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北海道大学 1963年 文系 第1問 解説

数学2/図形と式数学1/方程式不等式数学A/図形の性質テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
北海道大学 1963年 文系 第1問 解説

方針・初手

点 $A$ を基準とした図形的な相似関係を利用するか、座標平面を設定して軌跡の方程式を直接計算で求めることで解決できる。点 $A$ と直線 $g$ の関係を簡潔に表現するため、点 $A$ から直線 $g$ に下ろした垂線の足を考えるのが定石である。

解法1

点 $A$ から定直線 $g$ に垂線を下ろし、その交点を $H$ とする。点 $H$ は $g$ 上の定点である。

線分 $HA$ の $A$ をこえての延長上に、 $$AH \cdot AH' = k^2$$ を満たす点 $H'$ をとる。点 $A$、点 $H$、長さ $k$ はすべて固定されているため、点 $H'$ も定点となる。

直線 $g$ 上に任意の点 $P$ をとる。 点 $P$ が点 $H$ と一致するとき、点 $Q$ は点 $H'$ と一致する。 点 $P$ が点 $H$ と異なるとき、$\triangle AHP$ と $\triangle AQH'$ に着目する。

点 $Q$ は線分 $PA$ の $A$ をこえての延長上にあり、点 $H'$ は線分 $HA$ の $A$ をこえての延長上にあるため、対頂角により $$\angle PAH = \angle QAH'$$ が成り立つ。

また、条件 $AP \cdot AQ = k^2$ と、点 $H'$ のとり方 $AH \cdot AH' = k^2$ より、 $$AP \cdot AQ = AH \cdot AH'$$ が成り立つ。これを辺の比の形に変形すると、 $$AP : AH = AH' : AQ$$ となる。

したがって、2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいため、 $$\triangle AHP \sim \triangle AQH'$$ である。

相似な図形の対応する角は等しいので、 $$\angle AQH' = \angle AHP = 90^\circ$$ が成り立つ。これは点 $P$ が点 $H$ に一致する場合も含め、常に $\angle AQH' = 90^\circ$ であることを意味する。

円周角の定理の逆より、点 $Q$ は線分 $AH'$ を直径とする円周上にある。 ただし、点 $P$ は直線 $g$ 上の点であるため $AP > 0$ であり、$AP \cdot AQ = k^2$ より $AQ > 0$ であるから、点 $Q$ が点 $A$ と一致することはない。

ゆえに、点 $Q$ は定点 $H'$ と点 $A$ を結ぶ線分 $AH'$ を直径とする円から、点 $A$ を除いた図形上にある。

解法2

定点 $A$ を原点 $(0, 0)$ とする。 点 $A$ は直線 $g$ 上にないため、点 $A$ から直線 $g$ に下ろした垂線の足を $H$ とし、半直線 $HA$ の方向を $x$ 軸の正の方向、これに垂直な方向を $y$ 軸として座標平面を設定する。

定点 $A$ から直線 $g$ までの距離を $d$ ($d > 0$)とすると、直線 $g$ の方程式は $x = -d$ と表せる。 点 $P$ は直線 $g$ 上の任意の点であるから、実数 $t$ を用いて $P(-d, t)$ とおける。

点 $Q$ の座標を $(X, Y)$ とする。 点 $Q$ は線分 $PA$ の $A$ をこえての延長上にあるため、正の実数 $c$ を用いて $$\overrightarrow{AQ} = -c \overrightarrow{AP}$$ と表せる。$\overrightarrow{AP} = (-d, t)$ であるから、 $$(X, Y) = (cd, -ct)$$ となる。このとき、線分の長さは $$AP = \sqrt{(-d)^2 + t^2} = \sqrt{d^2 + t^2}$$ $$AQ = \sqrt{(cd)^2 + (-ct)^2} = c\sqrt{d^2 + t^2}$$ である。

条件 $AP \cdot AQ = k^2$ より、 $$c(d^2 + t^2) = k^2$$ $$c = \frac{k^2}{d^2 + t^2}$$ となる。これを $X, Y$ の式に代入すると、 $$X = \frac{k^2 d}{d^2 + t^2}, \quad Y = -\frac{k^2 t}{d^2 + t^2}$$ を得る。

ここで、$X^2 + Y^2$ を計算する。 $$X^2 + Y^2 = \frac{k^4 d^2}{(d^2 + t^2)^2} + \frac{k^4 t^2}{(d^2 + t^2)^2} = \frac{k^4 (d^2 + t^2)}{(d^2 + t^2)^2} = \frac{k^4}{d^2 + t^2}$$

また、$X$ の式を変形すると $$\frac{k^2}{d^2 + t^2} = \frac{X}{d}$$ となる。これを $X^2 + Y^2$ の式に代入すると、 $$X^2 + Y^2 = k^2 \cdot \frac{X}{d}$$ $$X^2 - \frac{k^2}{d} X + Y^2 = 0$$ 平方完成を行って、 $$\left( X - \frac{k^2}{2d} \right)^2 + Y^2 = \left( \frac{k^2}{2d} \right)^2$$ となる。これは、中心 $\left( \frac{k^2}{2d}, 0 \right)$、半径 $\frac{k^2}{2d}$ の円を表す。

点 $P$ が直線 $g$ 上を動くとき、実数 $t$ はすべての実数値をとる。 $X = \frac{k^2 d}{d^2 + t^2}$ において、$k^2 > 0$ かつ $d > 0$ であるため、常に $X > 0$ となる。 したがって、点 $Q(X, Y)$ が原点 $(0, 0)$ 、すなわち点 $A$ と一致することはない。

ゆえに、点 $Q$ は上記の円から点 $A$ を除いた図形上にある。

解説

本問は「反転」と呼ばれる幾何学的な変換の典型問題である。一般に、ある定点 $O$ を中心として、条件 $OP \cdot OP' = r^2$ を満たすように半直線 $OP$ 上に点 $P'$ をとる変換を円に関する反転という。本問では「線分の延長上に」点 $Q$ をとるため、定点 $A$ を中心とする負の反転(反転後に点 $A$ に関して対称移動した変換)に相当する。原点を通らない直線は、原点を通る円(ただし原点自身は除く)に移るという反転の有名性質を証明する問題であり、初等幾何と解析幾何のどちらのアプローチでもすっきりと解き進めることができる。

答え

点 $A$ から定直線 $g$ に下ろした垂線の足を $H$ とし、線分 $HA$ の $A$ をこえての延長上に $AH \cdot AH' = k^2$ を満たす定点 $H'$ をとるとき、点 $Q$ は線分 $AH'$ を直径とする円から点 $A$ を除いた図形上にある。

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