北海道大学 1981年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) は2曲線の交点についての問題である。2つの関数の差をとった関数を新しく設定し、微積分を用いてその関数の増減を調べる方針をとる。その関数の最小値が $0$ になることを示せばよい。 (2) は(1)で求めた交点の情報をもとにグラフを概形を描き、定積分で面積を求める。$x$ 軸方向で積分するか、$y$ 軸方向で積分するかで2通りの解法が考えられる。
解法1
(1)
2曲線の式の差をとった関数 $f(x)$ を次のように定義する。対数関数が含まれるため、定義域は $x > 0$ である。
$$f(x) = \sqrt{x} - \frac{e}{2} \log x$$
$f(x)$ を $x$ で微分すると、
$$f'(x) = \frac{1}{2\sqrt{x}} - \frac{e}{2x} = \frac{\sqrt{x} - e}{2x}$$
となる。
$x > 0$ の範囲において $f'(x) = 0$ となるのは $\sqrt{x} - e = 0$、すなわち $x = e^2$ のときのみである。 これをもとに $f(x)$ の増減を調べる。
$0 < x < e^2$ のとき、$f'(x) < 0$ であるから、$f(x)$ は単調に減少する。
$x > e^2$ のとき、$f'(x) > 0$ であるから、$f(x)$ は単調に増加する。
したがって、$f(x)$ は $x = e^2$ において極小かつ最小となる。このときの最小値は、
$$f(e^2) = \sqrt{e^2} - \frac{e}{2} \log e^2 = e - \frac{e}{2} \cdot 2 = 0$$
よって、$x > 0$ のすべての範囲において $f(x) \ge 0$ が成り立ち、$f(x) = 0$ を満たす $x$ は $x = e^2$ ただ1つである。
これは、2つの曲線 $y = \sqrt{x}$ と $y = \frac{e}{2} \log x$ が $x = e^2$ においてのみ交わることを意味する。 そのときの $y$ 座標は $y = \sqrt{e^2} = e$ である。
ゆえに、2つの曲線は1点 $(e^2, e)$ のみを共有する。(証明終)
(2)
求める面積を $S$ とする。
$y = \sqrt{x}$ は $x \ge 0$ で単調増加であり、原点 $(0, 0)$ を通る。
$y = \frac{e}{2} \log x$ は $x > 0$ で単調増加であり、点 $(1, 0)$ で $x$ 軸と交わる。
(1)の考察より、$x > 0$ の範囲で常に $\sqrt{x} \ge \frac{e}{2} \log x$ が成り立つ。 したがって、2つの曲線と $x$ 軸($y = 0$)で囲まれる図形の面積は、$0 \le x \le e^2$ における $y = \sqrt{x}$ と $x$ 軸の間の面積から、$1 \le x \le e^2$ における $y = \frac{e}{2} \log x$ と $x$ 軸の間の面積を引いたものとして求められる。
$$S = \int_{0}^{e^2} \sqrt{x} \, dx - \int_{1}^{e^2} \frac{e}{2} \log x \, dx$$
それぞれの定積分を計算する。
$$\int_{0}^{e^2} \sqrt{x} \, dx = \left[ \frac{2}{3} x^{\frac{3}{2}} \right]_{0}^{e^2} = \frac{2}{3} (e^2)^{\frac{3}{2}} - 0 = \frac{2}{3} e^3$$
また、部分積分法を用いると、
$$\int_{1}^{e^2} \log x \, dx = \left[ x \log x - x \right]_{1}^{e^2} = (e^2 \log e^2 - e^2) - (1 \log 1 - 1) = (2e^2 - e^2) + 1 = e^2 + 1$$
これらを $S$ の式に代入する。
$$S = \frac{2}{3} e^3 - \frac{e}{2} (e^2 + 1) = \frac{2}{3} e^3 - \frac{1}{2} e^3 - \frac{e}{2} = \frac{1}{6} e^3 - \frac{e}{2}$$
解法2
(2) の別解:$y$ 軸方向の積分
図形の境界を表す2曲線の式を、$x$ について解く。
$y = \sqrt{x}$ は、$y \ge 0$ の範囲において $x = y^2$ である。
$y = \frac{e}{2} \log x$ は、$\frac{2}{e} y = \log x$ より $x = e^{\frac{2}{e} y}$ である。
(1)より、これらの曲線は点 $(e^2, e)$ でのみ交わり、囲まれる図形の $y$ の範囲は $0 \le y \le e$ である。 この区間において、右側($x$ が大きい側)にある曲線は $x = e^{\frac{2}{e} y}$、左側($x$ が小さい側)にある曲線は $x = y^2$ である。
したがって、求める面積 $S$ は $y$ についての定積分として次のように立式できる。
$$S = \int_{0}^{e} \left( e^{\frac{2}{e} y} - y^2 \right) dy$$
この定積分を計算する。
$$S = \left[ \frac{e}{2} e^{\frac{2}{e} y} - \frac{1}{3} y^3 \right]_{0}^{e}$$
$$S = \left( \frac{e}{2} e^2 - \frac{1}{3} e^3 \right) - \left( \frac{e}{2} e^0 - 0 \right)$$
$$S = \frac{1}{2} e^3 - \frac{1}{3} e^3 - \frac{e}{2} = \frac{1}{6} e^3 - \frac{e}{2}$$
解説
(1) は「方程式の解が1つであることを示す問題」の典型的なアプローチを用いる。差の関数を設定して導関数から増減を調べ、極値の符号を確認する一連の流れは確実に押さえておきたい。
(2) は図形の面積を求める問題である。被積分関数に無理関数と対数関数が含まれており、そのまま $x$ で積分すると区間を分ける必要があるか、あるいは図形の引き算を意識する必要がありやや手間がかかる(解法1)。 一方で、積分変数を $y$ に変更し、$y$ 軸方向に積分を行うと、1つの定積分にまとめることができ、計算の煩雑さを大きく軽減できる(解法2)。このような「$y$ 軸方向での積分」の視点は、複雑な関数の面積を求める際に非常に有用なテクニックである。
答え
(1) 解法1の通り証明された。
(2) $\frac{1}{6}e^3 - \frac{e}{2}$
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