 $P$ は直線 $l$ (直線 $OH$)上にあるから、点 $P$ は中線 $B'A$ と中線 $OH$ の交点、すなわち $\triangle OBB'$ の重心 である。 よって、点 $P$ は線分 $OH$ を $2 : 1$ に内分する点であり、
$$ \vec{OP} = \frac{2}{3}\vec{OH} $$
を満たす。
ここで、点 $H$ の軌跡について考える。$\angle OHB = 90^\circ$ であるから、点 $H$ は線分 $OB$ を直径とする円周上を動く。 この円の方程式は $(x - 1)^2 + y^2 = 1$ である。 直線 $l$ の傾きが $m \neq 0$ であるため、点 $H$ は $x$ 軸上の点とはならない。よって、点 $H$ の軌跡は、円 $(x - 1)^2 + y^2 = 1$ から2点 $(0, 0), (2, 0)$ を除いた図形である。
点 $P$ の軌跡は、点 $H$ の軌跡を原点 $O$ を相似の中心として $\frac{2}{3}$ 倍に縮小した図形となる。 中心 $(1, 0)$ を $\frac{2}{3}$ 倍すると $\left(\frac{2}{3}, 0\right)$ となり、半径 $1$ を $\frac{2}{3}$ 倍すると $\frac{2}{3}$ となる。 除外点 $(0, 0), (2, 0)$ に対応する点もそれぞれ $\frac{2}{3}$ 倍され、$(0, 0), \left(\frac{4}{3}, 0\right)$ となる。
したがって、点 $P$ の描く図形は、円 $\left(x - \frac{2}{3}\right)^2 + y^2 = \frac{4}{9}$ のうち、2点 $(0, 0), \left(\frac{4}{3}, 0\right)$ を除いた部分となる。
解説
- (2) について 折れ線の長さの最小値は、片方の定点を直線に関して対称移動させ、「2点間の最短経路は直線である」ことを利用するのが定石である。本問では (1) の誘導に乗って立式を進めることで確実に解を導ける。
- 解法1は機械的な計算処理で完結するが、$X, Y$ を $m$ で表した後のパラメータの消去や、除外点の確認を丁寧に行う必要がある。
- 解法2は、原点 $O$ を設定することで見えてくる図形的性質を巧みに利用した解法である。「点 $P$ が三角形の重心になる」という事実に気づけば、面倒な軌跡の計算を大幅に省略でき、視覚的にも見通しが良い。
答え
(1)
$$ \left( \frac{2(1 - m^2)}{m^2 + 1}, \frac{4m}{m^2 + 1} \right) $$
(2)
円 $\left(x - \frac{2}{3}\right)^2 + y^2 = \frac{4}{9}$ のうち、2点 $(0, 0), \left(\frac{4}{3}, 0\right)$ を除いた部分。
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